府立洛南病院(宇治市)で03年5月、入院中に死亡した宇治市の女性(52)の遺族が、病院が適切な措置を怠ったなどとして府に総額5870万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、京都地裁であった。中村哲裁判長は「看護に一部不適切で違法ともいうべき行為があり、精神的苦痛を与えた」として訴えの一部を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は精神疾患で同年4月13日医療保護入院。同5月1日、出血性肺梗塞で死亡した。
遺族は医師らが肺梗塞の発症を見逃し、適切に治療しなかったと訴えていたが、中村裁判長はいずれも棄却。一方、看護の面では、薬を飲んだ後、口の中に薬が残っていないかを確認せず、口の周りや体をふいて清潔に保つことをあまりしていない▽カテーテルで血尿が生じたのに原因解明や改善の処置がなされていない--と認定し「人格への配慮に問題を残した」と指摘した。
更に「精神科で患者との意思疎通が難しいなどの場合は、家族への配慮も不可欠なのに、家族の不満や不信感を悪化させ治療効果にも悪影響を与えたことが強くうかがわれる」とも述べた。
記事:毎日新聞社

1