7月某日
梅雨の晴れ間を狙って
今回は第22作のロケ地へ行ってきた。
22作『男はつらいよ 噂の寅次郎』(1978年12月27日公開)
マドンナは
大原麗子さん(荒川早苗、旧姓:水野)
旅先の静岡で雲水(大滝秀治)に
「女難の相」が出ている、と声を掛けられ
その後失恋して泣きじゃくる瞳(泉ピン子)と出会い
最後に博の父、飈一郎(志村喬)と偶然再会し
木曽路へと向かう、
その一連の流れの舞台となった
静岡県 川根本町
今回のロケ地訪問の
大きな目的は3つ
・印象に残るエンディング
「茶畑とSL」
・泉ピン子さんと寅が立ち寄る
「おざわ屋さん」
・予てから必ず行きたいと願っていた
「蓬莱橋」
この作品は大原麗子さんの笑顔や美しさに酔いしれ
心奪われてしまうことは間違いないのだが
それとは別に志村喬さん演じる飈一郎の持っている
人としての奥行きある存在感にも酔いしれることの
できる貴重な作品でもあるのだ。
それをよりリアルに感じるためにも
いつかはこのロケ地巡りを、と願っていた。
なので今回は喜びも一入なのである。
・印象に残るエンディング
「茶畑とSL」

映画の流れとは逆行するが
この日のスケジュール通りにご紹介したい。
日に一度だけ運行している大井川鉄道のSLを撮影するため
朝7時頃に東京を出発し約4時間かけ
午前10時50分頃に現地入り。
SLの進行方向を映画と合わせたいので
狙うは
新金谷駅11:52発千頭行きの
「SLかわね路1号」
<大井川鉄道HP時刻表より>
撮影場所は本編で景色とSLがしっかり映る
「干し柿とSL」
「茶畑とSL」

この2か所のポイントを選んだ。
最初に行ったのが
「干し柿とSL」
場所はこちら
大井川鐵道大井川本線 大和田駅そば
同じSLで狙いたいところだが
タイミングが非常にタイトなため
こちらの場所は
「機関車トーマス」で狙ってみた。
<大井川鉄道HP時刻表より>
大井川鉄道HPはこちら→
HPへジャンプ
エンディングでほんの数秒しか映らない
ロケ地ではあるが非常に印象に残る。
そしてそのロケ地の現在がこちら
消火栓や白いガードレール
そして何より大きな家が建ったため
かなり印象が変わってしまったが
撮影された場所は
間違いなくここである。
この場所を見つけた山田組ロケハンの底力を
改めて感じずにはいられない。
そしてこのロケ地を事前に発見してくれた
寅ファンの方々には本当に感謝である。
近くに寄ってみた。

確かに映画と同じ橋がある。
場所はしっかりと確認できた。
トーマスがくるまでの間
そばで草取りをしていた地元の方と少しお話し。
なんであんたたちはこんな場所で撮影する?と
至極当たり前なご質問。
映画「男はつらいよ」でのロケ地であることをご説明。
当時の貴重な情報を得られることもあるので
こういった四方山話はとても大切なのである。
そうこうしているうちに遠くから汽車の音がしてきた。
その瞬間に息をひそめる。
トーマスといえどもこちらも一回勝負。
緊張の瞬間
段々音が大きくなる
そして遂に画面越し
右側より汽車が現れた!
いまだ!!

パシャリ!
あれ?
結構遅い?
タイミング計るもいまひとつ合わず…
ではもう一枚!

パシャリ!!
あらら…
こちらもドンピシャとはいかなかった。
しかし「機関車トーマス」
あまりにも存在感ありすぎで
思わず失笑…
腰が抜けそうになった。
写真は上手くタイミング取れなかったので
同時に撮影していたビデオからのキャプチャーで
映画と比較してみる
<映画>

<現在>
(予想以上に存在感のある機関車トーマス)
<合成>

こんな感じで本当は見えたのだろう。
次の撮影ポイントへ移動
あの感動のエンディングシーン
今回のメイン
「茶畑とSL」
大井川鐵道大井川本線 下泉駅手前
この場所までは車で約17分
距離にして約13q
<大井川鉄道HPより>
直ぐに移動すればギリギリ両方SLで撮影できたかもしれないが
何があるかわからないので無理はせず安全策で行動。
こちらを当日1便しかないSLの時間に合わせる!
泣いても笑っても勝負は一回のみ!
<大井川鉄道HP時刻表より>
干し柿シーンの撮影を終わらせて
茶畑ポイントに車で向かった。
失敗は許されない‼
映画で最後のシーンは下から上に
カメラを上げていくので
全体を把握するためにふたつのシーンを
上下でつなぎ合わせてみた。
<映画>

つなげてみるとこうなる。
そして現在の姿がこちら!
<現在>
どうだろう。
ほぼ映画のアングル通りである。
間違いなく場所はここ。
感動である!
映画のシーンに合わせて切り取ってみた。
<映画>

<現在>
本来はこの角度で撮影したかったが
残念ながら足場を確保できず断念。
(この映像は三脚を思いっきり伸ばし手探りで撮影)
そしていよいよ本番!!
12時43分頃
背中の方から汽車の音が!
段々近づいてくる。
音がすぐ後ろに迫る。
いまだ!!

パシャリ!
もう一枚!

パシャリ!
すごい、すごい!

パシャリ!
あれれ?本編は2車両だったけど…

パシャリ!
結構車両長かったなぁ〜

パシャリ!
走りすぎる蒸気機関車。
遠くで汽笛が聞こえた。
大興奮の1分間であった。
それにしても客車の大増量。
大井川鉄道大人気のようである。
撮影時は興奮していて無我夢中だったが
写真を確認してみると手前の草むらが
やはり撮影に大きな障害となってしまった。
少し角度は違っているが同時撮影しておいた
ビデオの方に淡い期待。
そのキャプチャーがこちら。
<映画>
<写真>
何とか雰囲気は伝わってくる感じだが
こちらも手前の草むらが邪魔で肝心のSLが
半分以上見えていない。
そして季節が夏ということもあり
SLの煙も映画ほどには多く映っていない。
色々と不完全な写真ではあるが
現場では生のSLの音を初めて聞けたこともあり
とても満足できる瞬間を味わえた。
SLのあの段々と近づく独特な音は
電車では味わうことができない。
よくSLの走行音をガタゴトと表現されるが
その意味がようやく理解できたように思う。
そして独特な音のお陰で「一所懸命」という
印象を受ける。それがとても人間ぽく思える
要因なのかもしれない。
SLのバックショットを最後にどうぞ。
<映画>

<現在>
SLつながりでいくと
最後に泉ピン子と寅さんが再会した時に
車窓風景の撮影ポイントにも行ってきた。
ここは「茶畑とSL」の撮影ポイントから
ほんの少しだけ南に行った場所である。
<映画>
<現在>
<全体>

線路も一緒に写すと電車内のシーンがより一層蘇る。
天気に恵まれ本当に良い一日だったが
このSLシーンは絶対に失敗できない
緊張感の中だったことも手伝い
今でも感慨深く思える。
・泉ピン子さんと寅が立ち寄る
「おざわ屋さん」へ・・・・・・・・・つづく

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