◆ふれあい通り
ふれあい通りは、別名『和歌山駅前商店街』。まさぼーの実家の店はこの通りにあります。そう、ここがまさぼーの住む街です。
僕が小さな“まさぼーちゃん”だった頃、この界隈もまた人で賑わう繁華街でした。
時代は移り変わり、かつてステーション・デパートと呼ばれた和歌山駅ビルはVIVO(ヴィーボ)というよくわからない名前に変わり、近鉄百貨店は壁の改装工事もままならないまま、カルチャーセンターに早変わりしました。
近所のお店…酒屋のタマキさんや本屋の毎日屋さん…が次々閉店されてゆく中、生き残ったのはカメラ屋さんと化粧品屋さんと薬屋さん。そして、まさぼー達のお店だけ。
今風な美容院や飲食店などに挟まれて、少々肩身の狭いまさぼー達のお店も、セピア色。今まさに閉店の危機に直面しています。
安くて質の良い商品が大量に出回る現在、オーダーメイドの洋服をわざわざ高いお金を払って作ってくれるお客様は、もういません。
時代とともに、街も、人々の暮らしも、何もかもが変わってゆく…。
形あるものはやがて必ずなくなります。それは誰もが避けることのできないことだけれど…
形のないもの…いただいた親切や温かい思い出は、ずっと心の中に生き続けるのです。
小さなまさぼーちゃんに、いつも雑誌の付録のオモチャを譲ってくれた毎日屋さんのおっちゃん。
三輪車で前を通るたび、お菓子をくれたタマキさんのおばちゃん。
僕は…あなた達の優しさを永遠に忘れません。
イタズラをして、叱られたこともありました。正しいことと正しくないことを、時には厳しく教えていただきました。僕は…この街に育てていただいたのです。
ふれあい通りには、確かに“ふれあい”がありました。
僕は、この街に生まれて、良かったと思います。


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