カフカの絵本

フランツ・カフカといえば「不条理」という代名詞で語られるほどに独特な世界観を持つ作家。そのカフカの絵本である。テキストだけで読むのとは違い、美しい挿絵がさらなる想像力を増幅させてくれる。短編3話。
「恩返し」:男が家に帰ると、部屋の中には大きな卵があり、やがてヒナが生まれ、「大きくなったら、自分を背中に乗せ、南の国へ連れていく事を条件に育て始める。
「初めての悩み」:空中ブランコ芸人が完璧な技を磨こうとする一心さから、下に降りず、空中で過ごしていた...。彼に押し寄せる悩みとは。
「羊猫」:お父さんから譲られた、半分「羊」で半分「猫」という不思議な動物との話。
カフカの本を多く読んだわけではないが、カフカの本は何らかの意味を求めて読むとさっぱりわからない。彼の作品から何かを得ようとしても今ひとつぴんとこない。ある時、ふっと気づいた。カフカの本は受け身で読んではだめなのではないか、と。こんな「不条理」に自分が置かれた時に、この立場だったら自分はどうするか、どのように生きていくか、解決していけるか...という捉え方をした時に、自分の内面が浮かび上がってくる。自分の腑甲斐無さに唖然とする時もある。
最初は難解かもしれない。なんとなくわかってくるまでに時間もかかるかもしれない。けれどたまに一冊に向き合ってみるのもいいかもしれません。

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