穴 HOLES (講談社文庫)

森絵都さんの解説にもあるが、『穴』について「読んだ」「よかった」「面白かった」と絶賛する人たちの特徴として、「なにがどうよくて面白かったのかを具体的には語ろうとしない」とある。
私も読んだ。非常に面白く、祝福の大団円は実に読後の爽やかさを連れてくる。しかし、ここが、あそこがと説明しがたい良さと,面白さで、一辺を抜き出し説明したところで、それが何故面白いの?って事になる。絶賛はするが具体的に語れない本が存在したのである。
途方もなく運の悪い家系の少年スタンリー・イェルナッツ(Stanley Yelnats)四世。それもこれも100年以上前のあんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさんが、あるおばあさんと交わした約束をやぶったせいで、その呪いが末代のスタンリーにまで関わって、無実の罪で少年矯正キャンプに送られることになり穴を掘る。それで...って、『穴』を読んだ方がやっぱり早い。
とにもかくにも、理不尽な背景によって負の立場に追いやられた人間への応援ストーリーである。
森絵都さんは云う。筆者が書きたかったのは「人の強さや弱さは社会的状況によって定められるものではなく、誰もが知恵とガッツで弱者から這いあがることができる。誰にでも逆転のチャンスがある。」と。ますます内容が気になってくるでしょ!
穴 / HOLES [DVD]

古から現在までの沢山の枝葉がしっかりと一本の根幹に繋がってむかえる大団円はお見事!に尽きる。子どもから大人まで楽しめる。

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