足みじかおじさんの旅―やなせたかしのおとなのメルヘン

著者であるやなせたかしさんが卒寿を迎えられる時に出版されたものであるというメルヘン短編集。
困っている人や悲しんでいる人の手助けが趣味という、現実と非現実の間を行き来する足みじかおじさんは、生きていく上で遭遇するであろう様々な苦難や困難の壁を乗り越えるためのきっかけ力を与えてくれる。
前に読んだ時は、すーっと沁みる様に入ってきたように記憶しているが、再読した今回、何故か梃摺ってしまった。難しいお話でもないし、読みにくいわけでもないのだが、今もって理由はわからない。
スーパーマン的存在で何でも一挙に解決!という話ではないところが、逆に現実味があり、私の好むところである。
私たちは時として一挙解決のスーパーマンを求めてしまうけれど、世の中甘くはない。誰かの手助けを受けながらも、自らが立ち向かっていかなければ真の解決は得られない。そんな当たり前のことに気づかせてくれるお話でした。 また、大きな手助けは私には到底できないけれど、足みじかおじさんのように、小さな手助けのできるおじさんでありたいと、震災から丸一年経った昨今、強く感じさせてくれた一冊でもありました。

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