第一章 君と僕の、世界のハジマリ  君と僕の、世界の均衡

05.少女

ギィィィ…
見た目とは裏腹に案外簡単に開く
巨大な扉。
「ここです」
先頭を歩くのは
クリーム色の髪の少女…

気絶したままの少女を前に
成す術のない俺たち。
「で、どーするよ」
「どうしようも…」
このまま起きるのを待ってるしかないって事か…
はぁ…
俺は溜息を付きながら、
前方に見える塀を見つめる。
「あ。」
急に水谷が間抜けな声を上げる。
驚いて水谷の方を向くと少女の眼が開いていた。
「…ぅ」
重たそうに体を起こし、
俺達の顔を見る。
「えと…だい、じょうぶ?」
「あ、はい」
栄口の問いに戸惑いながらも返事をする。
気絶していた時は分からなかったが
少女の瞳は赤…緋色って言った方が適切か…
人間離れしてる瞳の色…
やっぱりここの住人か。
「これ、君のだよね」
栄口が果物の入った籠を渡す。
「すみません。ありがとうございます
私は…リリスです。気軽にリリスと呼んで下さい。
えと…あなた達は…?」
籠を受け取りながら俺たち3人の顔を見る。
「俺は栄口。こっちが泉で向こうにいるのが水谷」
「ども。」
「よろしくね〜」
自己紹介をすると少女…リリスは俯き
何かを考えるような仕草をする。
どうしていいものか戸惑っていたら少女が口を開く。
「異世界の…住人ですね」
「え…」
一瞬だがリリスの瞳が怪しく光る。
「私はこの世界の案内人…
あなた達に戦う術を与える者です。」
案内人…
少女は一呼吸置き、話を始める。
「私の家系は異世界から来た住人に
この世界のことを教えるのがお役目です。
今は私がその役目を継いでいます。」
俺たちが呆気にとられていると
リリスはにこっと笑い
「立ち話もなんです。うちに来ませんか?
その塀の向こうが私と祖母が住んでいる街です」
俺たちの目的はその街に行くことだったし、
断る理由もないので
リリスの足まである長いクリーム色の髪を見つめながら
俺達は付いていくことにした。

そして、冒頭のセリフ。
さっきの俺たちの苦労はなんだったんだ…
そう言いたくなる位あっさりと塀に辿り着いた。
塀…いや、門をくぐる。
そこには100メートル近くある
橋が架かっていた。
その下には底が見えるくらい澄んでいて
綺麗な水がさらさらと流れている。
そんな俺に気付いたのかリリスは振り向き、
「“リスラフレイム”はこの世界一、水が綺麗なんです。
周りも河と海に囲まれ、
国の中心には大きな湖もあるんですよ」
「水の都…か…」
話を聞いていた水谷は首をかしげながら
「りすらふれいむって?」
と阿呆なことを聞く。
「今の話の流れから分かれよ」
俺が呆れながら言うと栄口も
「うん、うん」と頷く。
リリスは楽しそうにくすくすと笑いながら水谷の質問に答える。
「リスラフレイムとはこの国の名前です。ほらあそこに」
リリスの指差す方を見ると
橋の向こう側にガラスで作られたような看板が壁貼り付けてあり、
そこには【ようこそ!リスラフレイムへ!】と書いてある。
「お分かり…頂けたでしょうか?」
「へ、あ!うん!」
水谷が若干恥ずかしそうに頷く。
「でも、本当に綺麗な水だね」
「ありがとうございます。
夏になると色々な国から海水浴に来たりもするんですよ」
海の方を見ながら優しげに微笑むリリス。
その姿には不思議な神々しさがあった。













(空から聞こえる声に従い俺たちの旅は始まった)
(残る仲間は7人)


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