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小森清貴 solo Album『カトレア』発売中 詳細

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また

2012/8/20 | 投稿者: komori

先週16日木曜日、日帰りで帰省した。といっても実家ではなく、同じ市内で少し離れた祖父母の家へ。母方の実家である。だが、そこにもう「祖父母」はいない。祖母は今年の2月に亡くなり(調度「みんなの戦艦」の前だった)、祖父は現在入院している。間もなく老人ホーム施設に入居する。だから事実祖父母の家と呼んでいたそこには最早彼等は不在。

祖父は痴呆と身体の老衰が悪化しており、祖母がなくなって2月からは、母親がずっと1人でこの祖父の介護を行ってきていたが、先月自宅で怪我をしてしまい、いよいよ自宅介護が困難を極め、施設へと移行することになったというわけだ。その前に、祖父に逢いに、ということでの、お見舞いを兼ねた帰省だった。

僕の家族は、僕と弟は東京に、父親は海外に単身赴任しているため、実質実家には母親しかいないわけだが、現在は上記のような経緯から自分の実家と呼ぶべき場所には誰もいない。
母親は今1人で「自分の実家」と病院とを行き来し、寝泊りする日々を送っているようだ。これから先、僕も含めた各々の帰るべき「家」はどうなっていくのだろう、ということもふと頭をよぎった。だが最早何処が帰るべき家か、なんぞということは、どうでもいいような気がする。帰るべき場所は決まっている。それは守らなければ行けない人の待つ場所だと僕は思った。

身体も嘆かわしいまでに衰弱しすっかり痩せこけてしまった祖父は、痴呆の進行も悪化しており、何とか僕の存在は認識したものの、ほぼ自分を取り巻いている現在の場所や状況が定かじゃないようで、1分前に行ったことを忘れ、それをまた果てしなく繰り返すという、永劫回帰のようなサイクルの中に生きている。それは常人の認識からすると殆ど理解の範疇を超えた、気の遠くなるようなサイクルである。

だが一体誰が常人だろう。祖父は彼の認識する世界の中を、まだ確かに生きていて、そして生きようという意志のもと、生きているのだ。最早歩くことも、起き上がることもままならない状態だが、それでもそうしようとしている意志表示を見せ、それは殆ど今正に立ち上がろうとしている赤ん坊の努力のようなものなのだろうか、と思えた。人間は生まれ、育ち、やがて年月を経れば、また同じ状態で戻っていくのだろうか。

老人の介護とは、生半可なものではない。だが、人は誰しもその最後の時が訪れるまで己の生を全うしようとしている。また介護の現場というものを目の当たりにし、ヘルパーさんの施しは仕事以上の人間としての任務のような温かさを覚え、そして母親の献身的ないつ終わるともしれないサポートには、ただただ身を打ちひしがれるような無限大の慈愛を知り、
その行いには何の理由も存在しないのだ。愛に理由などいらない。それは無償のものであって、大切な人、守るべき人がそこにいるから、という、理由があるとすればただそれだけのことだろう。

僕は自分が不甲斐無かった。自分の中にこれほどまでの優しさや愛情があるものか、と。
すぐに東京に戻り、また日々がはじまる。その日々とは何か。自分はここで困難な状況にある家族から離れ、一体何をしているのか。

だが現状の自分には自分の生を全うする、自身の仕事、任務、を遂行していく、ということしか出来ない。だが、それがまだ若い、この漲る活力をもってして、十分に、まだ可能なのだ!僕は!それはやはり自分にとっては音楽、ロック、以外の何物でもなく、随分アホな道を選んでしまったと今更ながら思うが、もう、後悔も後戻りも出来ない。なぜなら人の生は有限だからだ。その生を精一杯生き、全うするしかない。

そして最後に、生きる、生きている、というただそれ自体のことが、殆ど奇跡のようなことだったのだ。僕等が当たり前に行っている行動のひとつひとつは、それはかつて幼き頃には、また同時に老い衰えたからだでは困難極まりなく、そう、これは8月序盤に熱中症で動けなくなった時もそういったことを身に染みて思い出したのだった、そして僕等は幸運にも、今現在若さという只中の時期にいることが出来ている!頭を働かせ、身体を動かし、思い切り、仕事をしたり、遊んだり出来る、そんな命がある!

面会の別れ際、最後に祖父が、いやおじいちゃんと呼ぼう、おじいちゃんが、「また」と言った、言ってくれた。「また」と思い、彼は本当にそのまた日まで、きっと生きるのだろう。だから僕も生きる。生きようと思った。

今日からまたライヴが忙しくなる。
何も終わらない。夏はこれからはじまる。
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