梨もぎ取り(梨狩り)旬の味覚を満喫しませんか...!
マンスリーとーぶTOBU 池袋東武
2004 6月号掲載

新 ・ 駅前そぞろ歩記
六実(むつみ)
船橋から柏〜なだらかな下総台地を結ぶ野田線。
走る電車の車窓から見えるのは、森と田園と、そして小さな駅から広がる穏やかな町並みです。
「六実」もそのひとつ。明治時代になって新しく誕生した町です。
でも、新しい町は新しい町として歳月を重ねて発展し、その町独特の香りを醸し出すようになりました。
訪れるごとに少しずつ大きくなっていく六実の町並み。そして、この町で暮らす人たちの笑顔も増えています。

本誌の11ページに掲載いたしました。
むつみ石井梨園
あずまです。短大時代からの親友、早苗が暮らす東武野田線の六実を訪れました。
彼女が通っている、ステンドグラス教室の一日体験コースに参加するためにやってきたのですが、
その前に六実駅周辺を案内してもらいました。
ここは...早苗が毎年、夏になると家族で梨狩りを楽しむという「むつみ石井梨園」。
梨のもぎ取りは8月からですが、今年は私も誘ってくれるよう早苗としっかり約束しました。

旬の味覚を体験しょう。
夏から秋にかけ甘い香りでいっぱい
昼下がりの六実駅前。朝の通勤風景がウソのように、のんびりとした空気に満ちています。
平屋建ての駅前には小さなロータリー...というより駅前広場といったほうがぴったりの雰囲気。
正面に構えた商店街も、ほとんど2階か3階建ての店舗が並んでいます。
空が広い六実の駅前の風景なのです。
どこにでもある郊外の小さな町ではありますが、六実は人の手で新しく造られた町です。
宅地造成という最近の事情とは違います。
重機などなかった明治時代に、ホントに人の手で開拓されたのです。
幕府直轄だった広大な牧野に明治維新の人々が入植し、苦労しながら開墾して村を創り上げました。
村名も開墾の順に、初富 ... 二和 ... 三咲 ... 豊四季 ... 五香 ... そして6番目に「六実」。
その名は現在ではむしろ「果物が実る町」というイメージのほうが強いかもしれません。
六実駅は松戸市と鎌ヶ谷市が入り組んだ境界付近にありますが、
両市ともに昔から梨の栽培が盛んで、観光農園も昭和30年代から始まりました。
六実駅の最寄りでは松戸側に梨園が多く、例年8月中旬から10月上旬にかけて、「幸水」「豊水」「二十世紀」などの梨狩りを楽しむ人々で大賑わい。
夏から秋、六実は甘い果実の香りに包まれるのです。
最近はイチゴ農園や、区画ごとに畑地を貸し出す市民農園も見かけるようになっています。
開拓の村として始まった六実は、やはり大地からの恵みを大切にするという伝統がいまも息づいているようです。

圧巻!古代きもの美術館
六実駅の東側は鎌ヶ谷市側で、最近は宅地開発が広がりつつあります。
六実駅の北東、大津川の低地を望む台地の先には、戦国時代を偲ばせる佐津間(さつま)城の城跡。
また、幕末にはその佐津間村出身で、討幕勤王の志士として戦い、
非運の最期をたどった渋谷總司の碑が、宝泉院に建てられています。
明治に開拓が始まった六実ですが、飛躍的に発展したのは、やはり大正末の東武野田線
(当時は北総鉄道)の開通がきかったようです。
その時代に六実駅前に創業した着物専門店はいまも健在で、
全国でも珍しい「古代布きもの美術館」を併設しています。
国内はもとより海外からも2000点余りの古今東西の貴重な布の文化遺産を収蔵。
原始時代の布からインカ文明やナスカ文明の遺跡から発掘されたもの、
またボストン美術館にあった日本の能装束を修復復元したものなど、
まさに着物の文化を歴史、民俗といった軸で系統的に学ぶことができ、
その技巧や装飾の美しさを楽しむことができる、民間屈指の資料館です。
駅の北西、六高台は首都圏のベッドタウンとして人気の住宅街。
この町を美しい桜並木の通りが貫いています。
ステンドグラス&モザイクガラスの工房「スタジオ mu(ミュー)」には、なんともユーモラスで詩的な作品が展示。ステンドグラス制作の体験教室も開催しています。
村を開拓し、発展して町となった六実。その町はいまも少しずつ彩り豊かになっているようです。
六実「むつみ」駅から梨園まで徒歩で7分です。
本誌マンスリーとーぶ東武鉄道広報センター編集部皆さん掲載をありがとうございます。

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