
僕は仙台市出身なのにも関わらず「すずめおどり」というのが存在すると知ったのは去年の事でした。ここ数年でクローズアップされた踊りだそうですので、仙台に1980年までしか住んでいなかった僕は当然知らなかったわけです。どんな風なのか、見てみたいと思っていました。
昨日「夏祭り 仙台すずめ踊り」なる祭りがあると知り、せっかく仙台に来ているのだから見に行こう!と出かけて来ました。今年で4回目という新しいお祭りだそうです。仙台駅からフルキャストスタジアムへ行く途中の道路を通行止めにして開催していました。

着いてみると、屋台もたくさん出ているのに、思ったより見物人が多くありません。人混みを想像していたので拍子抜けしました。いくつかのグループが踊っているのを見ていたら「これから流し踊りの2回目が行われます」というアナウンスがありました。道路の片車線を使って、次々と踊るグループが通るとの事です。
しかし最前列も全部は埋まりません。少し前まで降っていた雨の影響もあるのでしょう。まだ道路には水たまりがあります。僕は「どんな踊りなのか雰囲気がわかればそれでいいや」と思っていたので、10分ぐらい見て帰るつもりでした。

「流し踊り」が始まったので見ていると「皆さん、拍手をして下さい!踊りは拍手で盛り上がるのです!」という会場のアナウンスが聞こえましたが、ほとんど拍手は起きず、皆通りすがりのついでに見ているという雰囲気でした。正直言って、僕もそうでした。
それが、途中から雰囲気が変わって来ました。会場がジワジワと盛り上がってきたのです。それは、踊っている人たちも、見ている僕らもです。お腹に響く太鼓の音や、威勢の良いかけ声などで、会場全体がノッてきたのを実感できました。

踊りがビシッと決まると、皆自然と拍手をしていました。踊っているグループの声も大きくなってきました。太鼓や笛や鉦が大きなグルーヴになって非常に気持ちが良く、気合いの入った踊りや演奏に魅せられました。それはなかなか感動的な光景でした。見物人で一緒に踊っている小さい子もいました。

衣装やグループの個性も様々です。元々すずめ踊りは即興だそうで、各グループはそれぞれ独自の振り付けで踊ります。グループの規模も様々で、踊り手がたった4人しかいないグループから、100人以上もいる大きなグループまでありました。

それが次から次へと踊り演奏しながら来るのです。衣装も、メイクも、扇子の色も、実に様々。参加者の年齢も、小さな子供からお爺ちゃん、お婆ちゃんまで幅広いです。演奏されている曲は1曲だけなのだそうですが、それぞれアレンジしているのでリズムパターンも様々です。
このリズムのアレンジも興味深く、シンプルにビートを変えずにノリで勝負するグループもいれば、アクロバティックなバチさばきで見事に二拍三連をキメる凄腕の兄ちゃんもいて、非常に素晴らしかったです。

もう見ていて本当に感動しました。踊っている人も楽しそうです。カッコイイ。東北の人たちは内気だと言われますが、こんな風に肉体を使う表現ができる祭りが仙台にもできたんだなあという感激もありました。
結局、10分ぐらいだけ見るつもりが、同じ場所に立ったまま最後まで流し踊りを見ました。1時間半ぐらい見ていたでしょうか。僕の周りのほとんど人たちも最後まで見ていました。
後でニュースで知ったのですが、参加グループは40団体以上で、参加人数は1,500人だったそうです。
僕の印象では、流し踊りに参加したグループの人数よりも、それを見ていた観客の人数の方が少なかったように思います。調べてみると、去年は2日間開催されていたのが、今年は1日だけに縮小されたらしいです。こんなに素晴らしい祭りなのに。
以前は2日間で観客数65,000人を動員した事もあったそうです。ちなみに公式サイトによると、昨日の予想観客数は「約50,000人」という記述があります。残念ながら雨の影響もあり、とてもその観客数が達成できたとは思えません。
「仙台青葉まつり」というお祭りでもすずめ踊りを大規模に行うようですが、そちらで間に合わせようという発想はすべきではないと思います。日数が減った理由はわかりませんが、すずめ踊り一色になるこの祭りが消えてしまう事がないように祈るばかりです。

ぜひ来年は「夏祭り 仙台すずめ踊り」にお出かけ下さい。この祭りは無くしちゃダメよ。
外部リンク:
「夏祭り 仙台すずめ踊り」公式サイト