
日本ロック史上最も激烈なヴォーカリストであり新民謡歌手である、布谷文夫のソロアルバム。もうとにかく歌が圧倒的でもの凄いパワー!日本が世界に誇るべきヴォーカルです。しかしながら不運にもこのアルバムは「数百枚しか売れなかった」とか「百枚に満たなかった」とか言われているほど売れませんでした。
音楽ファンには「ナイアガラ音頭を歌っていた人」として有名でしょうけれど、僕には「冷たい女」の衝撃の方がずっと大きかったです。「冷たい女」の歌はとにかく凄いです。全部日本語の歌詞なのに日本語に聴こえないのです。歌手でも英語っぽい発音で歌う人もいますが、それとも全然違います。
実は僕は初めて「冷たい女」を聴いたのはこのアルバムのスタジオ・ヴァージョンではなく、1981年に発売されたLPのBOXセット「NIAGARA VOX」に収録されていたライヴ・ヴァージョンでした。最初はただボーッと聴いていたのですが、歌詞カードを見てビックリ!「お前は女 冷たい女」というれっきとした日本語の歌詞だったのです。驚いて何度も歌詞カードを見ながら「冷たい女」を聴きました。何度も聴いているうちに、少しずつ理解できたという壮絶な歌唱法でした。衝撃でした。
残念ながら僕が衝撃を受けたこの「冷たい女」のライヴ・ヴァージョンは、LPのBOXセット「NIAGARA VOX」の発売時に世に出ただけです。収録されたLPはバラ売りされなかったので本当に少数の人だけしか聴いた事がないと思います。でもこのライヴ・ヴァージョンはスタジオ・ヴァージョンの1億倍ぐらい凄いのです。あれ以来、世に出ない事が本当に残念です。
出ない理由はわかっています。このライヴ・ヴァージョン、ベースのチューニングがもの凄く狂っているのです。「悲しき夏バテ」も今では入手困難のようですが、いつかボーナストラックでこのライヴ・ヴァージョンを収録して再発される事を望みます。その時はもう1枚買います。アミーゴ!!