力おじちゃんは「ホテル探しに行くから」と駅の方へ出かけてしまった。泊めてあげたいけど実家はブタ小屋だし、自分ちは嫁ぎ先だしなぁ。。。
歓迎が出来なくて本当に申し訳ない(涙)
楓たんを保育園に迎えに行って、歌を唄いながらチャリで家に向かっていたら
ピピピピピピピピピ・・・
電話が鳴った。
滅多に鳴らなかった携帯(ダウンロードもしてないからただのピピピだし・笑)が、最近は活躍してるよね・・・皮肉にも。
『K病院です。先ほどの検査の詳しい写真が出来上がって、そのことでちょっとお話がしたいんですが・・・今から来ていただけないでしょうか?』
え!?!?!?今から!?!?!?
つーか今さっきまでいたんですけど!!!!
・・・こんな呼び出しはよっぽどのこと。
検査の結果が悪いんだろうか。ごろじっちゃんの体はどうなっちゃうんだろうか。
とにかく、分かりました!すぐに行きます!
一旦家に戻り、楓たんをじっちゃんに預けて出発。
ごめんね楓たん、傍にいてあげられないママを許してね。
タクシーで病院へとんぼ返り→→→→
力おじちゃんの携帯にかけたけど、繋がらない。
大事な話を一人で聞いて良いのだろうか。
怖い。怖いけど、聞かなくちゃ。
私はごろじっちゃんの長女なのだ。
医師「MRI検査の明細が出て・・・脳の血管の様子がよく分かるんですが、脳梗塞については先ほどお話したとおりです。ですが・・・ここを見ていただくと良く分かるんですが、妙に血管が膨らんで見えるでしょう?風船のように膨らんだ血管・・・これは脳動脈瘤です。これは脳梗塞とは全然別物で、今回の検査で偶然見つかった病気なのですが・・・診る限りかなり大きいので危険な状態です。血流によってどんどん膨らみ大きくなっていき、破裂するとクモマッカ出血を引き起こします」
え・・・つまりどういうこと?
ごろじっちゃんはどうなっちゃうの??
「今は破裂していないので特に主だった症状も見られませんが、破裂すれば意識が飛ぶどころか生命の危険さえ保証しかねます。難しいのが、今回倒れたのが脳梗塞で血が固まって起こるものであり、この脳動脈瘤は逆に血が流れることによって成長してしまうもの・・・つまり対称的な病気なんです。治療法も脳梗塞には血を流れやすくする薬を使いますが、脳動脈瘤は血の流れを抑えなければなりません。どっちを優先するか・・・本当に微妙なのですが、この大きさから考えて、あえて今は脳動脈瘤を優先し、血を流れやすくする薬を一旦止めました」
ということは、今度は脳梗塞が起こり易くなる状態というわけだ・・・
「とにかく、脳梗塞はこのまま様子を見ることにして、まずはこっちの脳動脈瘤の治療をした方が得策だと思われます。ただ・・・脳梗塞は脳神経内科で治療できるんですが、脳動脈瘤となると脳外科になるんですよ。ここには脳外科がないので治療が出来ません。なので明日11時にS病院に転院してもらいます。転院の手続きはもう済ませてあります」
へ!?転院!?
移動!?
何だか話がぶっとんでついていけないよ・・・
ごろじっちゃんが危険な状態。
生きてるのに、ちゃんと意識があるのに、あの頭の中ではそんな危険な状態になっているのか。。。
「今夜中に破裂する・・・なんてことにならなければ良いのですが。何とか明日無事転院するまでもってもらいところです」
ぼーっとするママに医師も
「・・・大丈夫ですか??」
大丈夫です大丈夫です、大丈夫だけど・・・ごろじっちゃんは大丈夫なんだろうか・・・
力おじちゃんともやっとこ連絡が取れて事情説明。
菜穂姉ちゃんもさっき別れたばかりなのに、また病院に駆けつけてきたよ。
ごろじっちゃんはいつの間にかカメラつきの完全監視特別室に移動され、動きをモニターで常にチェックされる重病扱い患者となってしまった。
おしっこを溲瓶でしにくいから、と、立ち上がったら看護婦2人が
「どうしたんですか!?」
「何してるんですか!?」
慌ててすっ飛んできたよ・・・
ごろ「今まで普通に生活してたのに、今更監視も何もないわなぁ・・・」
ため息つきながらそうぼやいた。
確かに今は頭がボーっとする程度で、痛み等の症状がないのだ。重病人扱いをされても、本人ですら実感が湧かないのかもしれない。

面会時間はとうに過ぎているのに、いつ危険な状態に陥るか分からないこの病室は制限が無いようで、付き添い用のパイプ椅子まで2脚運んできてくれた。
びっくりするほどの扱い・・・
ごろじっちゃん、そんなに悪いの?死んじゃうの?
不安を感じつつも、楓たんが待っている。夜通し付き添っているわけにもいかない。
とりあえず、明日はまた一日休みをもらって転院付き添いに来るからね。
コクンと頷くごろじっちゃん。
大丈夫だよね、明日もまた会えるよね?
何かあればすぐママの携帯に病院から連絡が来るはず。
明日会おうね!!信じてるからね!!
これから先、待ち受ける闘いに不安を感じながら帰宅。
楓たんはニコニコ元気にママを待っていた。
置いていかれても泣かなかったらしいけど、帰ってからは「ママママ」言いながら離れなかった。
ごめんね・・・何も分からない君が救いでもあり、少し切なくもあるよ・・・

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