東京都は、交通事故や脳卒中などが原因で言語や記憶機能などが一部損なわれる「高次脳機能障害」への対応強化に乗り出した。都は手始めに心身障害者福祉センターを支援拠点として整備。2007年度からは一部区市町村に高次脳機能障害者支援員を配置する方針だ。
高次脳機能障害は脳の一部が損傷を受けて起き、(1)注意力や集中力の低下(2)比較的古い記憶は保たれているものの新しい出来事が覚えられない(3)感情や行動の抑制が利かなくなる―などの症状が表れる。外見上は分かりにくいが周囲に合わせた適切な行動が選べなくなるため、他者の理解を得にくく生活に支障を来すようになる。
都調査では、都内の高次脳機能障害者は1999年度に約4200人いるとされたが、福祉保健局は「自分で障害を認識していない人や、医師が確実に診断できないケースもあるとみられ、実際はもっと多いだろう」とみている。
都は今年度の支援事業として11月から、専用電話での相談を開始。事務職やカウンセラー、作業療法士らがコーディネーターになったりチームを構成したりして障害者の相談に応じ、地域の保健所や医療機関、患者家族の会などと連携した支援を行っている。
07年度からはセンターの対応人員を増やすほか、区市町村と連携した支援促進事業を実施。具体的には高次脳機能障害者支援員を12カ所程度に配置して、都との連携や障害の実情について、普及啓発を図ってもらう。
障害者自立支援法では、専門性の高い相談支援事業や広域的対応が必要な障害者支援事業は都道府県が進めることになっており、高次脳機能障害もこの中の一つに位置付けられている。
記事:官庁速報

0