14作ロケ地探索も大詰め!
続いて向かったのはこのシーン
橋の手すりの腰掛ける寅

橋の外側に咲いていた花を取ろうとして
誤って帽子を落としてしまう。

慌てて帽子を追いかけるが
すっかり帽子は濡れてしまい
案山子に被せて乾かすことに。
と、ここまでが14作のオープニングシーン。
この最後の橋のシーンを撮影した場所を探索。
この橋は某ロケ地紹介本で
九十九川の「川嶋橋」である。
と書かれていたのを読んだことがあった。
で、以前もその情報を元に
Googleで探したことはあったのだが
今回もう一度Googleで確認。

橋には「昭和59年に完成」とある。
当り前だが木の橋ではなくなっている。
川岸の遠景

寅が走っていくシーンの背景に
似ているような似ていないような…
映画で映っている白い横長のブロックのようなものもない。
川には映画のような堰はあるようだが…
ストリートビューで下見をする限り
この場所が撮影に使われた場所である確証が
何も見つからない…
むしろこの場所ではないのでは?
という疑念の方が大きくなる。
もっと広範囲に見てみようと
いつもの航空写真を使ったが
それでも決定的な事は見つからなかった。
これは最初から考え直さなくては
ならないのでは…
という事で自力調査を始めた。
先ずはヒント探し。
探索のため今回最初に注目したのは
ココ!
先ほども少し触れたが何か直線的な人工物
コンクリのブロックを繋げているのだろうか…
九十九川であることを信じ
ひたすら川を上ったり下ったり。
そしてやっと見つけたポイントが
ココ!!

横長に続くコンクリの人工物。道路の土手。
年月が経過しているので黒く変化している。
そして近くに九十九川も流れ
堰もある。
そして映画に映るような

石垣もある。
しかし肝心の橋が無い…
そこで登場航空写真!
現在は確かに橋は無いが…
2000年頃までは
橋はあったようだ!
***
ということで
この日最後に向かったのがココ!

成就院より西へ約3q
群馬県安中市松井田町高梨子付近
そして写真がこちら!

堰もある。

橋は現在建設中。

コンクリが新しので色は白っぽい。
映画と比べて見る。

似ているといえば似ているが
決定的な証拠がない。
あくまでも状況証拠のみ。
石垣で同じ形があるかもと思ったが
これもまた見つけられず…
しばらく物証を探したが何も進まないので
状況を打開するために
場所を移動。
OPでの最後のシーン

このショットもここでの撮影ではないかと
予想していたのでこちらの調査に切り替えた。
予想していた場所が川の反対側だったので
そちらに向かってみた。
反対側は田んぼや畑が広がっているのだが
獣除けに電線が張り巡らされ
思うように動けなくアングル探しには厳しい状況だった。
そして何とか見つけたのがこのアングル。

映画にとても似ているがこちらも決定打が無い…
午後3時過ぎ
諦めかけていると1台の軽トラックが
直ぐ近くに停まった。
降りてきたのは畑仕事にこられたご婦人だった。
「こんにちはー」と声を掛けられた。
声を掛けられこちらも
「こんにちはー」と応えたが
車もあまり通らないようなこの場所で
青いファイル片手にウロウロしているその姿は
さぞ怪しい人物に映っていたに違いない。
近づくご婦人に思い切ってストレートに聞いてみた。
「あのー、
ずいぶん昔になると思いますが
この場所で寅さんの撮影があった
なんてお話、
聞いたことありますか?」
するとそのご婦人、何の躊躇もなく即答で
「あー、ありましたよ。
もー随分昔の話だけど・・・
でもそんな事聞かれたの初めて。
あんた何処から来たの?東京?」
えっ?!
普通この手の質問をすると
大概は寅さんは知っているけど
撮影についてはほとんどの方はご存じない。
当然今回も同じような答えが返ってくるものと思い
自分がここで何をしているかを明確にして
不審者ではないことを強くアピールすることを
目的としたとっさに出た質問だったのだが
予想外の答えだった!
「えええー?
ご存じなんですか?
実は私このシーンを探しているんです。
似ていませんか?この場所。」
と持っていたファイルの写真をお見せした。
「ほー似ているねー。
よーくその写真だけで
ここまで来れたねー。」
しばらく東京都の風景との違いを談笑した後
このシーンはあまりご存知ないようだったので
「あのー撮影が行われたこと
ご存知という事でしたが
どんな撮影だったか
何か覚えていますか?」
「あー、
撮影のかた(スタッフ)に
リヤカー貸してくれって言われて。
なんか木造の橋が良いからって
それで今は無いけど前はそこに
橋があって
その場所で撮影したのよ。」
「あー、このシーンですね!」
(この写真を見て頂き)
「そうそう木造の小さな橋。」
「その時の事
他になにか覚えていますか?」
「リヤカー貸してくれって言われて
ついでにそのリヤカー引いて
橋を渡ってくれと言われ
まだ小さかった娘と一緒に
橋を渡ったのよ。」
な、なんと!
そう、
奇跡の出会いとは

このシーンにチラッと映っていた方との
偶然の出会いの事!
髪を結わえた小さいお子さんと映る黄色い服のご婦人。
言われてみれば確かに歩いているには動きが変。
実はリヤカーを引いていたのだ!
もう興味が止まらない!
「映画に映るからっていうんで
高崎まで映画を見に行ったんだけど
自分はちょこっと足だけしか
映っていなくてすごくがっかりしたわー。」
もう40年以上も前の記憶。
チラッと映っていたのが
足なのか頭なのかはもう忘却の彼方。
重要なのはあのシーン映った方である事!
そのお話はどれもとても貴重な証言だ。
「娘が小さかったから
(昭和)48年頃だったかしら…」
(映画は49年公開。こちらはほぼ正解!)
橋は老朽で危険なため撤去されたようだ。
橋の名前も明確にしたかったのでお尋ねしたが
元々地元の方が農作業用に使っていた橋なので
特に覚えていないとの事。
この作品が第14作であることをお伝えし
とても貴重なお話が聞けたことにお礼を告げお別れした。
そうなのだ!
やはり橋のシーンは
ここで撮影されていたのだ!
これは決定的な証言!!
またひとつ
新しい事実が判明した!

橋のシーンはここで撮影!
残念ながら当時の橋は無かったが
現在建設中のこの橋が出来上がった頃
またここに来ようと思った。
で、結局

このシーンは未解決となっております。
もし情報お持ちの方いらっしゃればお知らせください。
よろしくお願いいたします。
おしまい。

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