先週の月曜から続いた8連勤がようやく終わった。
さすがに全身が筋肉痛で頭もクラクラするが…今夜は携帯のワンセグTVでざわりんとHERO'Sを観戦、明日は休みだ。悪くない。。
僕の職場にOさんというおじさんがいる。
Oさんは非常に口うるさくていつも喧嘩腰で、怒鳴ってばかりいる。いわゆるどこにでもいる、煙たがられがちな“うるさいオヤジ”。
そんなOさんが嫌で、僕がいなかった2年間に、何人かが辞めた。そして今度は、ガンダムオタクで口下手なTちゃんまで、突然連休しはじめた。
Tちゃんは確かに、ちょっとみんなよりも仕事が遅い。僕は悩み事などを話しやすいキャラクターなのだろうか…個人的にロッカールームで彼から相談を受けた。
僕はその時、2年前に一緒に働いていた頃から彼に対して抱いていた疑問をぶつけてみた。「Tちゃんは子供の頃、お父さんやお母さんによく怒鳴られたかい?」
彼はブンブンと首を縦に振り、「はい!すごい怖い両親だったので、毎日怒鳴られてました!」と答えた。
「やっぱり…」と僕は思った。
怖い両親から怒鳴られてばかりいた子供は、大人になってから人の顔色を伺いビクビクしがちで、心を開くのが苦手な大人になる。Tちゃんの場合とはケースもパターンも異なるが、僕にもその傾向はある。
Tちゃんのように、見た目からしていかにも気が弱そうなタイプは、Oさんみたいな“お小言おじさん”からすれば、恰好の餌食だ。
Tちゃんはひょっとしたら自閉症の傾向もあるのかもしれない。だけど、社会ではそれはまるで言い訳にはならない。僕もこれまでいろいろな職場で働いてきて、こういったことはよくあることなのだとわかっている。
しかし、今日Oさんの言ったこの一言だけは、どうしても許すわけにいかなかった。
「Tは今日も休んでるなあ〜。アイツ、あれでもう30代も後半やろ?…アイツの人生、もう終わってんで!」
僕は「TちゃんにはTちゃんの人生があるんやから、ええじゃないですか。ここの仕事には向いてへんかもしれへんけど。」と言って、Oさんの意見にやんわりと逆らっておいた。そうでもしなければ、4年もの長い間、身を粉にして彼なりに精一杯頑張ってきたTちゃんが浮かばれないからだ。
当然、口ごたえをしたことで、Oさんの矛先は僕のほうに向いた。「キミはいつもスミマセンって言い過ぎる傾向があるなあ。あれはあんまり良くないで!直しや!」
それはまさに僕にとっても的を射た忠告だったので「ありがとうございます!」と感謝を告げるとともに、僕はこんな話をした。
「僕がスミマセンってすぐ謝る癖があるのは、小さい頃、両親がすごい厳しくて、ガミガミ言われるのが怖かったから、そういう癖がついたんですよ。ずっとそれがつらかったから、大人になったら見返してやろうと思っていたら…母親は一級身体障害者で言葉も喋れず、父親はそのショックもあって、重い精神病になってしまったんです。だから結局…言われっぱなしで終わっちゃいましたね…」
…Oさんの顔つきが、変わった。「そうか〜。キミも大変な苦労しとんねんなあ…。」
そして、周りに誰もいないことを確認すると、聞いてもいないのに昔話を語りはじめた。
Oさんのお父さんは、ヤクザだった。それはもう手のつけられないワルで、子供の頃はさんざん殴られ蹴られしたそうだ。僕も子供の頃はしょっちゅうひっぱたかれていたので、その話をしたら、Oさんが笑った。なんだか淋しそうな笑顔だった。。
人にはそれぞれ事情ってものがある。
僕には僕の事情が。
OさんにはOさんの事情が。
TちゃんにはTちゃんの事情が。。
だけど職場ってヤツはたいていどこでも効率主義だから、“仕事のコマ”として効率の悪い人間には、容赦がない。
きっとOさんは、そんな厳しい世界で負けたくなくて、人一倍努力し、自分より若い者には自分と同じ努力を求めたい人なのだろう。
そんなに悪い人ではないのだ、きっと。疲れるけど(苦笑)。
いつも夕方になると焦りはじめるOさんに「焦るなよ!!」と怒鳴られバケツの水をぶっかけられながら(苦笑)、仕事が一通り片づいて洗い物をしていると、同僚のIさんが近づいてきて肩をポンと叩き、小声で声をかけてくれた。
「Oさんの言うこと、あんまり気にせんでええからね。Tちゃん休んでるし、今日はとばっちりやったやろけど…気にしたら負けやからなっ!」
…そして僕の顔を見て、ニッコリと笑ったIさん。
「大丈夫やで!負けへんからっ!」…そう答えて、おんなじようにニッコリ笑う僕。
人生は、上手くバランスがとれている。
つらいことや悲しいことばかりが続くということはなく、必ず嬉しいことや素晴らしいことも、かわりばんこでやってくる。
自転車での帰り道、公園のベンチに腰かけて休憩をとった僕は、ルイ・アームストロングの“WHAT A WONDERFUL WORLD”を口ずさんだ。
ベトナム戦争の際にルイ・アームストロングが慰問で歌ったら、戦地の若いアメリカ兵たちが皆、大声をあげて泣いたといわれる、あの美しい名曲だ。
I see trees of green,
red roses too
I see them bloom
for me and you
And I think to myself
what a wonderful world
(中略)
The colors of the rainbow,
so pretty in the sky
Are also on the faces
of peaple going by
I see friends shaking hands,
saying how do you do
They'd really saying,I love you
I hear babies cry,
I watch them grow
They,ll learn much more than I'll ever know
And I think to myself
what a wonderful world
苦労なら、人並みに経験している。だけど…僕よりもっともっと苦労している人だっているだろうし、僕はそれをことさらに強調したり、ましてや“いかにも苦労してそうな顔”をするのが嫌で、いつも笑ってばかりいる。
それは、僕が選んだ生き方であり、美学でもある。
“ごらんよ、樹々の緑を。真っ赤な薔薇を。
それは、僕と君のために咲いているんだ。
なんて素晴らしい…世界なんだい。。”

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