皆の衆、ご無沙汰しておるが元気かのお?ワシは、神様じゃ。
巨体を活かしたパワフルな攻撃で、格闘技界のみならず世間的なブームを巻き起こし、一世を風靡した“ザ・ビースト”ボブ・サップ。
そんなかつてのヒーローが、K-1オランダ大会でのアーネスト・ホースト選手引退興行で、前代未聞のドタキャン敵前逃亡をやらかし、格闘技界に居場所をなくしつつあった。
一時は弁護士を立てての訴訟問題にまで発展したこの事件。K-1サイドの譲歩もあり、この度同じオランダの地で、名誉挽回のチャンスがサップに与えられた。
相手は、アーネスト・ホーストの盟友ピーター・アーツ。
ここで勝利もしくは、真摯に闘いに向かう気持ちを観客や関係者に示すことができれば、一気に失地回復。まさにサップにとっては千載一遇のチャンスじゃった。
サップは、ゴングと同時にタックルでアーツの懐に飛び込んだ。しかし、アーツのローキックを怖がるあまり腰が引け、動きに鋭さがない。
主審にいったん分けられると、再度突進したサップ。しかし、アーツに左の前蹴りを止められ、逆に左膝蹴りを腹部に決められると、呆気なく倒れ込んで、そのままロープ際で悶絶。
泣き顔のサップ。その口元から緑色のマウスピースがはみ出た。
すでに戦意はない。何もできず、何の余韻も残せず、サップはリングに沈んだ。。
1ラウンド、たったの26秒。サップの再起は、惨めな大失敗に終わった。。
会場を揺るがす激しいヤジとオレンジの食べかすが、サップに襲いかかった。勝者アーツも、あまりの呆気なさに汗すらかけずに拍子抜け。
K-1の谷川イベントプロデューサーは、「はあ〜」と深い溜め息をつくと「改心した試合ではなかったですね。せっかく和解のチャンスを与えたのに、そんな気持ちになれません…。裏切られた気持ちでいっぱいです。」と、がっかりした表情で語った。。
どうして、かつては最強との呼び声すらあったボブ・サップが、これほどまでに弱体化してしまったのか?それは…ミルコ・クロコップ選手との一戦がきっかけじゃった。
当時、天下分け目の大一番と注目されたこの一戦で、サップは攻撃を受けることの痛みを知ってしまった。
ミルコのパンチを鼻に受け、泣き顔で倒れ込んだサップ。
人間離れした巨体とフットボール仕込みの突進力で前へ前へと出て勝ち星を積み重ねてきた彼は、傷つけることには慣れていても、傷つけられることには慣れていなかったのじゃ。
その日の歴史的敗北以来サップは、リングの内外を問わず挙動不審が目立ちはじめた。ミルコのパンチが、サップの鼻骨と一緒に、心までも折ってしまったのじゃ。。
心が折れたボブ・サップは、もはや雄々しい格闘家ではなかった。ただ体が大きいだけの、気の小さい男じゃった。
よく若い人に見られがちな現象じゃが…挫折を知らない時はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、「怖いものなどない!」と自らを過信するものじゃ。そんな時、人は自分を買いかぶり、自分より弱く見える他人を見下す。
しかし、実際は「怖いものなどない」のではなく、「怖いものをまだ知らない」だけなのじゃ。怖い体験をするほど魂が成熟していないから、まだ人生の高いハードルを与えられていないだけなのじゃよ。
先日、「実家の店をたたんで破産宣告を受けたい」と父親から相談を受けたまさぼーは、こう言った。
「破産宣告は最後の手段だよ。今はまだ、その時期じゃない。今、店をたたんでしまったら、苦しさに負けて逃げたことになる。今後の展望も持たずに、苦しいからと店をたたんでしまったら、きっとお父さんは後から後悔するでしょう?長年生き甲斐にしてきたものを突然なくしてしまったら、お父さんの病状はますます悪化する。だから、たとえ売れなくても、とにかく店を開けて座っていようよ。それが商売人のつとめだよ。」と。。
思い直したまさぼーの父は、気を取り直して店を開け続けることにした。もちろん、体の不自由な母も一緒に店に出ることにした。
「捨てる神あれば、拾う神あり」。
この一週間で、洋服が二着ほど売れた。来月度の家賃ぐらいはなんとかなるお金が、手に入ったのじゃ。
奇跡は、あきらめない心に降りてくるもの。あきらめて折れてしまった心には、けっして奇跡は起こせないのじゃ。。
「人」とは、お互いを支え合う様を表した言葉。人は、ひとりで強くなるのではない。仲間がいるから、強くなれるのじゃ。
失ったものは還らないかもしれないが…ならば、これ以上失わないように、精一杯頑張るだけなのじゃよ。。
まさぼーの父はすっかり自信をなくし、まさぼーやざわりんに「すまんな。アンタ達にも不自由な思いばかりさせて…」と口にすることが増えた。
しかし仲間は、赦しを請うために集まるものではない。支え合うために、集まるものじゃ。
まさぼーは社会的には現在、無職。それを穿った目で見る者もいるじゃろう。
しかし、まさぼーの父や母は、まさぼーと話すことで心を救われ、妻ざわりんは、そんなまさぼーを「一家の大黒柱」と頼りにしている。
何十年も家族の問題に根気よく取り組んできたまさぼーの人知れぬ努力と、それを深く理解し愛したざわりんの夢が、蕾から花を開きはじめたのじゃ。。
世の中がギスギスしておる理由のひとつに、極端なフェミニズムがある。
男と女の特性を理解せず、闇雲に男女平等を主張するから、女はつけあがり、男はヘタレる。
ガミガミと怒鳴りちらす自己主張女と、主張のない弱火な男。
昔から「男は度胸。女は愛嬌。」と云われるのにも関わらず、昔の女が何故男を立ててきたのかを理解しようとしないフェミニズムは、単なるコンプレックスにまかせた感情論にしか過ぎん。
日本人は、お金に振り回され過ぎなのじゃ。お金を唯一の神として崇めるような下賎な心が、人を物事の本質から遠ざける。。
世の中が右に左にと不安定なのは、男に主張がないからじゃ。
女を、家族を、支える太い幹のような一本芯の通った男が減ったから…世の中はいつしか、もっぱら女性原理で動くことになってしまった。
ヒステリーは、女の特徴。じゃから今の世の中は、ちょっとしたことでキレやすく、老いも若きも、男も女も、ヒステリックにピーチクパーチクと喚くのじゃ。。
女は女の視点で、男に過剰なまでの要求をする。
男は女の視点に合わせようと、過剰なまでに気を遣う。
お互いに自分のことばかり考え信頼がないから、思い通りにならないと、すぐキレる。そしてそれを、右も左もわからない子供たちに見せてしまう。。
「亭主、元気で留守がいい。」などというふざけた言葉があるが…ただ外で働くしか能のない男は男ではなく、ただの歯車じゃ。そして、それを良しとする女は、ただの馬鹿じゃ。
今の日本人は、男は男として弱体化し、女は女として弱体化してしまった。
男が男として伸ばすべき特性と、女が女として伸ばすべき特性。それをお互いに理解しようとせず、逆に伸ばさなくていい要素ばかりを互いに伸ばしてきた倒錯の歴史の結果が、奇妙奇天烈な今の日本なのじゃ。
一方ではアメリカの顔色を伺いながらコンプレックスを蓄積させ、一方では半島の人々を露骨なまでに見下し差別して、アイデンティティを保つ。
そんな現代日本人は、心の折れた惨めな国民。最近世間を騒がした公務員の横領問題などにしても、「バレさえしなければ何をやったっていい」という、自分勝手で卑怯な心理がそこにある。
目に見える表面上だけ、さも綺麗に取り繕って、一皮剥けば目も覆わんばかりの醜さ。「世の中は裏表があるのが当たり前」と、わかりもしないくせに、さもわかったような顔をして、わかったフリをする。
それが「大人」だと言うならば、「大人」とは「最低の人間」という意味なのか?
今や日本は、「ヘタレの王国」と化してしまった。
モラルがない。堪え性がない。
極端なフェミニズムが徹底され、そこに「男らしさ」がないのじゃ。そして、「男らしさ」がない国には、その対立概念たる「女らしさ」もまた、ないのじゃよ。。
ボブ・サップには常々、同性愛者説が囁かれている。
大きく逞しい男の体と、弱々しくヒステリックな女の心。そんな天の邪鬼な彼の姿が、本来の「らしさ」をなくした今の日本に似て見えるのは、ワシだけじゃろうか?
男には、人を納得させる「知性」と、安心させる「包容力」が必要じゃ。
女には、人を大らかな心で受け止められる「優しさ」と、和ませる「美しさ」が必要じゃ。
人は皆、未熟な落ちこぼれの天使。時折、大事なものをいろいろ忘れて、飛び出してきてしまう。。
しかし、それでいいのじゃ。気づきさえすればな。
忘れ物は、取りに戻れば、よいだけじゃ。。
【投稿者・神様】

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