あんまりカラッと晴れた暑い日が続くので、梅雨が明けたかと思っていたら一転して連日の大雨。そしてまた、暑い暑い毎日。久しぶりの更新になります。まさぼーです。
親戚との話し合いから、早くも二週間が過ぎました…。懸案だった我が家の家賃の問題は、親戚の方のご厚意で幾らかお安くしていただける見込み。来月早々に、その件で再び相談をさせていただく予定です。
そして、いよいよ9月には母が退院します。ずっと望んでやまなかった慣れ親しんだ我が家へ、我が店へ、いよいよ母が帰ってきます。障害者の認定も受け、これからは無理はしないでゆっくり生きていって欲しいと願います。
まさぼーは今、連日のお墓参りと般若心経の読経を欠かさずさせていただいています。
お墓参りに行って、お祖父ちゃんお祖母ちゃんはじめご先祖のお墓に水をかけて、お線香をあげて、手を合わせていると、気分が不思議と落ち着きます。
相談の最中、僕は親戚の叔母さんに「アンタは感謝が足らない」ということを厳しく言われました。父や母、そしてご先祖に対する感謝の気持ち。それが足らないから、僕は病気になったのだと。そして、21日間に及ぶ連日のお墓参りと般若心経の読経を勧められました。
長い間疎遠になっていたその親戚は、もちろん我が家の様々な裏事情を知りません。ましてや僕の病気のことは、話せば話すほど理解に苦しむといった様子でした。しかし信心深いその方は、キッパリとこうおっしゃいました。
「お父さん、お母さん、そしてご先祖にとにかく感謝!そうすればアンタの病気なんて明日にでも治る!」
僕の病気は、実はどうやら先天性の障害であるらしいことが、最近わかりました。生まれつき脳に一般人とは異なる障害があるために、普通に生活することすら常に違和感を感じ大変に困難なのです。そして、その困難さゆえに心の病気という二次障害を併発した可能性が高いのです。
しかし、目には見えない病気ゆえに、長年連れ沿った妻以外の他人に理解してもらうのは不可能に近く、この時も非情に悲しく悔しい思いをしました。僕の病気は、誰かに感謝したからといって明日すぐ治るというような、簡単な代物ではないからです。一生背負っていかなければならない、重い十字架だからです。
妻も僕も、目にいっぱいの涙をためて、じっとこらえていました。妻は叔母さんの話の途中、僕の震える手をしっかりと握ってくれました。妻の手の温もりが、僕の震えを止めてくれました。
しかし恐らく親戚の叔母さんには、最近流行りのプチ欝ぐらいにしか思えなかったのでしょう。だから…誰かに自分のことをわかってもらうというのは、もう諦めました。それはわかってくれる人だけがわかってくれればいいこと…。わかってもらうことに、一生を捧げてはいけないのです。
だから…ひたすら、感謝あるのみです!細かいところにはこだわらず、ご先祖に手を合わせるきっかけを作ってくださった叔母さんに、心から感謝です!
父に、母に、妻ざわりんに、そしていつも力を貸してくれる妹夫婦に、胸いっぱいの感謝です!
樹木に年輪があるように、僕たち人間の手にはたくさんの皺があります。
「手と手の皺を合わせて、皺合わせ=幸せ」
昔からこう言われるように、お墓の前でしっかりと両の手を合わせると、じんわりと温かさを感じて幸せな気持ちになってきます。
それは、手の皺とは、“自分が生きた人生の年輪そのもの”であるからに他なりません。
辛いこと。悲しいこと。悔しいこと。淋しいこと。腹が立ったこと。嬉しいこと。楽しいこと。
たくさんの様々な感動とともに、僕は今日まで生きてきました。それはいわば、光と闇の歴史。温かく眩いばかりの光と、冷たく暗い漆黒の闇。この二つに見事に彩られた、贅沢な人生でした。
手と手の皺を合わせるという行為は、この二つ…すなわち人生の光と闇を合わせる行為ではないかと気づきました。
ひとつ、またひとつと体験を重ねるごとに刻み込まれた僕の年輪。僕の手の無数の皺。…それを合わせる行為。
『合掌』。
人生の光も闇も、全て隠すことなくさらけだして、まさしく生まれたばかりの赤ちゃんのように、裸でご先祖と向き合う。お墓参りとは、そんな行動ではないかと感じるようになりました。
晴れの日も、風の日も、そして大雨の日にはカッパを着て、僕は毎日自転車でお寺へと向かいました。お寺の手前の急な坂道を上り下りした頃には、いつもクタクタでした。
汗と雨でビショビショになりながら手を合わせたのは、初めてでした。
僕たちはいくつになっても、まだまだ知らないことばかり。体験したことのない感動が、すぐ傍に転がっています。こればかりは机の前で本ばかり読んでいたのでは、一生かかってもわからないこと。まさに『書を捨てよ。街に出よう』なのです。
そしてまた、新しい体験に、新しい感動に、出会えたことに感謝。だから毎日ご先祖に向かってお伝えする言葉は、ただひとつだけです。
「ありがとう。」


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