◆和歌山の旧繁華街ぶらくり丁入口・丸正跡
若者や家族連れの行動パターンが郊外型に変わって以来、すっかり寂れてしまった和歌山の旧繁華街“ぶらくり丁”。
その入口にある百貨店・丸正は、かつて市民の買い物と憩いの中心地でした。
まさぼーがまだ赤いベレー帽をかぶった“まさぼーちゃん”だった頃…丸正はまだクリーム色の石造りの、モダンな建物でした。
和歌山一の大きなオモチャ売り場。一度そこへ足を踏み入れると心に夢がたくさん広がって、後ろ髪をひかれてしまうまさぼーちゃんでした。「ほら、早くしなさい。もうお昼よ」と急かせるママの声。
最上階には展望レストラン。日の丸の旗がお洒落なお子様ランチを口いっぱいに頬張ると、小さな胸は幸せでいっぱいでした。
屋上には小さなモノレールがあり、青空の下、子供たちの歓声がたえることはありませんでした。
やがて安くて質の良い商品が大量に出回るようになり、何でも使い捨ての時代がやって来ると、百貨店はその役目を静かに終えました。
もう30年以上も昔の、セピア色の思い出です。でも…あの懐かしいクリーム色の丸正が、無駄を省き洗練化された今の街並みよりも、遥かにモダンに感じられるのは何故なのでしょうか?
無駄を無駄として切り捨てるのではなく、全てを温かく包み込む余裕。
それが…“モダンの正体”だったのかもしれません。


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