日本人なら誰でも知っている「かぐや姫」の昔話。この話は考えようによっては恐ろしい物語です。
月からやってきたお姫様が、その美しい容姿に惹かれてプロポーズしてくる何人もの男たちに、絶対実現不可能な無理難題を押しつけ、それが叶えられれば結婚してもいいと言います。
お姫様の要求を叶えようと男たちは東奔西走しますが、けっきょく誰一人として、それを叶えることはできません。
一人の男は何とか姫の気持ちを惹こうと、姫が要求した物の“偽物”を用意しますが、姫はそれすらも見抜いてしまいます。
男たちは皆、姫のせいで危険な目に遭い、次々に死んでゆきます。
そしていよいよ月からの使者が姫を迎えに来ます。
こうして姫は、身寄りのない自分を育ててくれたお爺さんお婆さんが泣いて止めるのも聞かず、月の楽団が鳴らす荘厳な音楽とともに、月へと帰ってゆくのです。
う〜む…なんたる傲慢でワガママなお姫様なのでしょう!(苦笑)
男たちの気持ちや、育ててくれたお爺さんお婆さんの気持ちはどうなるのでしょうか?
姫が要求する物の偽物を持ってきた男を、姫は“偽物を持ってきた男”として切り捨てます。
しかし“偽物を持ってきた男”の、姫に対する愛は、必ずしも“偽物”だと断言できるのでしょうか?
「嘘から出たまこと」という言葉が示す通り、“偽物”を用意してまで姫の気を惹こうとした男の行動が、姫を愛するがあまりの必死の行動で、後々姫を幸せにしてくれる優しい男なのかもしれないではないですか?
そもそも貢ぎ物で結婚相手をはかろうとするかぐや姫のやり方は、あまりに物質至上主義的で、鼻持ちならないものがあります。命を賭けて姫が要求する物を持ってくる男よりもむしろ、「君のそんな考え方は間違っているよ」と優しく教えてくれる男こそが、この世間知らずなお姫様には必要だったのではないでしょうか?
この物語には、まるでコミュニケーションというものがありません。
男たちの愛も、お爺さんお婆さんの恩も、全ては姫の価値観、姫の判断で一刀両断です。
姫の価値観…それは一言で言えば「月の価値観」です。そう、かぐや姫は、我々地球人とは感性の異なる宇宙人、エイリアンなのです。
男たちの愛を疑う前に、姫の態度はどうでしょうか?それは愛されるにふさわしいものだったでしょうか?
最後にかぐや姫は、お爺さんお婆さんと手に手を取って涙ながらに別れを惜しみますが、そんなに悲しいなら、あるいはお爺さんお婆さんがかわいそうなら、なんとか無理してでも地球に残る方法はないのか、かぐや姫!?という気持ちに僕などなってしまいます。
皆さんの周りには、こんなかぐや姫のようなエイリアンはいませんか?
僕は1年間仲良くつき合ってきた彼女にこの前フラれました。いやむしろ、「見捨てられた」と言っても良いでしょう。
心に病を抱えているため健康な人以上に前言撤回の不安に耐えることができない僕との「約束したことは守って欲しい」という約束を守れず毎日のように前言撤回を繰り返し、その挙げ句にひとりでハマッてひとりで結論を出した彼女。
この「赤いベレー帽」のブログが大好きで、僕・まさぼーのことを「こんないいヤツはいない」、赤いベレー帽のブログのことを「道標」と呼んでくれていた彼女は、「赤いベレー帽」の常連コメンターでした。
まさぼーのカミサンともつきあいがあり、この1年悩みながらも友好的な関係を築いてきた彼女は、ある日突然メルアドを変えるという行為で、まさぼーに対して一方的な絶縁を伝えてきました。
“恋人”というスタンスを保つのに疲れたのなら、“友達”でもいい。とにかく1年という長い時間をかけて育てた絆や信頼関係を、一瞬で台無しにするのだけは避けたい。…僕はそう思いました。
しかし彼女は僕の説得を聞いてはくれず、僕の質問にも答えてはくれず、僕のカミサンの想いもわかってくれず、突然メルアドを変えてしまったのです。
この件で落ち込み精神的に追い込まれた僕を心配して、ブログを通じて知り合った友人GREENちゃんやアネゴちゃんがたくさんのメールをくれました。
文字だけでしかやりとりできない遠い町に住む二人は、親身になって僕の相談にのってくれました。
そしてまさぼーの彼女が新しいメルアドをGREENちゃんには教えたことから、GREENちゃんが彼女に、こう言ってくれたのです。
「ねえ、新しいメルアドをまさぼーちゃんやまさぼーちゃんの奥さんにも教えてあげてくれないかな?このままじゃ、まさぼーちゃん達がかわいそうだよ!」
それに対し彼女の返事はこうでした。
「それはできません。まさぼーさんが言うように私達は波長が合わないみたいだから。でも、あの二人はいい人だから、GREENちゃんは仲良くしてあげて。それじゃ!」
GREENちゃんからまさぼーにメールが入りました。
「いい人だと思うなら、そんないい人に、なんでこういうことをする?それがわからないよ…」
そう、まさぼーにもわかりません。そして、まさぼーのカミサンにも。
思い出も、絆も、全てあっさり捨てて、彼女はどこへ行くのでしょう?
話をしても、話がすり抜けてしまいます。質問をしても、答えは返ってきません。説得をしても、立ち止まってはくれません。“いい人”だけど、つきあいたくない、と言います。そして…そんな“いい人”とあなたはつきあってね、と他人を仕切ります。
彼女は、まるでエイリアン。地球とは価値観の異なる異星の住人。
彼女はきっと、月からやって来たかぐや姫。お爺さんお婆さんが泣いて止めても、月へ帰る他ありません。
月へ帰る理由は、我々にはわからずじまい。月には月の論理があるのでしょう。
ここは地球…蒼い星。僕たちは今日も傷つき、涙を流し、笑い、怒り、無器用なコミュニケーションをしながら、少しずつ歩いています。
月の時間軸では考えられないほど…それは微々たる歩み。燃費の悪い非合理的な生き方。
水色の涙が地球を覆うから、この星は蒼いのです。
月からやって来たかぐや姫は、その色の美しさに…
いつか気づいてくれるでしょうか?
So long good‐bye…かぐや姫…。

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