そういえば去年の秋に関西でライブがあった際、延泊して色々と街を歩き回ったのだけど、その時の写真が出てきたので、写真整理も兼ねて紹介していこう。
丁度、11月も中盤くらいで紅葉真っ盛りだった事もあり、街は観光客で非常に賑わっていた。
日本各地に紅葉の名所は数あれど、特に京都には名所が多く点在しており、且つ夜のライトアップ等、様々な趣向を凝らして見る者を飽きさせない演出からは、京都府民の紅葉にかける並々ならぬ情熱、そして観光都市としての矜持を感じさせられる。
神社仏閣とその背景にある紅葉とのコントラストからは、古来より日本国民の中で脈々と受け継がれてきた「わびさび」という心情に深く感じ入る事が出来、その神秘は海外からの来客の心も掴んで離さない。
日本が日本である所以を知るには、まさにこの季節の京都が一番であろう・・・。
という事で、そういうものにオレは一切目もくれず、京都一乗寺にある天下一品ラーメン総本店にGO!FIGHT!
余談だが、オレの写真フォルダの中に観光写真や自撮り、スッピン画像などは一切ない。あるのはただ一杯のどんぶりの風景だけだ。それだけで十分だ。
小雨舞う中、大阪から電車で約1時間、そこからバスで更に約1時間、寒さにかじかむ手を吐く息で暖めながら、己の行動に一切の疑念を抱く事なく辿り着いたここ天下一品総本店!どうだ、この威厳に満ちた本店の店構えよ!
普通やんけ!
幹線道路沿いにある、他の店舗といたって変わらぬ普通の佇まいであった。
まあまあ、そうは言っても、天一は手広くフランチャイズ運営をしている巨大ヌードルコンツェルン。他の店構えと大差ないという事は、それだけ統制のとれた理想的経営管理システムが構築されている事に他ならない。
やはり只者ではないな・・・と感心しながら店ののれんをくぐる。ガラリ。
「いらっしゃいませぃ!」
ウム、普通だぁ。
普通に元気のよい店員の挨拶であった。そしてメニューを取る。
普通のメニュー。
特に本店だけの限定メニューもないようだ。
ゴクリ・・・水。
普通。
トイレいっとこ。
フツーに綺麗。
「ラーメンこってり、お待ちどうさまです」
ほほう・・・、これはオレがよく行っていた東京は池尻にある天一とはどんぶりが違うではないか。なんと見事な朱色の器よ。まさに神社仏閣がひしめく京都にふさわしい鳥居色である。そしてその中に浸されたスープのこれまた見事なお狐さま色よ。Welcome総本店!どんぶりの中の八百万の神がオレを迎え入れようとしてくれているようだ。オレはそう感じる。感じるぞ。
霊験あらたかなこの一杯に二度柏手を打ち、神に感謝の祈りを捧げてから、ずずいと一口、麺を食してみた。
ズ・・・ズズ・・・。
フ
ッ
ツ
ゥ
〜
!!
(゚∀゚)にウマイ!
つか、普通ぅー!
いや、厳密に言うと違うのだけど、小雨が振る中、片道約二時間をかけて食べに来た感動としてはいたって普通の天一の味であった。
行く前のリサーチで散々周りから他店舗とは歴然と味が違うと触れ込まれたからだろうか、期待が余りに大きすぎたのかもしれぬ。
しかし、これはチェーン展開しているラーメン店からしてみれば決して悪い事ではない。どこでも同じような味が出ているという事は、それだけ洗練された運営体制が整っているという事でもあるのだから。
という事で次の日、羽田から家に帰る道中、オレは持論を確かめるべく川崎にある天一川崎店を食い直してみた。アホかと思うかも知れないが、そこに一切の疑念や迷いは無い。オレの辞書に「ラーメンの食い過ぎ」という文字はない!元から辞書にそんなのないけど!
普通の店構え。
アンド・ラーメン。
てことで、ウム。やはり普通。
厳密には違うのだけど、丁寧に決められた量を盛りつけする程度の業務改善で補えるもののように思う。
よい意味で天一の底力を確認できた聖地巡礼であったとさ。

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