永遠の0 (講談社文庫)

元軍人のそれぞれの視点で一人の男を語り紡いでいく。「死にたくない」の一言の捉え方がそれぞれに違う。軍人としての弱さと捉えるか強さと捉えるか…。
「妻のために死にたくない」というこの一言はとても重い。「愛している」と、いとも簡単に使われている平和ボケした現代。「愛」は決して軽いものではない。命がけであるものなのだと思わせる一言である。
なんとしても生き抜きたいと切実に思う男の執念。どんな状況でも真に大切なものを見極める判断力と決意と勇気。 守るべきものがあるからこそ、絶望の中にも曲げぬ強さをみせ、生き抜くことへのわずかな希望を捨てなかった男の真の強さを感じる。「九死一生 」に希望を持ち戦い,「十死零生」に服せず戦った男の姿に素直に感動を覚える。

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