
話の根底にあるのは家族であり別離、死別、不倫、離婚であり決して明るい話題ではないのだが、そんな人生の紆余曲折を経たものが互いに干渉し合い「心の風邪」から再生へと向かっていく。町風景と心の描写が美しい文章で綴られていて、心地よい風が読む者の中に通り抜るエピローグとなる。
生きていればすべて変わっていく、より良い未来を願いながら変わっていくことの大切さに気づかせてくれる。
「青春・朱夏・白秋・玄冬』で人生の時期を表すのも深みがありますね。 犬塚康博さんの「幸せそうな人たち」の歌の一節に
青い春は石を剥がし/朱い夏に石を投げ/白い秋は石を切り出し/玄(くろ)い冬に石を敷く〜ってあり、再び感動。

0