午前中、皮膚科に行き、待合室に置いてある本を何気なく、読んでみました。
それは「だからあなたも生きぬいて」という元極道の妻だった大平光代さんが書かれた本でした。
彼女は中学2年の時に、いじめられ、果物ナイフを腹に刺し、自殺を図りました。
その後の人生は坂を転げるように、非行、両親への暴力!そして、16才で、暴力団の組長の妻になりました。
そして背中には入れ墨を入れ、凄まじい生活を22才までしていました。
当時働いていた北新地のクラブで、父親の友人の大平浩三郎さんに会うことにより、彼女の人生が変わったのです。
大平さんに会っているときに彼女は次のように言ったそうです。
「今さら立ち直れったって、なにを寝言言うてんねん、口先だけで説教するのはやめてくれ。そんなに立ち直れってゆうんやったら、私を中学生の頃にもどしてくれ。」
それを聞いた養父の大平さんは、このとき、初めて大声をあげた。
「確かに、あんたが道を踏み外したのは、あんただけのせいやないと思う。親も周囲も悪かったやろう。でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、あんたのせいやで、甘えるな!」
その後、光代さんは、中学校からの勉強をやり直し、そして29才の時、司法試験に受かり、弁護士となります。
彼女は今、非行少年の更生に努める弁護士として、活躍されている。
大平さんが、やり直そうと決意した光代さんに送った言葉です。
「今こそ出発点」
人生とは毎日が訓練である
わたくし自身の訓練の場である
失敗もできる訓練の場である
生きているを喜ぶ訓練の場である
今この幸せを喜ぶこともなく
いつどこで幸せになれるか
この喜びをもとに全力で進めよう
わたくし自身の将来は
今この瞬間ここにある
今ここで頑張らずにいつ頑張る
京都大仙院 尾関宗園
大平光代さん著 「だから、あなたも生きぬいて」2000年発行 より
親にひどい虐待をされた生徒、血のつながる人がだれもいない施設から通っている生徒、小中学校でひどいイジメにあった生徒、そしてここには書けないようなことを経験している生徒・・・
様々な人生を送ってきています。
何度も日記には書いていますが、ハーバード大学医学部教授、アンドリュー・ワイル氏は次のように言われています。
「患者さんにとって一番効く薬は、その病気から立ち直った人の話を聞くことだ。」
つらい経験をした生徒には、「悲しい経験、つらい経験は、決して無駄ではない。同じような悲しい経験、つらい経験をしている人の気持ちがわかり、その人を救えるのは、君だけなんだよ。」と話すときがありますが、まさにその通りだと思うのです。


0