今回、私たちが太郎君の件に関与するようになったのは、ミクシーのコリー・シェルティ・レスキューの方が、市の広報を見て、東京都の保護センターに掲載されていたワンコが太郎君だと知り、飼い主さんに連絡されたのが発端です。
当然、飼い主さんは団体が返却してくれるものだと思いましたが、団体からは、「保護センターからすでに譲渡され、団体の所有になっています。」という情けのないメールが来ました。
このことが、我々が団体と交渉することになった所以です。
飼い主さんは、太郎君が東京都の保護センターにいる間、問い合わせをしていました。しかし、センターの言う太郎君の体重と毛の色が、自分の思っていた事と違っていました。
毛の色の違いというのは黒の差し毛の事です。
私が、キャンディを引き取ったときに、セーブルコリーという話だったので、毛の色は、以前、飼っていたエリーのような白と茶のみと思っていました。
しかし、空港に迎えに行ってみると、黒い毛が多く、トライコリーとの中間??と思うほど、差し毛があったので、キャンディのブリーダーさんに、すぐに電話したことがあります。
キャンディに会うまでは、私のセーブルコリーのイメージは、白と茶でしかなかったのです。
実際、黒い差し毛は加齢とともに増え、黒くなる傾向があるようです。飼い主さんは太郎君の毛のイメージを白と茶と思っていたのです。
保護センターへ問い合わせをしたときに、職員が「毛の色は茶色、白、黒の毛。」と言ったのと、自分の思っていた体重と職員の言う体重差が6キロ以上あったので、別のコリーと判断してしまいました。
前にも述べたように飼い主さんはパソコンを持っていませんでしたので、センターの掲載している写真を見ることができませんでした。
団体との交渉中、飼い主さんに、この事を確認すると、保護センターに行かなかったことをとても後悔されていました。
飼い主さんは東京都と隣接していた場所に住んでいましたが、自分の居住地域の保護センター、保健所、警察に届け出をしていました。
このような事が重なり、東京都保護センターの保護期間が過ぎ、太郎君は、団体に譲渡されました。
我々のメンバーの中には保護センターに、太郎君を譲渡してくれるように頼んだ方もいらっしゃいますが、東京都に登録した保護団体でないと引き出しができず、CATNAPに保護を頼んだのです。
太郎君はCATNAPに保護され、命をつなぎました。このことについては、我々はとても団体の活動には感謝しております。
しかし、懸命に太郎君を捜されていた飼い主さんがやっと太郎君を見つけ、団体に連絡したのに、その返事は情けのないものでした。
その時点では、まだ太郎君は大阪の一時預かりのところにいて、新しい里親のもとには行っていませんでした。
なぜ、返すことができないのでしょうか?その事は我々にとっては、信じられないことでした。
太郎君を一時預かりした方もブログを立ち上げましたが、私たちが返却要求をするとすぐにコメントを削除、書き込めないようにする行動をとりました。
団体のHPのコメント欄にも返却要求をしましたが、削除、書き込めなくなりました。
また、その頃からあるブリーダーが、飼い主やそのお兄さんまで中傷するような事をブログに書き始めました。飼い主さんに「飼育不適格」という烙印までし押しました。
このブリーダーはいまだにこの誤った情報をインターネット上に垂れ流しをしています。
「飼い主さんは一人暮らしの老人で、太郎君の世話も満足にできない人だった・・・・。
肝機能の炎症・・・・・気づかずにいる飼い主・・・・。」
このような間違った推測が、団体の判断を誤らせたのかもしれません・・。
しかし、飼い主さんは太郎君を一生懸命に捜されていたのです。
飼い主が見つかったという連絡を受けた時点で、すみやかに、団体は飼い主さんと直接に会って、調査や話し合いをすべきでした。
所有権は団体にあるという主張に、飼い主や親族の方は、一度は太郎君を取り戻すことをあきらめようとしましたが、我々の説得により、団体と交渉することになりました。
飼い主さん側は訴訟という手段も考えましたが、太郎君を早く飼い主さんのもとに戻すことを第一に考え、太郎君が団体から譲渡されるという形をとりました。
動物保護センターに収容された犬、猫は、遺失物法の対象外となり、一定の保護期間を過ぎ、団体に譲渡され、所有権は団体にあるという主張を代表がしていましたし、東京都の保護センターも同じ判断をしていました。
しかし、複数の弁護士が、今回の太郎君のケースは訴訟すれば取り戻せるという判断もしていました。
たとえば、関東の方が愛犬を拉致され、居住地だけでなく、関東全部の県の保護センター、警察に連絡したとします。 しかし、その誘拐した者が関西でそのワンコを放棄、関西の保護センターが引き取り、公示しても、元の飼い主が、気づかず、団体に救出、譲渡され、里親に飼われたとします。
このようなケースの場合、動物保護団体が、連絡してきた元の飼い主に対して、何の調査もせずに所有権を主張したとすれば、大変、不条理な話になると思うのです。
東京都保護センターの方は、私がこのことを指摘した時に、そこからは「情の部分」ということになりますと明確に答えられました。
しかし、情を重んじる事こそ、保護活動そのものではないのでしょうか。
飼い主が捜していれば、他の都道府県で動物保護センターに収容され、保護期間が過ぎ、団体に譲渡され、たとえ里親が飼っていても、元の飼い主に戻すという契約を保護センター、保護団体、新しい里親の間で契約書に必ず入れるようにする不文律を作っていかなければ、今回のよう問題が発生します。
実際、元の飼い主が現れた場合、飼い主に返すということを保護団体と里親の間で交わしているところもあります。
まとめサイトではこのような問題も提起していきたいと思います。

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