現在の定時制高校は30年以上前の「金の卵」と言われていた勤労学生が学んでいるところではありません。
当時は地方の優秀な生徒が、都会の工場で働きながら進学を目指していました。
現在は、状況が変わり、定職をもっている生徒は私が勤め始めた7年前でも数人でした。働いているとしても多くがアルバイトです。
多くの生徒が全日制の高校を希望していますが、希望校に合格できなかったり、家庭の事情や不登校、学力、外国籍の生徒など、様々な理由で定時制高校に入学してきます。
家庭崩壊、家庭内暴力、薬物、援助交際、犯罪行為等は、程度の差はあるものの、今や日本のすべての学校(全日、定時、通信、進学校、課題集中校)に存在する問題だと言われていますし、経験からも実感しています。
昨年の文化祭で、生徒会が豚汁を販売するために、大きな寸胴鍋を購入しました。
豚汁作りで奮戦している若手教員達に「料理の作り方がわかっていない。」と檄を飛ばしているときに、ふと、生徒の中には、正月料理を食べたことがない子もいると思ったのです。
「来年の正月あけはみんなで餅をついて、雑煮を食べる。」ということになり、新年餅つき大会を企画しました。
定時制高校には勤労学生のための給食制度が残っています。半額が補助されます。しかし、今やこの制度を利用しているのは、在籍生徒の20%くらいかいません。
困窮していて、まともに食べられる食事が給食だけという生徒もいます。
今の学校長は「食育」ということに理解があるので、話がとんとんと進み、またPTAの役員さんも積極的に協力してくれました。
昨年、いろいろと話題になっていた総合学習の中で、お雑煮を食べ、日本の食文化を学ぶという企画になりました。
雑煮の餅にしても、角餅、丸餅、あんこ入り、汁に関しても醤油、味噌など様々です。
PTA会長さんが役員さんの出身地の雑煮を調べ、レポートしてくださいました。
昨日は午後1時頃から仕込みを開始、PTAの方々は午後7時25分開始の餅つき大会から、後片付けまで、ずっと立ちっぱなしで、お母さん方のパワーには感動いたしました。
生徒も多くて200名くらいかなと思っていたら、300名、ほとんどの生徒が参加してくれました。
アンケートのようなワークシートを作成、出席確認と総合学習のためのレポートを生徒に書かせたのですが、大好評でした。
みんなで楽しく食べるということの大切さを実感しました。
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1)関東風 2)東北風 3)京風 4)北九州風 5)韓国風
デザート お汁粉
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昨日はとても心地よい疲れでした。
ちなみにうちの定時制は昨年の入試で定員枠の倍を取り、日本最大の定時制高校になっています。
そして、小中学校で不登校だった子供達が、毎日通えるようになっているのです。
県には入試の時に「長期欠席申請」という制度があります。学校に通えなかった子供達のことを、入試の際に考慮に入れる制度です。
19年度の新入生で長期欠席申請をした子供の74% 19人が元気に通えるようになっています。この%は18年度も同じでした。このことは画期的なことだと思っています。
生徒達がにこやかに雑煮を食べている姿を見れば、疲れも飛んでしまいまよね。


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