「トイレット博士(第1期・Vol.3)/とりいかずよし」
本・マンガ・美術

僕が生まれて初めてマンガの単行本を買ったのは、小学校3年生の時でした。それが「トイレット博士」の第1巻でした。定価250円だったのを憶えています。
トイレット博士には影響を受けまくりました。連載されていた少年ジャンプも毎週読んでいましたし、ちょうどメタクソ団の話の頃でしたので、僕も「マタンキ!」という合い言葉を連発しておりました。
僕が団長になって実際に「メタクソ団」を作ろうとした事がありましたが、友達は誰も入ってくれませんでした。今から考えると、女の子や下級生がいるところでウンコの絵が描いてあるバッジを出して「マタンキ〜!」なんて言うのは恥ずかしいですよね。でも本気でメタクソ団を作りたかったのです。
当時僕はマンガ家になりたくて、初期の天才バカボンのようなほのぼのしたギャグマンガを中心に描いていましたが、トイレット博士の影響でうんこマンガも描きました。ちゃんとケント紙を買って、ペンやインクや羽ぼうきなども揃えてウンコのマンガを描いていたのです。友達にはウケましたけど、親はどう思っていたのでしょうか。
この「第1期・Vol.3」は2002年に再発売された物です。スナミ先生や一郎太、チン坊は出てきますが、残念ながらまだメタクソ団は結成されていません。もうこの本が出てから3年半も経ちますが、続きはいつ発売されるのでしょうか。早く読みたいのでさっさと出して欲しいものです。
話のベースになっているのが天地真理の曲だったり、ハンサムなのを表すセリフが「野口五郎か森田健作みてえだァ」というのが時代を感じさせます。
トイレット博士を紹介する時には「うんこマンガ」というのが的確なのでよく使われますが、誤解して欲しくないのは、ただウンコが出て来る汚いだけのマンガじゃないという事です。
トイレット博士には家族愛、友情、ほのかな恋、正義、団結というのがベースにあります。その上でのウンコです。僕はウンコが出て来るからこのマンガに夢中になったわけではなく、話に惹かれたのであれだけ熱中したのです。
トイレット博士は再評価されたり、再ブームが来た事もありません。数年前に、美少女キャラ「うんこちゃん」のコンテストが行われましたが、大して盛り上がりませんでした。このマンガに熱中していた僕等の世代も、もう40代ですから、子供に「昔パパはトイレット博士といううんこマンガが好きでマタンキ!と叫んでいたんだよ」とは言いにくいでしょう。
でも改めて読み返してみて、今でも「いいなあ」と思います。いつか僕に男の子供が出来たら、きちんと「昔パパはトイレット博士というマンガが好きだったんだよ」と話をして、マンガを読んであげようと思います。そして子供がトイレット博士を気に入ったら、子供とメタクソ団を作ります。女の子が産まれた時は潔く諦めますが。