この前、横浜美術館の前でピアノとギターの2人組が、ジャクソンファイヴの曲などのインストゥルメンタルを演奏してたので聴いていたら、ポツポツと雨が降って来ました。
そうしたら、演奏中に、美術館の隣の飲食店から店員さん2名が、お店の大きな傘を持って出て来て、彼らが濡れないようにと、傘をセッティングして、お店に帰って行きました。
それを見て感激したのですけど、僕もそんな経験があった事を思い出しました。
僕は高校時代、自転車通学をしておりました。
ある日、帰宅途中に、突然激しい雨が降って来ました。
バケツをひっくり返したような、ものすごい土砂降りです。
僕は友達と一緒に帰っていたのですけど、信号待ちの時に、後ろのカゴに入っている、むき出しになっているノートや教科書(カバンの外側のポケットに多くの教科書やノートを突っ込んでおりました)が濡れて行く様子を見て、思わず「うわ〜!教科書とノートが濡れる〜!」と大声で叫びました。
その声が聴こえたのでしょう。
僕らが信号待ちをしている横断歩道の、目の前にあるお店から、土砂降りの雨の中、三角巾と割烹着を着たおばさんが飛び出て来て、僕のカバンに、無言で大きなビニールをかけてスッポリと包み始めたのです。
驚きつつも「あ、あ、ありがとうございます!」とお礼を言うと、おばさんは何も言わずに店にサッと戻り、信号は青になり、僕らは雨の中、慌てて自転車をこいで走り出したのでした。
ほんの数秒の出来事でしたが、一緒にいた友達が笑顔で「なんだか感動っすね〜!」と言っていました。
親切なおばさんのおかげで、僕の教科書やノートの雨による被害は最小限で済みました。
今考えると、こういう親切は、普段からしていないと、咄嗟に体が動かないように思います。わずかな間に、これだけの行動は取れないのではないでしょうか。だから、おばさんは普段から、こうした親切を、当たり前だと思っていつも実行している人なのでしょう。
こういう親切は、他の誰かに、どこかでお返ししなければなあと思い、出来る範囲で実行しております。
しかし、土砂降りの中で見た、あの割烹着姿のおばさんの何とカッコ良かった事か。
ヒーロー、ヒロインは、日常の中にいるのです。