演芸の世界には出囃子というものがありまして、落語家の皆さんの場合はそれぞれ自分の曲を持っておりますし、漫才やコントの場合は、自分の好きな曲を流してもらう事もよくあるようです。
ロックなど音楽の世界でもこれらはありまして、例えばKISSですとTHE WHOの「無法の世界」が流れると、ファンたちはもうすぐKISSがステージに登場するのを知って盛り上がりますし、ユニコーンはあえて外して「元祖天才バカボン」の「タリラリラ〜ンのコニャニャチハ〜」という音楽で登場してウケていました。
演芸の世界では落語家さん以外の場合、割といい加減な部分もありまして、会場で用意された音楽で出てくる事も多いようです。
僕は最近、暇を見つけては録りためたお笑い関係のビデオテープをDVDに移す作業をしているのですけど、2000年に放送された「東西寄席」を改めて見返してみたところ、その出囃子にビックリしました。
おそらく番組の音効さんか、会場のスタッフの好みだと思うのですけど、漫才やコントなどの出囃子がロック関係で統一されていたのです。
例えば、ケーシー高峰師匠の出囃子がジミ・ヘンドリックスの「ワイルド・シング」、おぼん・こぼん師匠がレッド・ツェッペリンの「移民の歌」、おかけんた・ゆうた師匠がザ・ナックの「マイ・シャローナ」で出てくるという具合です。
ビックリ仰天したのは、レツゴー三匹師匠の出囃子が、なんとブラック・サバスの名曲「アイアン・マン」だったのです。
レツゴー三匹にヘヴィメタル!
これらの方々と、このロックの出囃子とは、特に共通するものは何もないと思いますが、このいい加減さというか、テキトーさが実にいいなあと、演芸&ロックファンの僕は思うのです。しかも演芸に強いNHKで。
これからブラック・サバスを聴くと、レツゴー三匹を思い出すかもしれません。