ポールのDVD3枚組「The McCartney Years(ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005)」が11月14日に日本発売されます。発売はレコード会社の良心、ライノです(詳細は
こちら。収録曲は
こちら)。
ポールは昔からビデオクリップを山ほど作っているのに、正式に発売されたフル・ヴァージョン映像はほんの少ししかありませんでした。
ですから僕は80年代からコツコツとポール関係のブート映像を集めていて、実は今回発売される映像もすでにほとんど持っております。
しかし今回は映像も音源もリマスターという事で、やっぱり凄く嬉しいです。貴重な映像も収録されています。「マムーニア」のビデオなんて僕は見た事ありません。
でも収録されていないビデオもまだまだあり、例えば計算されつくしたカット割りをし、1台だけのカメラのみで撮影している「オンリー・ラヴ・リメインズ」など、僕は本当に大好きなのですけれど、今回は未収録です。これ本当に凄いんですよ。ピーター・バラカンさんがこのビデオを見ながら、ポールがカメラの外で移動する時間をストップ・ウォッチで計ったという話もしていました。ビデオではシングル・ヴァージョンの音源を使っていて、僕はアルバムの音が薄い方よりも、シングル・ヴァージョンのアレンジの方がずっと好きです(「トーク・モア・トーク」や「アングリー」もシングル・ヴァージョンの方が好きです)。
他にもアルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」のビデオは何曲も存在するのに、結局「ベイビーズ・リクエスト」しか収録されないようで「ゲッティング・クローサー」などは見られません。「アゲイン・アンド・アゲイン・アンド・アゲイン」でポールが弾いているゼマティスのアコースティック・ベースが見られたりと、貴重なシーンも多いんですけどね。
「メアリーの子羊」も入れてほしかったですけど、この辺の曲はもうポールも忘れちゃったのでしょうかね?
他に気になるのは「ウォーター・フォールズ」では、レコードやCDではカットされたイントロがちゃんと入っているのかとか、「ジュニアズ・ファーム」は未発表になった番組「ワンハンド・クラッピング」の時に撮影されたスタジオ・ライヴなのかなどです(実際には「ワンハンド・クラッピング」には未収録で、ビデオクリップとしてオンエアされました)。「ジュニアズ・ファーム」がもしそうであれば、ほんの数曲を録音してウイングスを脱退したジェフ・ブリトンのドラムを叩く姿も見られるはずです。別にオーストラリアのライヴ映像でもいいですけど。
他にも見所はたくさんあります。「テイク・イット・アウェイ」でのリンゴ・スターとスティーヴ・ガッドのツイン・ドラムや、「Cムーン」での楽器のパートを交代して演奏するウイングス、実際はポール1人の演奏なのにウイングスのメンバーが出演している「ワンダフル・クリスマスタイム」や、ヴォーカルがレコードとは違う「マイ・ラヴ」などです(音源が差し替えられる可能性もありますが)。
「幸せの予感」ではレコードのドラムはポールですけれど、ビデオでドラムを叩く「ふり」をしているのは、次のウイングスのドラマーであるスティーブ・ホリーです。「ロンドン・タウン」で使われているポリフォニック・シンセサイザーは何であるのか気になっている人もいたと思いますけれど、このビデオではヤマハのCS80が映っていますので、レコーディングでもこれを使ったのだと思われます。CS80は他にも「ワンダフル・クリスマスタイム」や「マッカートニーII」でも多用されています。
個人的に嬉しいのは「ビューティフル・ナイト」が収録される事です。曲も良いですけれど、映像も好きです。「ビューティフル・ナイト」については以前、日本未発売のシングルをこのブログで取り上げた事もあります(
こちらです)。
あといつか出して欲しいのは「あの娘におせっかい」のWOGANヴァージョンでしょうか(これは公式プロモではありませんが)。1987年頃にテレビ放映されたものです。バックのメンバーの顔ぶれが珍しいし、ウイングス解散後に演奏された珍しい映像ですので、いつか公式にリリースしていただきたいです。
3枚目のライヴを集めたディスクでは、映画「ロックショウ」などからの抜粋になるようです。収録予定の「レディ・マドンナ」は初の公式発売ですね。これは演奏が終わってからも、ポールがピアノを弾き出して、再びエンディングの演奏が始まるのがカッコイイです(カットされませんように)。
しかし正直言って、3枚目の内容には少々疑問が残ります。これなら「ロックショウ」を丸ごと(もちろんピッチと画質を修正して)付けてくれた方がずっとありがたかったのですが…。そういえば僕は「ロックショウ」の最初のビデオソフトを持っています。ベータで、まだハイファイじゃなくて、何と値段が当時の価格で2万5千円!確か1982年頃に買ったと思いますが、当時高校生の僕は「高いなあ」と思いつつ買ったのでした(まだ持ってます)。
MTV「アンプラグド」からも数曲収録されますけれど、こちらの選曲もどうしてこうなったのかちょっとわかりません。「アンプラグド」は大量の未公開シーンを含む完全版(もちろんブート)を持っておりますが、その中からのNGシーンなども入れたらもっと面白くなったかも。「恋を抱きしめよう」は公式海賊版のCDでも歌詞を忘れて再度やり直していますが、これは実際にはもっと何度もやり直していて、ステージの後半でも改めてもう1回フルヴァージョンで演奏し直しています。「エイント・ノー・サンシャイン」も2度演奏されていて、2度目を演奏する寸前にポールが「デジャヴ〜」と言っているのが面白いです。
まあちょこちょこと不満はありますけれど、とにかくビデオクリップのフル・ヴァージョンがたくさん公式に見られるのは嬉しいです。ポールの映像は凝ったものが多いので、誰でも楽しめる内容でしょう。
1番の目玉は、初登場になる5.1サラウンドミックスと、ポールのオーディオ・コメンタリーですね。実はポールのコメントが1番楽しみだったりします。
発売が楽しみですが、残りも出して下さいませ。
追記:レビュー書きました↓
「
DVD『ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005』レビュー」