エレクトリック・ギターをエフェクターと呼ばれる物に接続しますと、音色にバリエーションが出ます。
エコーをかけたり、歪ませたり、ウニョウニョうねらせたり、ポワンポワンさせたり出来ますので、多くのエレクトリック・ギターを演奏する人たちに重宝されております。
僕がギターを弾き始めてから30年になりますけれど、ギターアンプと一緒に買った初めてのエフェクターは「ワウワウ」とか「ワウペダル」と呼ばれる物でした。これを接続してペダルを踏むと、文字通り「ワウワウ」「チャカポコ」というファンキーな音が出るのです。
日本でのワウワウ使用で一番有名なのはテレビまんが「天才バカボン」のイントロのフレーズではないでしょうか。「ポワンポワンポワ〜ン」というあの愛らしきフレーズです。これでいいのだ。
そういうわけで、僕も中学生の頃からこれらエフェクターをたくさん買って使ってきました。70年代〜80年代でもエフェクター1個で8,500円とか1万円とかでしたので、中高生にはとても高価で大変な買い物だったわけですが、ギター関係の雑誌を読むと「リッチー・ブラックモアのこのギターサウンドを出すためには、ディストーションとディレイをつなげてアンプはこのセッティングで!」などと書いてあるものですから、買わないわけにはいかなくて、みんなお小遣いなどをやりくりして何個もエフェクターを買っていたのです。
当時は今のように安くていいアンプもないし、ギターをそのまま安物のアンプにつないでもレコードで聴くようなギターの音にはなりませんでした。プロのギタリストもエフェクターを使っている人が多く、そのギタリストの使用エフェクターは僕らがお小遣いをやりくりすれば手が届く物と全く同じ物でした。
今でも憶えているのは、友達が新しいエフェクターを買うと、僕の部屋に持って来るんですね。少年時代、僕の部屋は友達のたまり場で、毎日たくさんの友達が来ていて、そこにエフェクターを買って持って来ると、さっそくギターをつないで即席の研究会が始まります。
「お!なんかブライアン・メイの音みたい!」「これってボストンの音じゃない?」「おお!これツェッペリンみたい!」と部屋の中は興奮のるつぼと化するわけです。
1980年代初頭にはエフェクターを山ほどつないでケースに入れるのが大流行し、僕も大きなケースを買って10個以上もエフェクターをつないで収めていました。しかしまあつなぎすぎて音は痩せるしノイズはひどいしで、時代は1台で色々な音が出るマルチ・エフェクターに移行していきました。
今も単体のエフェクターは製造されて売られていますけれど、マルチ・エフェクターは中高生でも買える程度の値段の物もあり、1個買えば色んな音が最初からプリセットされているし、なんとも恵まれた時代になったものだとしみじみいたします。
僕も普段はレコーディングでラック式のマルチを愛用しておりますが、安くて軽くて持ち歩ける面白いマルチも何個か買って持っています。
昔、あれだけ苦労して出そうとしたジミヘンやヴァン・ヘイレンやブライアン・メイみたいなサウンドが最初からプリセットされていて、ギターをこれにつなげばああいう風なサウンドが出てきます。単音を弾いているだけなのに、ギターの音がちゃんとハモっているクィーンみたいな音が出てきちゃうんですよ。
ギター歴が30年近くもあるのに「永遠の初心者」との異名を取る友達のURA君に「このエフェクター面白いぞ。笑うぞ」と教えたら同じ物を買って、後日「あれスゲエな!なんだか俺でもギター上手くなったような気がしたぞ!」とコーフンしていたので「まあ、それは気のせいだけどな」と言って2人で大笑いしましたが、永遠の初心者のURA君でもそう思ってしまうほど、プロのギタリストっぽい音色が出てしまうのです。
ところで僕はあんまり人前でエレクトリック・ギターを弾いた事がありません。ギター人口が多くて、ギタリストは間に合ってるけどベースがいない、ドラムがいない、ピアノがいないというと、じゃあ俺やるわとそちらのパートにまわるからです。
そんなわけで、スタジオとかライヴで使うのに便利かなと思って買ったこれらのマルチも、ほとんど使用される事なく新品みたいな状態で部屋にあります。
でもそれじゃあもったいないので、ちょっと使ってみるかと思い、明後日ライヴでベースを弾きますので、ベースに使ってみるかとちょっとつないでみたら「ギュワ〜ンビジョジョジョジョギャリギョリギャリ〜ン!」となんだかもの凄い音が出てきまして、素直にアンプ直結にする事にいたしました。
来月は久々に人前でギターが弾けそうな感じですので、使ってみようかなとも思っております。使わずにアンプ直結かもしれませんが。
最後に思い出のエフェクターのお話を書きます。それはMAXON(マクソン)のD&S(ディストーション&サスティナー)という物で、これがもう非常に強力に歪むエフェクターでした。僕は確か2個か3個買いました(初期の物や電子スイッチになってからの物など)。
これを通すと、どんなギターでも全部「D&Sの音」になってしまうという強烈な個性のエフェクターで、今でも評価されていて再生産された事もあります。今でも部屋のどこかにあるはずですけれど、僕らが中高生だった頃のバンドのテープを聴くと、モロにD&Sで歪ませたギターの激しい音がしていて、実にロックなエフェクターだったなあと思います。
それから80年代にはpearl(パール)のDS-06というディストーションがとても良い音で愛用しておりました。これを使った僕の曲が入ったテープを聴いた友達などから「あのギターの音ってどこのディストーション使ってるんですか?」と良く聞かれました。こういう話は次から次へと書けますが、長くなりましたので今回はオシマイです。