
昨日、青島幸男先生が亡くなりました。放送作家や俳優や政治家もしていましたが、僕にとっては偉大なる作詞家でした。
ここで僕が「青島幸男先生」と「先生」を付ける事を不思議に思う人がいるかもしれませんけれど、僕はコミックソングを愛し、自らも作りますので、数々の素晴らしいコミックソングを作った青島幸男という人は、僕にとっては「先生」なのです。作詞家として大尊敬しておりました。
コミックソングは僕の中では2種類に分類されます。タレントなどの人気に便乗して粗雑に作られた金儲けのためのつまらないコミックソングと、情熱を持って作られ後世にも残る完成度の高いコミックソングです。青島幸男先生の作るコミックソングはもちろん後者の代表でした。
一連のハナ肇とクレイジーキャッツの作品は本当に素晴らしく、普段カラオケに行かない僕ですけれど、妹の結婚のお祝いでカラオケを使って人前で歌った唯一の曲が「シビレ節」ですし、僕のコミックソングの多くは「ホンダラ行進曲」などの歌詞から絶大な影響を受けています。
特に「だまって俺について来い」に出てくる「そのうちなんとかなるだろう」という言葉は僕の座右の銘でもあり、mixiの自己紹介欄の「好きな言葉」には「そのうちなんとかなるだろう(青島幸男)」と書いているほどです。
「これが男の生きる道」の歌詞にも大きく感動しました。僕がなるべく愚痴を言わないようにしているのは、この青島幸男先生作詞の「これが男の生きる道」のようにツライ日々が続いても、この歌のように愚痴を言わずに生きようと思ったからなのです。「だまって俺について来い」や「これが男の生きる道」や「ホンダラ行進曲」はそのぐらい僕にとって重要な曲です。
坂本九さんの作品でも「明日があるさ」や「悲しき六十才」といった素晴らしい歌詞を作詞しておられました。「明日があるさ」は後年CMで使われて再ヒットもしました。
スリー・ファンキーズの「ナカナカ見つからない」では「カナカナ」の言葉が裏拍子でひっくり返って「ナカナカ」に変化したりと、テクニカルな方法も使用しています。
大瀧詠一さんもハナ肇とクレイジーキャッツのファンで「実年行進曲」では青島幸男先生とのコラボレーションを実現していました。
「実年行進曲(ぶちゃむくれヴァージョン)」の「アータマーは〜薄〜いが〜、しょんべんは濃〜い〜ぞ〜」というフレーズには大きなショックを受けました。何人もの音楽仲間に「アータマーは〜薄〜いが〜、しょんべんは濃〜い〜ぞ〜」というフレーズの素晴らしさの話をしたほどです。
子供番組では「おらあグズラだど」の作詞も忘れられません。
赤塚不二夫先生の「天才バカボン」では、バカボンパパが「国会で青島幸男が決めたのか?」というセリフを多用していました。
日本のコミックソング界に多大な貢献をした人でありました。コミックソングの世界では、青島幸男先生に匹敵、または超えるような詞を作る跡を継ぐ者が未だに現れないのが実に残念です。
心よりご冥福をお祈りいたします。
※「クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤」に収録されている「実年行進曲」は歌詞が違っていて「頭は薄いが云々」のフレーズは聴けません。大瀧詠一さん監修のCD「クレイジーキャッツ デラックス」か「スーパー・デラックス」に収録の「実年行進曲(ぶちゃむくれヴァージョン)」でお聴き下さいませ。
※「クレイジーキャッツ」と「クレージーキャッツ」の2種類の表記の仕方がありますが、映画の場合は「クレージーキャッツ」、CDの場合は「クレイジーキャッツ」が使われる事が多いようです。今回は楽曲を中心とした話でしたので「クレイジーキャッツ」で統一いたしました。