
昨日、両国国技館で行われた「高専ロボコン全国大会」を見てきました(公式サイトは
こちら)。
僕は放送は第1回から見ていて、全国大会は6年連続で国技館まで足を運んでいますが、毎年どんどん観覧者が多くなり、昨日は国技館の2階最上席までお客さんがギッシリでした。

上まで人人人
こんなに人が入ったロボコンを見るのは初めてです。年々人気が高まっているようです。
今年も控え室のレポートをする芸能人はナシ。それから「ロボコンと言えばこの人」である黒鉄ヒロシさんも不参加で、去年は代わり(?)に出ていた山田五郎さんもいませんでした。でも今年も城戸真亜子さんはゲストで出演していました。
オープニングは、いつものようにASIMO(アシモ)君のパフォーマンス。

和太鼓の生演奏に参加していました
今年の競技課題は「ふるさと自慢特急便」という事で、ふるさとの名産品や名所などのオブジェを、地元の商店街や小学校の児童などに作ってもらい、それをロボットに持たせてゴールを狙うというルールでした。難易度の高い試合でした。
まず、幅1.5mのお堀を超え、シーソーを渡ります。

オブジェを落とさないように気を付けて
それから5本のポールをジグザグに通り抜けます。

小回りが利かないといけません
その後、指定された場所で「なわとび」を最低3回以上飛ばないといけないのです。この時にはオブジェを縄跳び用の自動ロボットに渡し、縄跳びをさせても構いません。
競技フィールドでオブジェを3回落とすと失格です。

縄跳びをするまで時間がかかるロボットに
「飛べ!」と気合いを送る操縦者
再びオブジェを受け取り「ふるさとゴール」の台の上にオブジェを早く乗せたチームの勝ちです。

ゴールを決めた和歌山高専「ウメタロウ」
予想した通り、スピード勝負になりました。そのせいか、相手の妨害をするチームは皆無で、とにかく早くゴールをする事に集中したようです。

優勝の瞬間
特にまだ創立3年目で全国大会出場を果たした沖縄高専の活躍は実に爽快で印象深かったです。逆にシード校にはもうちょっと頑張ってほしかったです。
昨日の試合を見て、特に印象に残ったひとつのロボットの話を書きます。
それは、1回戦で敗退した、東海北陸地区代表の沼津高専です。
沼津高専のロボット「侘びサビ」は他のチームのロボットとはひと味違う個性的な物でした。
最初のお堀を超える時、ロボットが変形し、転がって行くのです。それは、今回のルールの中で登場したロボットの中では奇抜なアイディアでした。
このロボットは審査員の目にとまり、推薦でエキシビジョンに出る事になりました。結果は、ほとんどスタート地点から動けず、残念な結果に終わってしまいましたが。
エキシビジョンが終わった後、アナウンサーの女性が沼津高専のチームに、実に失礼に聞こえる言い方で「なんで"こんなもの"を作ろうと思ったんですか?」と質問し、審査員の人たちなどに「"こんなもの"とはなんですか!」と怒られていました。
しかし沼津高専の人は、その失礼な質問に、こう答えたのです。
「他のチームはどれも似たようなロボットになると思ったから、あえて違うアイディアで勝負しようと考えて、こういうロボットを作りました」という内容でした。
会場からはもちろん大きな拍手。
そしてこれぞロボコン魂。
今年の試合はスピード勝負でしたので、その意味ではハラハラドキドキして面白い内容でしたが、ロボコンが掲げている大きなテーマである「アイディア対決」という意味では、奇抜な発想を生かせる内容ではありませんでした。個性的なロボットが作りにくい試合だったのです(縄跳びロボットは個性的な物がありましたが)。
今年は「アイディア倒れ賞」が廃止されていて愕然としましたが、これぞ沼津高専が受賞すべきではなかったかと思いました。
風船で空を飛んだり、超スローモーな二足歩行ロボットが登場したり(敗退した時に「皆さんに楽しんでもらおうと思ってこれを作りました!」と言っていたのが印象的でした)、金属ではなくあえて木製のロボットを作ったり(クレーン会社に就職した彼は元気で活躍しているのでしょうか)というような個性溢れるロボットが登場するロボコンを再び見てみたいと僕は思います。
年々難易度が高いルールになっているように感じますが、今年の全国大会を見ればわかる通り、多くのチームは見事にその難関をクリアし、次々とゴールを決めています。
技術力が確かなのは、今年の試合を見てもう充分にわかった事ですので、これからは本来の大きなテーマである「アイディア対決」に再び重点を置いても良いのではないでしょうか。
僕がロボコンファンになったのは、ユニークで発想豊かなアイディアに魅了されたからですが、僕と同じような理由でロボコンファンになった人たちはきっと大勢いるでしょう。突飛なアイディアで一発逆転やゴールを狙うチームなど、驚きや笑いが混在しているからこそロボコンは魅力的なのです。
来年は、豊かでユニークな発想が活かせる内容であってほしいと思います。これからも期待しています。
※ 他に印象に残った個性的な選手は、敗退してのインタビューなのに「ヒャハハ〜!」と笑いながら負けた原因の分析をスラスラと話した人(学校名忘れました。すみません)と、フタバスズキリュウのオブジェを腕に通して「ハンドバッグ!」というギャグを披露した福島高専の生徒さんでした。
昨日の全国大会の模様は12月30日土曜日、NHK総合テレビで午後9時15分〜10時24分に放映されます。
ロボコン関係の文章です:
「
高専ロボコン2008全国大会を見てきました」
「
高専ロボコン2007全国大会を見てきました」
「
今日は高専ロボコン全国大会を見に行ってきます」
「
ロボコン」
「
高専ロボコン2005全国大会を見てきました」