
リッチー・ブラックモア率いるレインボーが1995年10月9日に行ったドイツのドュッセルドルフ公演を収録したビデオです。この頃のレインボーは1枚のスタジオ盤しか公式に発売していませんので、これは海賊版(ブート)です。プロ・ショットですので画面は安定しています。画質はそれなり。
再結成されたディープ・パープルを脱退したリッチーは、新たにレインボーを再結成しました。結局アルバムを1枚出しただけで自然消滅してしまったのですが、僕はこの頃のレインボーも好きです。このビデオではその時期のライヴが見られるので貴重です。何と言ってもこの時期のビデオは公式発売されていませんからね。
再結成のレインボーではメンバーが一新されていますが、レコーディングで参加していたジョン・オライリーのトラ(代役)で、80年代にレインボーに参加していたドラムのチャック・バーギがツアーに参加しています。リッチーのお気に入りだったのかな?
このビデオで謎なのが、1曲目の「Spotlight Kid」で違う曲の音がかぶさっている事です。かなり大き目の音で聴こえてきますが、なぜなんでしょう?
「Long Live Rock'n'Roll」の中で、ヴォーカルのドゥギー・ホワイトが、パープルでおなじみのヴォーカルとギターの掛け合いのフレーズを歌っています。リッチーのギターと掛け合いたいのに、リッチーは完全に無視!ドゥギーがリッチーを振り返りながらフレーズを歌いますが、無視されてすぐに諦めてしまっています。
またドゥギーはキーがそんなに高くないので「Long Live Rock'n'Roll」や「Since You've Been Gone」ではキーを落としています。「Long Live Rock'n'Roll」などは、去年の暮れに発売されたロニー・ジェイムズ・ディオの頃のDVDと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。でも全体的に安定した歌を聴かせていますが。
おなじみ「Difficult To Cure」では、80年代は中間部にキーボード・ソロのコーナーがあり、その後また曲に戻っていたのですが、この時はキーボード・ソロの終了で曲が終わってしまっていて物足りなく感じます。
レインボーのライヴはキーボード・ソロも見所のひとつで、この頃のポール・モーリスもクラシックをベースにした素晴らしいソロを聴かせています。ピアノソロからインドっぽいソロまでネタも幅広く、かなり上手いです。
珍しいのは、リッチーはピックで弾くベーシストが好きなのに、この時のグレッグ・スミスはスペクターを指弾きしています。コーラスも出来るベーシストで、この時のライヴでもハーモニーで活躍しています。このツアーで「Burn」をレパートリーにしたのは、グレッグ・スミスが歌えるからでしょうね。「Smoke On The Water」の2コーラス目でもヴォーカルを取っているのでパープルの「カリフォルニア・ジャム」を思い出します。
リッチーはかなりノッていて、指もかなり動いています。ギターの音色も70年代に近い感じで非常に良いです。このライヴを公式発売しても良かったのになあ。
音声もステレオで良好ですが、キーボードのミックス(特にMini Moog)が小さめで、ギターとの掛け合いのバランスが悪い箇所があります。それからお約束のギター・クラッシュはありません。
リッチーはこの後、奥さんと「ブラックモアズ・ナイト」を結成して活動中ですので、ハード・ロック・バンドのギタリストとしての姿を見られるのはこの頃が最後です。
パープルのメンバーとは色々と複雑な事情があるようで、リッチーが再び加入するのは無理でしょうけれど、またレインボーをやってくれないかなあ…と、このビデオを見ながら密かに思ったりします。
↓同ツアー別の日のブートCDのレビューです
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