
1982〜86年までの曲を集めたムーンライダーズのベスト盤です。
このベストの収録曲は、もうすでに僕が持っている曲ばかりだったのに、どうして買ったのか記憶にありません。多分、漫画家の江口寿史さんが解説を書いているというCDのタスキを見て、読んでみたくて買ったのではないかと思われますが。
このアルバムの収録曲で僕が特に好きなのは「歩いて、車で、スプートニクで」です。鈴木慶一さんの作詞・作曲です。CDで聴くと、いつも何度かリピートさせて数回続けて聴きます。
実は白状すると「歩いて、車で、スプートニクで」の歌詞の意味が、僕にはよくわかりません。今までに何度も歌詞カードを読みましたが、未だに理解できないのです。何をテーマにして何を言いたいのか、何を伝えたいのかも僕にはきちんと把握できません。
でも、それにも関わらずこの曲が大好きなのです。好きで好きでたまらないのです。歌詞の意味はよくわからないのに、メロディーに乗るとすんなり頭に入ってきます。何という不思議な名曲なのでしょうか。僕が鈴木慶一という人に心酔したのは、このようなわけのわからない凄さがあったからなのかもしれません。
もしかしたら、この曲の歌詞の内容について書いている人がいるのではないかと思い、検索してみましたが、やっぱりあまりわからないようです。そのかわり「歩いて、車で、スプートニクで」を自分の好きな曲や名曲に挙げる人が大勢いました。やっぱりこの曲を好きな人は多いんだなあ。シングルになったわけでもない曲なのに。
この曲は、例えばヒットチャートを賑わすようなキャッチーな音楽が好きな人には、変な曲とか、奇妙な曲とか、パッとしない曲に聴こえるかもしれません。サウンドもアレンジも奇妙だし、歌もボソボソと歌っている感じです。しかし、わかりやすい名曲というのがある一方で、わかりにくいけれど名曲というのもあるのです。奇妙な音楽なのに、人の心をとらえてしまうというのは実は珍しい事ではありません。
僕が「歩いて、車で、スプートニクで」の歌詞を完璧に理解できる日はいつ来るのでしょうか。来ないかもしれません。でもそれでも僕は何度もこの曲を聴き続けるでしょう。