
ピンポンパンの名曲「ぼうしをかぶった男の子」を憶えている人は日本中にどのぐらいいるのでしょうか?この曲は石毛恭子お姉さんも酒井ゆきえお姉さんも歌っていたので、かなり多くの人が憶えているのではないかと思うのですが。
僕は30年以上前にピンポンパンでこの曲を聴いて「なんていい曲なんだろう」と思いました。それからもうこの曲が好きで好きでたまらないのです。何と素晴らしい曲なのでしょう。歌詞の内容のせいか、梅雨時になると無性に聴きたくなります。
この曲は、水曜日の雨の日に、帽子の上にかたつむりを乗せた男の子がいて、それを見た女の子がその男の子を好きになって「私はあの子の花嫁さんになってあげるの」という内容の歌です。
この「なってあげるの」という言い方がたまりません。この曲は「花嫁さんになるの」「なりたいの」「なりたいな」ではダメなのです。もう「ラララ決めちゃった私」から「あの子の花嫁さんになってあげるの」までのフレーズは最高です。天才的です。これ以外の歌詞はあり得ません。
山元護久さんが作詞をしています。山元護久さんという方は児童文学作家で、NHKの「ひょっこりひょうたん島」の脚本を井上ひさしさんと共に書いていた方です。何と夢に溢れた歌詞なのでしょうか。どうしてこんな歌詞が書けるのでしょう。作曲とアレンジは服部克久さんです。これまた最高のメロディーです。
石毛恭子お姉さんの方は木管楽器が中心のアレンジで、フルートとピッコロとバス・クラリネットのフレーズがもうたまらなく素晴らしいです。
酒井ゆきえお姉さんの方は金管楽器が加わり、更にゴージャスなアレンジです。コードもちょっと変えてあって、もっとグッと来るアレンジになっています。エンディングも凝っています。
アレンジはどちらも服部克久さんですが、全然アレンジが違います。どちらももう素晴らしいとしか言いようがないです。
長らく廃盤になっていましたが、2003年に
昭和キッズTVシングルスVol.8というCDに収録されて発売されました。こちらは石毛恭子お姉さんのヴァージョンです。
石毛恭子お姉さんのヴァージョンでは、1番最初の「ぼうしをかぶった」と「男の子」の歌詞の間でパンチ・イン(歌を失敗した時などに途中から歌い直して差し替える方法)をした跡を見つけました。恭子お姉さんの歌唱力なら差し替えなどしなくても大丈夫なはずですが、より完璧を目指したのでしょうか。
「聴くと涙がこみ上げて来る曲」というのがある方も多いと思うのですが、僕はこの「ぼうしをかぶった男の子」を聴くと泣きそうになります。
40歳を過ぎた男性がピンポンパンの曲を聴いて涙ぐんでいる姿というのもどうかと思いますが、これはもうしょうがないのです。例え僕が70歳を過ぎてからこの曲を聴いたとしても、やっぱり感動して入れ歯をフゴフゴさせながら泣くと思います。それだけ素晴らしい曲なのです。
こういう名曲は歌い継がれて行くべきだと思いますが、知っているのは現在30代〜40代の人だけになってしまいました。子ども達にこそ聴いて欲しい曲です。
ちなみに今回のジャケット写真は僕が18歳の頃にピンポンパンのレコードが欲しくて新品で購入した「酒井ゆきえベストアルバム」です。一緒にクラッシュのレコードを買いました。僕が本当に小さい頃は初代の渡辺直子お姉さんを見ていたはずなのですが、なぜか全く記憶がありません。ピンポンパンについてはまたそのうち書きたいと思います。