後ろから2列目の端で鑑賞。
後方の席、予想以上に良かったです。舞台全体を俯瞰で見ることが出来て、前列では気付かなかった、交差する照明の細かい演出や色使いなんかも、ハッキリ見ることが出来ました。舞台セットのオブジェも遠目に見ると、更にキレイ。
そのオブジェですが、透明な円筒の中に、廃棄物やゴミが埋め尽くされているというもの。現代アート的な美しさも然ることながら、物語の重要なキーを握る、シンボル的存在だと思います。
ババアの台詞に、「捨てたゴミを処理するのに税金が必要で、その税金を払うために人は働き、働いた金で又ものを買って、ものが要らなくなったら捨てて、又ゴミが増え・・・」という様なくだりがありました。
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☆乗ろうとしても延々と乗れない満員電車。駆け込んでは引き返し、またホームに並び直す。「いつかは乗れますよね?」「だ〜か〜ら、乗れません!!」
☆「もう飽きたんです!」と言っては、職を転々と変える裁判長。もう起きてしまった出来事に理由を後付けして、くどくど裁いて行くことにウンザリ。それでも何かを裁き続けずにいられない。「砂漠で鯖をバッサバッサと捌く人を裁く」
☆死ぬためにプラットホームの下に居座る“名無し”の男。線路に落ちてきた女を助け、自分が轢かれて死ぬことで、英雄として語り継がれる(人の心に生き続ける)ことを目論む。が、一度も成功しない。「人は人のために死ねたりするものなの?」
☆自分の名前を探し続ける“名無し”の少年。自分がどこから生まれ、どこで生き、どこへ死んで行くのか、自身のアイデンティティーを探り続ける。
死ぬために生きる、生きるために死ぬ、押しては引き、引いては押す。「プッシュプッシュ・プルプル」
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何となく、その円筒のオブジェが、異なるいくつかのエピソードを一つに結ぶ“柱”となり、全てを象徴しているように感じました。
「人生迷ったら下を見ろ、たまにはホームの下を見ろ」
今まで前列に座って下から見上げていた舞台を、たまには後列に座って上から見下ろしてみた時、ちょっとだけこの芝居が伝えたい何かが見えて来たような気がしました。

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