ZRX1100の純正OILフィルターケースはエンジン内部のパーツで
潤滑系統が一箇所にまとまった、とても重要な場所です。
・オイルパンからエンジンオイルを吸い上げるオイルスクリーン。
・エンジンオイルをエンジン内部に送るオイルポンプ。
・エンジンのオイルフィルター。
しかし、自分の考えるところ、
どうもこの純正OILフィルターケースの加工精度があまり良くなく
本来必要なオイル流量が、実際は確保出来ていないのでは?と思い
プチ加工する為に、各部の確認をしてみます。
事前に予備のOILフィルターケースを用意しておきました。
(純正品番:32099-1083)
各部の現在の状態を確認しておいて、これから行うプチ加工をイメージします。
個人的に、特に気になったのは以下の項目です。
・オイル通路の機械加工時のバリ。
・オイル通路とピンの段差。
・OILフィルターケースのエッジのバリ。
・アルミ鋳造品のオイルフィルターケース表面の面粗度。
OILフィルターケースをこれからプチ加工するにあたり、
作業の邪魔にならない様に、ノックピン、リリーフバルブ、ボルトは
あらかじめ取り外しておきます。
ZRX1100 純正リリーフバルブ(品番:16130-1058)
ZRX1100の純正リリーフバルブは、水冷ニンジャ系エンジンの歴史の中では
何度かの改良を重ねられて強化された対策部品なので、
特にパーツ加工する事も無くこのまま分解洗浄して
異常が無いか確認したら、元通りに組み立てて使う事にします。
OILフィルターケースには色々なパーツが装着する為
平面を出している箇所が多く、プチ加工時の加工傷を付けたくないので
マスキングテープで養生をしておきます。
平面出しをしている個所には、すべてマスキングテープで養生をします。
OILフィルターケースには最初から3箇所穴が開いています。
これは、OILフィルターケースのリブの間に溜まったエンジンオイルを
オイルパンに戻す為に、最初から穴が開いているのですが
あまり効率的な形状では無さそうな感じです。
もっと穴を拡大して、溜まったオイルがスムーズにオイルパンに
戻る様にも加工出来ますが、経年によるエンジンの振動で
穴径を広げたOILフィルターケースが割れてしまう事も
万が一にでも考えられるため、強度を無視した穴径の拡大は出来ません。
最初から有る3箇所の穴は、穴のカドが直角になっていて
オイルの流れが悪そうだったので、3箇所の穴の上面を面取りします。
これならば、穴径を拡大してオイルフィルターケース自体の強度を下げずに
リブの間に溜まったオイルがオイルパンに戻りやすくなるはずです。
OILフィルターケースに付くパーツ同士の兼合いの影響のせいか?
OILフィルターケースのオイル通路は、ストレート形状では無く
微妙にオフセットされています。
このあたりは、気持ち的にはストレート形状で繋ぎたいところですが
エンジンの基本設計の古さも関係しているのでしょうかね?
それに、オイル通路内部の機械加工の仕上げ状態が悪くて、
穴の中はバリだらけになっています。
細かいアルミのバリが剥がれ落ちて、
これがエンジン内部を循環してしまう事を想像すると
やはり、爪に引っ掛かる様なバリは全て取り除きたいと思います。
画像右側にあるオイル通路は、
ノックピンやパーツの嵌め合い状態を確認したところ
穴の段差を三日月状に面取りしても大丈夫な事が判り
カドのRを大きく取って加工しました。
他のオイル通路にある機械加工時に出来たバリや
アルミ鋳肌面の荒れ具合は、耐水ペーパー#600〜#1000で
爪が引っ掛からな異様に仕上げました。
なお、油圧低下をさせない為に、オイル通路の拡大加工は行っていません。
OILフィルターが収まる所に有るこの穴も、
機械加工時に出来たバリがかなり出ていました。
画像では判り難いですが、楕円の穴周辺はバリで小さくなっています。
この楕円の穴も、耐水ペーパー#600〜#1000でバリを取りながら
穴の内部の段差もスムーズになる様に仕上げます。
エアツ−ルや電動ツールで加工すると、うっかり歯先が跳ねたりして
他の場所を傷付けたりして、失敗する恐れもあるので
ひたすら手作業でコツコツと仕上げていきます。
ZRX1100は、このピン18×20×12(品番:92043-1213)を3個使います。
OILフィルターケースのオイル通路に対して、ピンの嵌合長が適切では無く
ピンの一部分がオイル通路にはみ出してしまっている為に
オイル通路が2箇所狭められてしまい、本来のオイルの流れが
スムーズに流れなくなっているのでは?と私は思います。
そこでオイル通路に合わせて、ピンの一部分を切り欠き加工をしてみます。
※これは私が実験的に行う事で、真似をしてエンジンを壊しても
責任は取れません。
実際に、OILフィルターケースのオイル通路にピンを嵌め込んでみて
どれ位?オイル通路にはみ出しているのかを確認します。
この面のオイル通路はストレート形状では無い様です。
オフセットされたオイル通路の段差は、
大きいドリルで機械加工がされているらしく
穴の中央部分が、すり鉢形状になってました。
このすり鉢形状に合わせてピンを加工していきます。
大体の位置と形状をマジックでピンにマーキングをして加工します。
ピンがかなり硬い材質だったので、加工時間は掛かりましたが
何度もオイル通路に嵌め込んで、丁度良い形状になる様に成形して
切り欠き加工面が滑らかになる様に
ダイヤモンド砥石や耐水ペーパー#600〜#1000で仕上げました。
もう一方のオイル通路も、ピンを嵌め込んでどれ位?
オイル通路にピンがはみ出しているのか?を確認しします。
こちらのオイル通路は、鋳造時のままの形状で
オフセットされたオイル通路の段差はフラットになっていますが
ピンがオイル通路にはみ出している量が大きい為に
オイルの流れが突き出したピンで妨げられている感じがします。
大体の位置と形状をマジックでピンにマーキングをして加工します。
とにかくピンが硬い材質だったので、加工時間はかなり掛かりました。
何度も何度もオイル通路に嵌め込んで確認して、
丁度良い形状になる様に成形して
荒れた切り欠き加工面が滑らかになる様に、ダイヤモンド砥石や
耐水ペーパー#600〜#1000で仕上げました。
オイル通路の大きさは、加工前と加工後では一目瞭然になりました。
OILフィルターケースはアルミ鋳造品と言う事で
割とアルミ表面もキレイでしたが、細かく見ていくと鋳型の跡が有ったり
バリも少し有ったのでプチ加工する事にしました。
爪に掛かる様なバリは、全てダイヤモンド砥石やオイルストンで取り除いて
梨地のアルミ表面を耐水ペーパー#600〜#800〜#1000でペーパー掛けしました。
OILフィルターケースの細かい所は、割り箸にペーパーを巻きつけて
気が済むまで入念に!(笑)
OILフィルターケースは、エンジン内部の部品と言う事で
普段見る事も無いので、耐水ペーパーは#1000までにして
メタルコンパウンドで磨きあげます。
後は入念な洗浄を数回行って、細かい所に入り込んでしまった
メタルコンパウンドのカスを取り除いて、
プチ加工する際に取り外した部品を組み付けて完成となります。
まだ装着はしてませんが、効果の程はどんなもんでしょうか?

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