今日もとても暑い猛暑、アスファルトの照り返しで立ってるだけで汗が出る。
財布を手に握ってランチタイムにいそぐOLが信号待ちしながら、小さなタオルで汗を拭いている姿や、汗をだらだらたらしてせかせか歩くサラリーマンが、窓から良く見えた。
ねぇ、仁美・・・
こんな日に、エアコンがガンガンにきいた喫茶店で、仁美とおしゃべりするだけで、私はものすごく幸せなんだよ。
「どうだった?実家」
仁美が、ストローでアイスコーヒーの氷をカラカラと揺らしながら言った。
「お母さんのつくった味噌汁が美味しかった、でも、仁美と遊んでる方が楽しいよ」
麻里は、その仁美の手を何気なく見つめていた。
綺麗にピンク色に塗られた爪には、花を模ったネイルジュエルが貼られていた。
「私ね、高校の同窓会があったの。高校ん時はあんまり仲良くなかったんだけど、なんかカッコよくなっちゃった男の子がいて、その子今M大行ってんだってー」
仁美がニコニコして話していた。
「仁美、焦って恋愛しようとするより、彼氏がいない時間も大切だと思うよ」
麻里が、自分の爪を見ながら言った。
あーぁ、私も仁美みたく可愛いネイルにしたいなぁ・・・
上手にできればいいのに・・・
「分ってるよー、田村君とはそんなんじゃないの、あ、その子、田村君って言うんだけどね、でね、田村君が大学の友達連れて来るからって、今度、遊ぼうって話になったの。お願ーい、麻里、一緒に来て?」
仁美が舌を出して、両手を合わせて、渋い顔で言った。
嫌・・・
嫌だよ、仁美・・・
誰かに夢中にならないで、お願い・・・
お願いだよ、仁美・・・
彼氏なんて居なくたって、私、仁美が居れば、それでいいんだよ・・・
「ねぇ、T大なんでしょ、T大ってこんな可愛い子いたんだー。ねぇ、次、何歌ってほしい?麻里ちゃんの好きな歌教えてよー」
麻里は、仁美と、田村と、田村の連れて来た男と4人で、カラオケ店にいた。
この男よくしゃべるな・・・
口数が多すぎる男ってなんかウザいんだよな・・・
仁美も、こういう男タイプじゃないんだよね・・・
やっぱり、私達って気が合う
ねぇ、仁美・・・
カラオケがいくら盛り上がったって
何にも楽しくないよ
だって仁美が男の前で甘ったるい声出してるんだもの
男なんてね、どうせ浮気するんだよ
大輔君だって、私の元カレだってそうだったでしょ
ねぇ、仁美・・・
私より仁美を好きな子なんていないんだよ
この男の次の選曲なんて、麻里にとってはどうでもよかった。
仁美が田村と話す度、そっちが気になってしかたなかった。
麻里はトイレに立った。
早く帰りたいな・・・
帰って、メイクを落として、仁美の大好きなアイスを食べながら、DVDを二人で見るの。
映画が終わったら、他愛も無い話をしながら、自然に眠って・・・
そんな事を考えながら、トイレの扉を出た。
出ると、田村が男子トイレから出てきた所だった。
「あぁ・・・」
田村がニコっとした。
「どうも・・・」
麻里が素っ気無くそう言った。
「麻里ちゃんだよね、名前・・・」
田村がニコニコして言った。
「うん」
麻里が返事をし、カラオケの部屋に戻ろうと、歩き出した。
田村君、
その笑顔で、さっきは仁美と何を話していたの?
「田村君は、仁美の事気に入ってるの?」
麻里が、ゆっくりと歩を進めながら言った。
「なんで?」
田村君が、食いつくように言った。
「私、田村君の事、さっきから気になってて・・・でも、仁美の事気になってるんだったら・・・」
麻里がそう言いかけた時だった。
「麻里ちゃん、よかったら二人でどっか行かない?」
田村君が言った。
「本当?嬉しい・・・」
麻里が甘えた声で言った。
ほらね・・・
仁美、だから言ったでしょ
男なんて、こうなんだから・・・
仁美にへんな男が寄り付く前に、こうやって私が排除してあげるね
仁美とよくしゃべる男を置いて、麻里と田村はカラオケを出た。
「麻里ちゃん、番号交換してよ。また麻里ちゃんに会いたいな」
ホテルのベットで、タバコをふかしながら、田村が言った。
また麻里ちゃんとHしたいな、でしょ・・・
「いいよ」
麻里が下着をつけながら言った。
番号を交換し終えると、田村が言った。
「ねぇ、仁美ちゃんとあいつ、どうなったかな」
「さぁ?」
仁美は、あぁいうのタイプじゃないの
そのまま帰ったに決まってるでしょ
そんな事を考えながら、麻里は帰り支度を始めた。
「仁美ちゃんって、この間彼氏と別れたばっかなんでしょ?そういう時って寂しいし、俺らみたく、どっかのホテルに居たりしてね、この隣の部屋だったりしてー、あはは・・・」
田村が笑った。
「そんな訳無いでしょ」
麻里はそう言いながらも、なんだか不安になってきた。
嫌・・・
仁美、誰かに夢中にならないで・・・
仁美・・・
「私、先出るね」
「え?まだ、時間早いよ、どっかで遊んで行こうよ」
田村がそう言ったが、麻里の耳にはもう何も入らなかった。
「はぁー、はぁー・・・」
息を切らしながら、部屋に入ると、仁美がアイスを食べながら、TVを見ていた。
「あれ、おかえりー」
「仁美、帰ってたんだ・・・」
麻里が、ほっとした感じで言った。
「帰ってたよ、てか、あの男しゃべりすぎ、正直ウザくて、疲れちゃった。送ってもらったけど、番号教えなかった」
仁美が、アイスをパクパクと食べながら言った。
「分るー、話過ぎだよね」
麻里が、部屋着に着替えながら言った。
ほら、田村君、言ったでしょ
仁美は、あぁいうの、タイプじゃないの
「そんな事より、田村君とどうなったの?かっこいいでしょ、田村君」
仁美が、食いつくように言った。
「んー、まだ会ったばっかりだし、わかんないよ。ねぇ、昨日借りてきたDVD見ようよ」
麻里が言った。
田村の話なんてどうでもよかった。早く仁美と二人の時間を楽しみたかった。
「私には、気使わなくていいよー、確かに田村君の事、カッコいいって思ってたけど、別にまだ、好きとかそういうことじゃなかったし、麻里が気に入ったなら応援するよー」
仁美が、アイスを食べる手を止めて言った。
「うん、ありがとう仁美。なんかあったら報告するね」
麻里が言った。
「うん、ガンバ!DVD見るかー」
仁美が笑顔で言った。
可愛い・・・
仁美はなんて可愛い笑顔で笑うんだろ
仁美、大好きだよ
お願い、仁美
ずっと私のそばにいて・・・
仁美・・・仁美・・・
愛してる・・・
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