「 観 覧 車 と カ ッ プ ル (第34回)」
ピンク・ザ・ピンチ
「あ、観覧車ですね。
ピンピンさん、2人で乗ってみましょうか?」
ハイウェイから遊園地の巨大観覧車が見える。
あそこは動植物園やボートに乗れる池などがあって、
カップルがデートするには最適な場所だ。
雨さえ降っていなければの話だが・・・。
いや、逆に人が少なくてゆっくり楽しめるかも?
雨天の平日の昼間に遊びに来る客はそんなにいない筈。
「楽しそうだ。行こうシンヤさん。」
実は桃美として元カレと来た事が何回もある。
その度にボートに乗ったりしたんだけど、
この遊園地には変なジンクスがあって
“ここでデートしたカップルは必ず別れる”という。
ボクはそんな噂は信じないが、実際別れてるし・・・。
ま、シンヤさんとはこの姿でしか会えないんだから
どこでデートしたとしても長く続く関係じゃない。
今日を楽しもう♪
ハイウェイを下りてしばらく走ると遊園地に到着。
車を駐車場に停め、動物園の入り口から入場した。
思った通り客はほとんどいない。
サイキック・バリヤーの中で2人だけの時間に浸れる。
ボクは自分からシンヤさんの腕を抱いた。
女の武器である胸のふくらみを彼の腕に押し付ける。
「私がデートに誘ったのに、
全部ピンピンさんにリードされてますね。」
「最近イヤな事ばかりだったから、忘れたいんだ。」
「そうですね。今日はイヤな事は忘れましょう。」
当たり前の事だが、ボクに気付いた他の客は
カメラやビデオで撮ったり、メールを打ったりしてる。
だが、気を遣ってか近付いて来る人はいない。
パニックになるほどの人数じゃないね・・・。
ボクはともかく、“ピンク・ザ・ピンチの彼氏”として
シンヤさんが世間に注目されるのは間違いない。
まさか、ボクは売名に利用されているのか?
そんな感じじゃないな・・・仮にそうでも別にいいし。
雨の中でもペンギンたちは元気にプールを泳いでる。
売店でアメリカンドッグとお茶を買って食事を済ませ、
ボクらはお目当ての観覧車に乗る事にした。
雨はかなり小降りになってきてる。
ようやくゴンドラに乗り込むとちょっと落ち着いた。
「シンヤさん、疲れた?」
「ええ、やっぱりあれだけ注目されてると・・・。」
「バンドでお客さんの注目を浴びてるだろう?」
「そうなんですけどね・・・ナメてました。」
観覧車にはボクら以外は乗ってないみたいだ。
貸し切り状態にボクはちょっと浮かれた。
シンヤさんにカラダを寄せると、
今度は彼のほうからボクにキスして来た。
まだアメリカンドッグの匂いがするけど、気にしない。
シンヤさんの右手がボクの乳房を優しく包んだ。
観覧車が1周するのは約20分。
時間はたっぷりある。
口が出てるコスチュームでホントに良かった♪