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2012/5/18

Hermitage  Art


セザンヌの展覧会を観に行った同じ日に、同じく国立新美術館でやっていた「大エルミタージュ美術館展」も観ました。

知らない人のために。エルミタージュ美術館は、ロシアの西、フィンランドの方にあるサンクト・ペテルスブルグというところにあります。もともとは、帝政ロシアの時代のロシア皇帝の居住していた宮殿でした。18世紀ころにロシアはヨーロッパ化したくて、フランスとか英国とかと文化交流や、政治的にも交わるようになりました。当時のロシア皇帝は、女帝でエカテリーナU世の宮殿です。この人の家。
richard brompton "Catherine the greatU" 1782


18世紀の絢爛豪華なロココ調の宮殿で、今は美術館として有名ですが、10年くらい前に「Russian Ark」という映画があって、エルミタージュ宮殿の中を1Takeで撮影するという非常に珍しい映画がありました。見ごたえのある映画です。私は日本でみましたが英国でも上映されていました。
この映画については、また別の時に紹介します。どうも、英国時代のブログでも紹介していなかったみたい(汗)とりあえず、Trailorだけでも。この映画のトレイラーの中で走っている後姿。白いドレスが、一応エカテリーナ女帝の役の人です。

Russian Ark 2002


エルミタージュ展では、15世紀〜18世紀、19世紀、20世紀と時代ごとに作品を見ることができます。ルネッサンス前後の宗教画を見るのは久しぶり。ヨーロッパにいた当時以来じゃないかしら?私、宗教画って好きなんです。懐かしくてほっとする。本当は、15世紀よりも前の中世の宗教画が好きなんですけど、日本ではねえ。見られないよね…あんまし好きな人いなさそうだし。

Giulio Cesare Procaccini - Holy Family with John the Baptist and an Angel(1620-25)


私、この絵を見て純粋に感動してしまいました。17世紀の絵なので宗教改革後ということになります。17世紀時代の絵画はあまり得意ではありませんが、宗教画というのはシンボルに満ち溢れた絵でもあり、また、ルネッサンス以後の宗教画では、構図からして既に見る側を意図的にあるシンボルへ導くという手法が隠されていたりするのです。
この時代の絵を見る時、人物の視線に注目します。視線は、交差していたり、三角形を作っていたり様々なのですが、この絵は、どうでしょう。私はぞくぞくっとしてしまいました。
答えは、文末に。よ〜く絵をみてみてください。


"Christ Blessing" by Titian (Tiziano Vecellio) 1570

Blessing「祝福」をしているキリスト。良くあるテーマと言えばそうなんですけど、この展覧会のしょっぱながこの絵だったのね。なんか、ほっとする〜。展覧会を訪れる人々に祝福(お祝い、という意味ではなくて「ご加護がありますように」というようなお祈りの気持ち)を授けてくださってる〜。
画家は、有名なティツィアーノ、英語ではティシャンと言います。いつか、National Galleryとかで展覧会をやっていたね。

展覧会中で気になった作品を紹介していきます。順番は、出展の順番とはことなっております。あしからず。

Theodore Rousseau 「グランヴィル近郊の眺め」(1833)

Theodore Rousseauは、19世紀のフランスのバルビゾン派の画家だそうです。この風景画をみて初めは、英国のJohn Constable(コンスタブル)の絵に似てるなあ、Hampstead Heathの絵にすごく雰囲気がにてるなあ、と思っていたら、正にConstableの画風に習って描いた作品だそうです。 

Francois Flameng
Reception at Malmaison 1802 (1896)


Louis-Leopold Boilly "Game of billiards"1807


こういうのを、"Conversation piece"と英語ではいいます。この絵がそういうジャンルで描かれたのかは分かりませんが、人々が集っている場面を描いた作品というのは18世紀、19世紀の初めに良く描かれました。大接間などにかざり、絵を見ながら会話のネタにしたりしたとかも言われています。Billiardの絵は、見ているとその場にいる様々な年代の人物や職業や身分など関係性がみえてきて、まるでJane Austenの小説の一場面みたいですね。物語がそこに描かれているのが、Conversation pieceの特徴です。
この絵のなかで誰が主人公なのか、きっちり調べないと分かりませんが、きっと実在した人がそこにいたり、絵の依頼主がどこかに描かれているのだと思いますけれど、私が注目したのは、右側に経つ白いドレスのうら若い女子二人。この二人の視線の先には…向かって左の茶色のテーブルクロスのかかったテーブルのそばにいる男性。でも、この男性はひと癖ありそうな感じです。

上の「Reception at Malmaison 」という絵も、同じ時代に描かれた絵ですね。パーティの様子が楽しげです。この時代のドレスは、「Empire」アンピール式といって、ちょっとギリシャ風のゆったりとしたラインが特徴です。髪型も、ギリシャ彫刻の女性のようにまとめるのが流行りました。まさにJane Austenの世界なんですねぇぇ。私、この時代のドレス大好き。動きやすそうじゃないですか?
この絵では、多分、Malmaisonというお屋敷がメインテーマなんでしょうね。このお屋敷が描きたかった絵みたいです。
この絵に描かれている男性は軍人みたいですね。もっと詳しく調べれば、どういった人たちなのかもわかりそうです。
絵のタッチがクリアで繊細な滑らかな画風ですね。

waterloo bridge, effect of fog (1903) Claude Monet

ロンドンのテムズ川にかかる橋の一つの、Waterloo Bridge。今もあります。この絵は、おそらく、Charring Cross駅の方から見て描いているかも、です。橋を渡った向こうには現在はNFTという映画館があります。このぼやけている絵に、煙突が3,4本経っているのが見えますか?その煙突があるところに、現在はTate Moderneがあります。Tate Modernの建物は、1950年代から1981年まで火力発電所の建物だったのを改築して出来た美術館です。初め、この絵の中の煙突はそれかなあ、と思ってしまったのですが、この絵が描かれたのは1903年で、火力発電なんてまだまだ先の時代のことだったからなにか別の工場だったのでしょうね。1903年当時のSouthbankは、ちょっと怖そうです。

Joshua Reynolds "Cupid undoing Venus's belt" 1788

ポスターにもなっているこの作品は、英国のRoyal Academy英国芸術院の設立者のJoshua Reynolsの作品です。独特のふわっとした筆遣いと透明感のある肌の質感などが特徴です。

英国人の画家も多く宮廷画家として、サンクトペテルスブルグに勤めていたようです。19世紀には、英国のVictoria女王の孫娘のAlexandraがロシアのニコライU世と結婚して、英国とロシアが婚姻関係に結ばれます。ロシアは、ヨーロッパで強い国に仲間入りするわけです。文化的にも発展してきます。花が開きます。でも、それもつかの間…チェーホフの「桜の園」などの世界です。ロマノフ王朝の終焉。

さて、先ほどの宗教画の構図の話ですが。

この絵の中央には幼子イエス。イエスはまっすぐこちらを見ています。イエスを抱える聖母マリア。マリアはすぐ上の天使を見ています。ちょっと戸惑ったような驚いたような。その天使はマリア様とイエスを見降ろしています。マリア様の足元には羊飼いの子が、天を見上げています。羊は右下の方を見ています。そして画面左側にいるのが洗礼者ヨハネ。ヨハネは、天使が指さしている方向を見ています。天使の指先は画面右。
これは私の解釈なので、西洋美術の専門家はなんというかは分かりませんけど、それぞれの視線を結ぶと、十字架を作るようになっているのです。天使の指先も視線の方角です。これは、未来と言う時間を意味してるのかも。将来イエスは十字架にかけられることを示唆しているのかも知れません。
というわけで、直接十字架を描かなくても、登場人物の視線がすでに多くを語る、という宗教画の一つの見方、読み方でした。わかったかな?

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