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2009/5/21
【完結編】結婚しました。 小夜の日記
今日、2009年5月21日、わたしと誠ちゃんは、無事結婚しました。
体調不良で、結婚式も挙げられず、婚姻届を出しただけですが……。
それでも、これでわたしたちは、もう夫婦です。生涯のパートナーです。
これからの人生は、ふたりでしっかり手を取り合って、歩いていきます。
「病めるときも健やかなときも、貧しきときも豊かなときも……」
神さまにそう誓い合ったとおり、力を合わせて励まし合って生きていきます。
「つらいこともいっぱいあったけど、死なずに生きてきてよかった……」
わたしは今日ほど、心からそう感じたことはありません。
感激のあまり、涙があふれて、止まらなくなってしまいました。
★ ★ ★
このブログは、これでいったん完結にしたいと思います。
結婚してからの新生活のことは、新ブログを作って、続きを書きますね。
わたしと誠ちゃんの新婚生活、新しいブログの方も、どうぞお楽しみに……。
いままでご愛読くださったみなさまにも、心から感謝いたします。
1000近くのアクセスをいただき、うれしいびっくりでした。
今後のわたしたちの新婚生活にも、どうかご期待くださいね。
これからも引きつづき、ご愛読どうぞよろしくお願いいたします。
読者のみなさまにも、わたしたちから御礼申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。
和田誠司 & 小夜 より
体調不良で、結婚式も挙げられず、婚姻届を出しただけですが……。
それでも、これでわたしたちは、もう夫婦です。生涯のパートナーです。
これからの人生は、ふたりでしっかり手を取り合って、歩いていきます。
「病めるときも健やかなときも、貧しきときも豊かなときも……」
神さまにそう誓い合ったとおり、力を合わせて励まし合って生きていきます。
「つらいこともいっぱいあったけど、死なずに生きてきてよかった……」
わたしは今日ほど、心からそう感じたことはありません。
感激のあまり、涙があふれて、止まらなくなってしまいました。
★ ★ ★
このブログは、これでいったん完結にしたいと思います。
結婚してからの新生活のことは、新ブログを作って、続きを書きますね。
わたしと誠ちゃんの新婚生活、新しいブログの方も、どうぞお楽しみに……。
いままでご愛読くださったみなさまにも、心から感謝いたします。
1000近くのアクセスをいただき、うれしいびっくりでした。
今後のわたしたちの新婚生活にも、どうかご期待くださいね。
これからも引きつづき、ご愛読どうぞよろしくお願いいたします。
読者のみなさまにも、わたしたちから御礼申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。
和田誠司 & 小夜 より
2009/5/11
誠ちゃん、入籍を決めてくれてありがとう 小夜の日記
結婚の日まで、あと10日を切ったというのに。
相変わらず体調が悪くて、寝込んでいます。
だめですね。わたし……。
「セルリアンタワーで、記念の食事をするのも、胃腸が治ってからにしようね」
「もし小夜がドレスを着たいなら、あとでスタジオで、写真だけ撮ってもいいんだから」
そう言って、誠ちゃんが優しく気遣ってくれるので、よけいに自分が情けなくなります……。
ともあれ、5月21日には婚姻届を出して、わたしたちは正式に夫婦になるのです。
そのことは、わたしたちふたりにとって、法律や手続き以上のシンボリックな意味があるのです。
けれども、わたしのような重い病気の障害者が、路線バス運転士という彼の激務を、果たして支えていけるのでしょうか?
それでも彼は、やや強引とも言える勢いで、婚姻届だけでも出すことを、きっぱり決めてくれました。
誠ちゃんの、その愛情に応えることが、わたしの唯一、できることのように思います。
わたしは主治医からも、「あまり長生きはできないだろう」と宣告されています。
きっと彼を置いて、先に逝ってしまって、悲しませてしまうかもしれません。
そんなわたしに、誠ちゃんはいつも、「死ぬときは一緒だよ」と言います。
「おれの運転する、廃車になったT1534に乗って、天国へ一緒に行こう」って。
でも、残り時間がたとえ短くても、生きているうちに、誠ちゃんを精一杯愛したいです。
たとえ病気でも、できるかぎり、だんなさまに尽くすお嫁さんになりたいです。
とりあえず、婚姻届の用紙をもらってきたり、印鑑を準備したり、21日に間に合うように、いろいろと用意をしなければなりません。
ああでもその前に、病院に行って、薬をもらわなければ……。
消化器内科とメンタルクリニックと、両方行かなければならないので、大変です。
ゴールデンウィークが入ってしまったので、通院が忙しくなっています。
神経内科(てんかん)の方は、体調が悪くて午前中の予約時間に行けず、必要な検査も受けられていません。
連休中だけでも、何度も発作を起こして倒れたので、ほんとはちゃんと受診しなければならないのですが……。
最近、ずっと不眠で、昼夜逆転気味なので、そろそろ寝ることにします。
ベッドサイドに飾ってある、誠ちゃんの写真に向かって、お話ししながら……。
相変わらず体調が悪くて、寝込んでいます。
だめですね。わたし……。
「セルリアンタワーで、記念の食事をするのも、胃腸が治ってからにしようね」
「もし小夜がドレスを着たいなら、あとでスタジオで、写真だけ撮ってもいいんだから」
そう言って、誠ちゃんが優しく気遣ってくれるので、よけいに自分が情けなくなります……。
ともあれ、5月21日には婚姻届を出して、わたしたちは正式に夫婦になるのです。
そのことは、わたしたちふたりにとって、法律や手続き以上のシンボリックな意味があるのです。
けれども、わたしのような重い病気の障害者が、路線バス運転士という彼の激務を、果たして支えていけるのでしょうか?
それでも彼は、やや強引とも言える勢いで、婚姻届だけでも出すことを、きっぱり決めてくれました。
誠ちゃんの、その愛情に応えることが、わたしの唯一、できることのように思います。
わたしは主治医からも、「あまり長生きはできないだろう」と宣告されています。
きっと彼を置いて、先に逝ってしまって、悲しませてしまうかもしれません。
そんなわたしに、誠ちゃんはいつも、「死ぬときは一緒だよ」と言います。
「おれの運転する、廃車になったT1534に乗って、天国へ一緒に行こう」って。
でも、残り時間がたとえ短くても、生きているうちに、誠ちゃんを精一杯愛したいです。
たとえ病気でも、できるかぎり、だんなさまに尽くすお嫁さんになりたいです。
とりあえず、婚姻届の用紙をもらってきたり、印鑑を準備したり、21日に間に合うように、いろいろと用意をしなければなりません。
ああでもその前に、病院に行って、薬をもらわなければ……。
消化器内科とメンタルクリニックと、両方行かなければならないので、大変です。
ゴールデンウィークが入ってしまったので、通院が忙しくなっています。
神経内科(てんかん)の方は、体調が悪くて午前中の予約時間に行けず、必要な検査も受けられていません。
連休中だけでも、何度も発作を起こして倒れたので、ほんとはちゃんと受診しなければならないのですが……。
最近、ずっと不眠で、昼夜逆転気味なので、そろそろ寝ることにします。
ベッドサイドに飾ってある、誠ちゃんの写真に向かって、お話ししながら……。
2009/5/10
一日も早く、夫婦になりたいのにね 小夜の日記
誠ちゃんは例によって、ゴールデンウィーク中は、ずっとお仕事でした。
お正月もそうでしたが、いつでも連休中の出勤を、自分から引きうけてしまうのです。
「連休はやっぱり、みんな休みたいだろうし」
「特に、お子さんのいる人は、なるべく休ませてあげたいから」
いつもそう言って、「連休中は、おれが出ますよ」と、自分から申し出るんです。
「小夜、いつもごめんな」と、彼はそのたび、わたしにあやまるんだけど。
でも、病気で療養中のわたしに、連休なんて関係ないし……。
それよりなにより、そういう優しい誠ちゃんが、わたしは好きなんだもの。
4月8日、結婚式を挙げる予定だったのが、結局、延び延びになっています。
彼も気がかりなのでしょう、今日、そのことも話していました。
でもいまは、体調が悪くて精神的にも不安定で、難しいことが考えられなくて……。
わたしたちはただ、ふたりで夫婦になって、幸せに暮らしたいだけなのにね。
結婚が延期になってしまっているのは悲しいし、どこか不安です。
誠ちゃんもきっと、顔に出すまいとしているけれど、同じ気持ちなのでしょう……。
お正月もそうでしたが、いつでも連休中の出勤を、自分から引きうけてしまうのです。
「連休はやっぱり、みんな休みたいだろうし」
「特に、お子さんのいる人は、なるべく休ませてあげたいから」
いつもそう言って、「連休中は、おれが出ますよ」と、自分から申し出るんです。
「小夜、いつもごめんな」と、彼はそのたび、わたしにあやまるんだけど。
でも、病気で療養中のわたしに、連休なんて関係ないし……。
それよりなにより、そういう優しい誠ちゃんが、わたしは好きなんだもの。
4月8日、結婚式を挙げる予定だったのが、結局、延び延びになっています。
彼も気がかりなのでしょう、今日、そのことも話していました。
でもいまは、体調が悪くて精神的にも不安定で、難しいことが考えられなくて……。
わたしたちはただ、ふたりで夫婦になって、幸せに暮らしたいだけなのにね。
結婚が延期になってしまっているのは悲しいし、どこか不安です。
誠ちゃんもきっと、顔に出すまいとしているけれど、同じ気持ちなのでしょう……。
2009/5/4
誠ちゃんにも、バスにもありがとう 小夜の日記
誠ちゃん、わたしね。
いままでのつらさがうそのように、いまは落ち着いているの。
だっていつでも、誠ちゃんがそばにいてくれるから……。
バス運転士さんだから、ゴールデンウィークでも、お出かけもできないけれど。
それでも、お仕事中でも心は一緒だし、いつも応援して、安全を祈っているから。
そう、誠ちゃんさえいてくれたら、わたしはずっと幸せだから。
これから先、なにがあっても、どんなにつらいことがあっても、しっかり生きていける気がするから。
こんなにおだやかな気持ちになれたのは、ほんとに久しぶりな気がするの。
いままではずっと、その日一日を生きぬくので精一杯で、余裕がなかったから……。
誠ちゃん。わたし、ずっとつらかったけど、助けてくれてありがとう。
もしもあなたに出会えなければ、わたしきっと、とっくに死んでしまってた……。
わたし、もう迷わない。あなたのお嫁さんになって、一生一緒に生きていくから。
誠ちゃん。わたしもう、あなた以外の誰も、好きになったりしない。
他の人なんて目に入らないし、信じることさえしたくないもの……。
誠ちゃん。あなたがいてくれたら、わたし、他になにもいらないの。
あなたと一緒なら、わたしの病気が一生治らないとわかっていても、生きていける。
病気にも障害にも、ほかのどんな苦しみにも、耐えていけるから……。
もうすぐ、わたしたちの結婚式ね。
小さな小さな式だけど、厳粛な気持ちでお祝いしましょうね。
誠ちゃん。あなたが生まれてきてくれて、生きていてくれてありがとう。
わたしを選んでくれて、愛してくれて、お嫁さんにしてくれてありがとう。
そう、わたしたちの大好きなバスが、ふたりを出会わせてくれたのよね?
だから、あなたの運転するバス、わたしを乗せてくれたバスにも、ありがとう。
あなたと一緒にいられること、神さまに感謝しながら、今日はもう寝るね。
誠ちゃん、おやすみなさい。また明日……。
いままでのつらさがうそのように、いまは落ち着いているの。
だっていつでも、誠ちゃんがそばにいてくれるから……。
バス運転士さんだから、ゴールデンウィークでも、お出かけもできないけれど。
それでも、お仕事中でも心は一緒だし、いつも応援して、安全を祈っているから。
そう、誠ちゃんさえいてくれたら、わたしはずっと幸せだから。
これから先、なにがあっても、どんなにつらいことがあっても、しっかり生きていける気がするから。
こんなにおだやかな気持ちになれたのは、ほんとに久しぶりな気がするの。
いままではずっと、その日一日を生きぬくので精一杯で、余裕がなかったから……。
誠ちゃん。わたし、ずっとつらかったけど、助けてくれてありがとう。
もしもあなたに出会えなければ、わたしきっと、とっくに死んでしまってた……。
わたし、もう迷わない。あなたのお嫁さんになって、一生一緒に生きていくから。
誠ちゃん。わたしもう、あなた以外の誰も、好きになったりしない。
他の人なんて目に入らないし、信じることさえしたくないもの……。
誠ちゃん。あなたがいてくれたら、わたし、他になにもいらないの。
あなたと一緒なら、わたしの病気が一生治らないとわかっていても、生きていける。
病気にも障害にも、ほかのどんな苦しみにも、耐えていけるから……。
もうすぐ、わたしたちの結婚式ね。
小さな小さな式だけど、厳粛な気持ちでお祝いしましょうね。
誠ちゃん。あなたが生まれてきてくれて、生きていてくれてありがとう。
わたしを選んでくれて、愛してくれて、お嫁さんにしてくれてありがとう。
そう、わたしたちの大好きなバスが、ふたりを出会わせてくれたのよね?
だから、あなたの運転するバス、わたしを乗せてくれたバスにも、ありがとう。
あなたと一緒にいられること、神さまに感謝しながら、今日はもう寝るね。
誠ちゃん、おやすみなさい。また明日……。
2009/5/2
結婚式の日取りが決まりました 小夜の日記
やっと、結婚式の日取りが決まりました。
5月21日に、予定どおり渋谷セルリアンタワーで、式を挙げることになりました。
もともとは、4月8日に式を予定していたのですが。
わたしが心身ともに、ひどく調子が悪くて、延期になっていたのです。
このかんはわたしも、いろんなことがありすぎて苦しくて、日記を更新する気力もありりませんでした。
セルリアンタワー東急ホテルで、小さな小さな結婚式を、挙げることにしました。
わたしたちの思い出の場所で、レストランウェディングをします。
……これでやっと、わたし、幸せになれるかな?
誠ちゃんのお嫁さんになって、一生愛し合って、幸せに生きていけるかな?
ねえ、誠ちゃん。
わたし、幸せになりたいよ……。
いままでつらいことばかりだったし、いまもとても苦しいから。
だからこれからは、あなたとふたりで、幸せになりたいの。
誠ちゃんが、いつもそばにいてくれたら、きっと幸せになれるよね?
あなたさえいてくれれば、わたし、他の誰もいらないから……。
ねえ、誠ちゃん。
小夜をお嫁さんにしてくれて、結婚してくれてありがとう。
あなたも幸せになってくれるように、わたしも精一杯がんばるから……。
5月21日に、予定どおり渋谷セルリアンタワーで、式を挙げることになりました。
もともとは、4月8日に式を予定していたのですが。
わたしが心身ともに、ひどく調子が悪くて、延期になっていたのです。
このかんはわたしも、いろんなことがありすぎて苦しくて、日記を更新する気力もありりませんでした。
セルリアンタワー東急ホテルで、小さな小さな結婚式を、挙げることにしました。
わたしたちの思い出の場所で、レストランウェディングをします。
……これでやっと、わたし、幸せになれるかな?
誠ちゃんのお嫁さんになって、一生愛し合って、幸せに生きていけるかな?
ねえ、誠ちゃん。
わたし、幸せになりたいよ……。
いままでつらいことばかりだったし、いまもとても苦しいから。
だからこれからは、あなたとふたりで、幸せになりたいの。
誠ちゃんが、いつもそばにいてくれたら、きっと幸せになれるよね?
あなたさえいてくれれば、わたし、他の誰もいらないから……。
ねえ、誠ちゃん。
小夜をお嫁さんにしてくれて、結婚してくれてありがとう。
あなたも幸せになってくれるように、わたしも精一杯がんばるから……。
2009/4/15
血を吐いて倒れちゃいました 小夜の日記
このところ体調がひどく悪くて、結婚式も延期したような状態だったのですが。
今日はとうとう、血を吐いて倒れてしまいました。
昼食後に全部吐いてしまって、その後、血を吐いたのでびっくりしました。
「血を吐くような思いで」と言いますが、ほんとに血を吐いてしまいました……。
しばらくは、入院しているつもりで、自宅静養するしかなさそうです。
食事も流動食になり、通院以外は、基本的に外出もできないと思います。
当分の間、からだがよくなるまでは、結婚式も延期するしかありません。
とはいえ、いつになればよくなるのか、自分でも見当もつかないのですが……。
バスにも電車にも乗れず、一番の趣味の乗りバス撮りバスも、遠ざかっていきます。
誠ちゃんが結婚指輪を買ってくれましたが、まだ文字入れはしていません。
結婚式の日付を入れたいので、予定が立たない現状では、注文できなくて……。
それでも結婚指輪は、いつも左手の薬指に、大切にはめています。
誠ちゃんも同じ指輪をはめて、毎日その手で、バスを運転しています。
今回のことでは、わたしも動揺しましたが、彼はもっと胸を痛めているようでした。
「小夜がつらいときこそ、おれも一緒だから。いつもそばにいるから、おれがついているから」
心配で胸がつぶれそうな表情をしながらも、誠ちゃんはそう言ってくれました。
「おれは絶対逃げないし、どこへも行かないから。いつまでも待つから」
「小夜の心とからだが元気になって、安心して式を挙げられるときにしようね」
自分の病気で、前から決めていた結婚式が延期になって、しかも先のめどさえ立たないというのは、わたしにとっても不安でつらいし、彼に対しても心苦しいことです。
でも、彼もそう言ってくれるし、いまはなにより、心身ともに元気になりたいから。
自分のためにはもちろん、それが一番、彼を安心させることにもなるから。
そして晴れの日は、わたし、輝くような明るい笑顔の花嫁さんになりたいから……。
「いつまでも待つから」って、彼も言ってくれるから、その優しい言葉に甘えて、いまは療養に専念して、早く元気になろうと思います。
しばらくは家で寝たきりになりそうだけど、動き回る体力もありません。
おとなしくがまんして、ゆっくり休養して、心身ともに疲れを取ろうと思っています。
だってわたし、ひとりぼっちじゃないもの。病気でも淋しくないもの。
わたしだけの心優しいバス運転士さん、誠ちゃんが、どんなときもいつでも、一緒にいてくれるんだもの……。
今日はとうとう、血を吐いて倒れてしまいました。
昼食後に全部吐いてしまって、その後、血を吐いたのでびっくりしました。
「血を吐くような思いで」と言いますが、ほんとに血を吐いてしまいました……。
しばらくは、入院しているつもりで、自宅静養するしかなさそうです。
食事も流動食になり、通院以外は、基本的に外出もできないと思います。
当分の間、からだがよくなるまでは、結婚式も延期するしかありません。
とはいえ、いつになればよくなるのか、自分でも見当もつかないのですが……。
バスにも電車にも乗れず、一番の趣味の乗りバス撮りバスも、遠ざかっていきます。
誠ちゃんが結婚指輪を買ってくれましたが、まだ文字入れはしていません。
結婚式の日付を入れたいので、予定が立たない現状では、注文できなくて……。
それでも結婚指輪は、いつも左手の薬指に、大切にはめています。
誠ちゃんも同じ指輪をはめて、毎日その手で、バスを運転しています。
今回のことでは、わたしも動揺しましたが、彼はもっと胸を痛めているようでした。
「小夜がつらいときこそ、おれも一緒だから。いつもそばにいるから、おれがついているから」
心配で胸がつぶれそうな表情をしながらも、誠ちゃんはそう言ってくれました。
「おれは絶対逃げないし、どこへも行かないから。いつまでも待つから」
「小夜の心とからだが元気になって、安心して式を挙げられるときにしようね」
自分の病気で、前から決めていた結婚式が延期になって、しかも先のめどさえ立たないというのは、わたしにとっても不安でつらいし、彼に対しても心苦しいことです。
でも、彼もそう言ってくれるし、いまはなにより、心身ともに元気になりたいから。
自分のためにはもちろん、それが一番、彼を安心させることにもなるから。
そして晴れの日は、わたし、輝くような明るい笑顔の花嫁さんになりたいから……。
「いつまでも待つから」って、彼も言ってくれるから、その優しい言葉に甘えて、いまは療養に専念して、早く元気になろうと思います。
しばらくは家で寝たきりになりそうだけど、動き回る体力もありません。
おとなしくがまんして、ゆっくり休養して、心身ともに疲れを取ろうと思っています。
だってわたし、ひとりぼっちじゃないもの。病気でも淋しくないもの。
わたしだけの心優しいバス運転士さん、誠ちゃんが、どんなときもいつでも、一緒にいてくれるんだもの……。
2009/3/30
「助けて」と手を振ったら、バスが来た 小夜の日記
自分でもどうしようもないときは、、誠ちゃんに相談する。
他人が信じられなくても、信じるのが怖くても、彼は裏切らないから……。
不穏になって自分を見失うわたしを、彼は優しく見つめて言う。
「小夜。過去に多くの人に裏切られたとしても、みんながそうとは限らないよ」
「確かに、一度逃げた人は、二度三度逃げるかもしれない」
「でもひょっとしたら、逃げない人も、他にいるかもしれないよ?」
「人はひとりひとり、みんな違うから、全員を疑ってかかることはない」
「その人の過去の言動を、よく観察して、冷静に判断した方がいいよ」
そう、確かに、彼の言うとおりなのかもしれない。
悪い人もいるけど、みんながそうと決めつけるのは、早計なのかもしれない。
人はひとりひとり、みなそれぞれに違うのだから……。
その人の過去の言動を冷静に観察して、忘れずに覚えておいて、その上で判断する。
誰もかれも、むやみに怖れて疑うよりも、その方がきっと現実的な対処法なのだろう。
悪い人も多いけど、いい人も、優しくて誠実な人も、他にいるかもしれない。
「必ずいるはずだ」と断言できなくても、可能性に賭けてみる余地はある。
……誠ちゃんが言いたいのは、つまりそういうことなのだろう。
他人に逃げられ、暴言を吐かれ、愛想を尽かされ、捨て台詞を残して去られる。
そのたびごとに、「自分は悪い人間だ」という烙印を、心に押されることになる。
この胸に何度でも焼きつけられてきた、暗いスティグマ(烙印)が、いまもわたしを苦しめつづけているのだ。
「でも、悪いのは相手かもしれないし、お互いさまかもしれないだろ?」
「小夜ひとりが責任を負って、自分を責めて、自己否定することはないんだ」
誠ちゃんにそう言われて、わたしもはっと気がついた。
「お人好しもほどほどにしないと、本当にいい人を見失ってしまうよ?」
誠ちゃんはそう言って、わたしを見て、ふっと微笑んだ。
バスの運転席にいるときと同じ、いつもの優しくおだやかな笑顔だった。
「小夜は危なっかしくて、いつも心配で、見ちゃいられないよ」
彼に優しくそう言われて、わたしもふっと、自分を取り戻せた気がした。
暗くて深い穴に落ちかけたところを、誠ちゃんに、手を引かれて助けられた。
いつも大きなバスを運転している、彼のたくましい腕で、ぐっと引き戻された。
「小夜。バス、好きなんだろ? 嫌いになんかなれないだろ??」
誠ちゃんにそう言われて、ふと、バスのことを思い出した。
わたしのイメージの中では、彼はいつも、バスの制服・制帽姿なんだ。
「バス……好きだよ。大好きだよ。運転士さんも……」
急に子供みたいな口調になって、わたしが答えると、誠ちゃんはまた笑った。
「まだ体調悪くて、バスに乗れないなら、せめて見に行こう」
明日でもあさってでも、行けそうなときに、彼とバスを見に行こう。
どの駅で降りても、大好きなバスたちが、きっと迎えてくれるだろう。
またしても、バスとわたしの運転士さんに助けられて、ここへ戻ってきた。
「死にたい」なんて、もう思わなくてすむように、そうなればいいと思う。
誠ちゃん、いつもありがとう。
わたしも早く元気になって、またバスに乗りに行きたいな。
こんどは渋谷から、あの大きくて素敵なリムジンバスに、乗ってみたい……。
他人が信じられなくても、信じるのが怖くても、彼は裏切らないから……。
不穏になって自分を見失うわたしを、彼は優しく見つめて言う。
「小夜。過去に多くの人に裏切られたとしても、みんながそうとは限らないよ」
「確かに、一度逃げた人は、二度三度逃げるかもしれない」
「でもひょっとしたら、逃げない人も、他にいるかもしれないよ?」
「人はひとりひとり、みんな違うから、全員を疑ってかかることはない」
「その人の過去の言動を、よく観察して、冷静に判断した方がいいよ」
そう、確かに、彼の言うとおりなのかもしれない。
悪い人もいるけど、みんながそうと決めつけるのは、早計なのかもしれない。
人はひとりひとり、みなそれぞれに違うのだから……。
その人の過去の言動を冷静に観察して、忘れずに覚えておいて、その上で判断する。
誰もかれも、むやみに怖れて疑うよりも、その方がきっと現実的な対処法なのだろう。
悪い人も多いけど、いい人も、優しくて誠実な人も、他にいるかもしれない。
「必ずいるはずだ」と断言できなくても、可能性に賭けてみる余地はある。
……誠ちゃんが言いたいのは、つまりそういうことなのだろう。
他人に逃げられ、暴言を吐かれ、愛想を尽かされ、捨て台詞を残して去られる。
そのたびごとに、「自分は悪い人間だ」という烙印を、心に押されることになる。
この胸に何度でも焼きつけられてきた、暗いスティグマ(烙印)が、いまもわたしを苦しめつづけているのだ。
「でも、悪いのは相手かもしれないし、お互いさまかもしれないだろ?」
「小夜ひとりが責任を負って、自分を責めて、自己否定することはないんだ」
誠ちゃんにそう言われて、わたしもはっと気がついた。
「お人好しもほどほどにしないと、本当にいい人を見失ってしまうよ?」
誠ちゃんはそう言って、わたしを見て、ふっと微笑んだ。
バスの運転席にいるときと同じ、いつもの優しくおだやかな笑顔だった。
「小夜は危なっかしくて、いつも心配で、見ちゃいられないよ」
彼に優しくそう言われて、わたしもふっと、自分を取り戻せた気がした。
暗くて深い穴に落ちかけたところを、誠ちゃんに、手を引かれて助けられた。
いつも大きなバスを運転している、彼のたくましい腕で、ぐっと引き戻された。
「小夜。バス、好きなんだろ? 嫌いになんかなれないだろ??」
誠ちゃんにそう言われて、ふと、バスのことを思い出した。
わたしのイメージの中では、彼はいつも、バスの制服・制帽姿なんだ。
「バス……好きだよ。大好きだよ。運転士さんも……」
急に子供みたいな口調になって、わたしが答えると、誠ちゃんはまた笑った。
「まだ体調悪くて、バスに乗れないなら、せめて見に行こう」
明日でもあさってでも、行けそうなときに、彼とバスを見に行こう。
どの駅で降りても、大好きなバスたちが、きっと迎えてくれるだろう。
またしても、バスとわたしの運転士さんに助けられて、ここへ戻ってきた。
「死にたい」なんて、もう思わなくてすむように、そうなればいいと思う。
誠ちゃん、いつもありがとう。
わたしも早く元気になって、またバスに乗りに行きたいな。
こんどは渋谷から、あの大きくて素敵なリムジンバスに、乗ってみたい……。
2009/3/21
誠ちゃん、たすけてよ…… 小夜の日記
誠ちゃん、たすけてよ……。
わたし、もうだめなんだ。ひとりで立っていられないもの。
誰にも会いたくない。誰とも話などしたくない。
ひとりぼっちで、いいえ、あなたとふたりきりで、ここにいたいの。
大好きなバスも電車も、いまは乗らなくていい。
あなたと一緒に立って、ここで見ているだけで、いまはいいの。
誰も来ないで、怖いから。わたしに近づかないで。
いつかきっといなくなるなら、最初から、わたしのそばに来ないで。
見捨てられてもかまわない、でもそれなら、早い方がいいから。
他人が去っていくのは、きっとわたしのせいだから。
でもそれなら、早い方がいいの。その方がまだ傷つかないから……。
もう、バスも電車も、好きになるのをやめてしまおうか?
やめなくても、同じ趣味の誰かと会わなければいい、それだけの話だけど。
ひとりで、いいえ、あなたとふたりで、趣味を続ければいい、それだけなんだけど。
誠ちゃん、たすけてよ。わたしもう、がんばれないよ……。
これ以上がんばって、がまんを重ねて、ひとりで持ちこたえていられないよ。
それにわたし、他人がいったいなに考えてるか、わからないんだもの。
なに考えてるか、なにするかわからないからこそ、他人が一番怖いんじゃないか。
やっぱりもうだめだ。これで最後にしよう、と、ふと思い立つ。
人と会うのは、もう最後にしたいよ。次の予定すらなしにしたいくらいだ。
だって、人に会うのは、怖くて怖くて、気が狂いそうなんだもの……。
わたしがこんな人間だから、普通に人付き合いできないことは、申し訳ないと思う。
申し訳ないとは思うけれど、それはもう、他を当たってもらうしかない。
人と普通の関係が作れないのも、自分の欠陥なのは、よくわかっているけれど。
でもそれも、やむをえないことだったりするんだもの。
いままでの人生が、あまりに不運続きで、こんな歪んだ人間になっちゃったんだもの。
わたしとて、こうなりたくてなったわけではないから、仕方ないんだもの……。
あぁ、もうなにもかも、すべて忘れたい。ひとりになりたい。
誠ちゃんとふたり、静かに過ごして、バス鉄道趣味をのんびり楽しみたいんだ。
人の言葉も行動も、信じられなくなってしまった自分が、ここにいる。
でも、そうなったなりの理由や事情がある以上、このままで生きていくしかない。
そのことを、本質的に理解してくれるのは、誠ちゃんだけなんだ。きっと。
でもそれさえあれば、もうそれ以上、なにもいらないじゃないか、とも思う。
「死ぬときは一緒だよ」
いつもそう言ってくれて、そう約束してくれた人がいるんだから。
あとはただ、誠ちゃんと一緒に行けばいいんだ。それだけじゃないか……。
わたし、もうだめなんだ。ひとりで立っていられないもの。
誰にも会いたくない。誰とも話などしたくない。
ひとりぼっちで、いいえ、あなたとふたりきりで、ここにいたいの。
大好きなバスも電車も、いまは乗らなくていい。
あなたと一緒に立って、ここで見ているだけで、いまはいいの。
誰も来ないで、怖いから。わたしに近づかないで。
いつかきっといなくなるなら、最初から、わたしのそばに来ないで。
見捨てられてもかまわない、でもそれなら、早い方がいいから。
他人が去っていくのは、きっとわたしのせいだから。
でもそれなら、早い方がいいの。その方がまだ傷つかないから……。
もう、バスも電車も、好きになるのをやめてしまおうか?
やめなくても、同じ趣味の誰かと会わなければいい、それだけの話だけど。
ひとりで、いいえ、あなたとふたりで、趣味を続ければいい、それだけなんだけど。
誠ちゃん、たすけてよ。わたしもう、がんばれないよ……。
これ以上がんばって、がまんを重ねて、ひとりで持ちこたえていられないよ。
それにわたし、他人がいったいなに考えてるか、わからないんだもの。
なに考えてるか、なにするかわからないからこそ、他人が一番怖いんじゃないか。
やっぱりもうだめだ。これで最後にしよう、と、ふと思い立つ。
人と会うのは、もう最後にしたいよ。次の予定すらなしにしたいくらいだ。
だって、人に会うのは、怖くて怖くて、気が狂いそうなんだもの……。
わたしがこんな人間だから、普通に人付き合いできないことは、申し訳ないと思う。
申し訳ないとは思うけれど、それはもう、他を当たってもらうしかない。
人と普通の関係が作れないのも、自分の欠陥なのは、よくわかっているけれど。
でもそれも、やむをえないことだったりするんだもの。
いままでの人生が、あまりに不運続きで、こんな歪んだ人間になっちゃったんだもの。
わたしとて、こうなりたくてなったわけではないから、仕方ないんだもの……。
あぁ、もうなにもかも、すべて忘れたい。ひとりになりたい。
誠ちゃんとふたり、静かに過ごして、バス鉄道趣味をのんびり楽しみたいんだ。
人の言葉も行動も、信じられなくなってしまった自分が、ここにいる。
でも、そうなったなりの理由や事情がある以上、このままで生きていくしかない。
そのことを、本質的に理解してくれるのは、誠ちゃんだけなんだ。きっと。
でもそれさえあれば、もうそれ以上、なにもいらないじゃないか、とも思う。
「死ぬときは一緒だよ」
いつもそう言ってくれて、そう約束してくれた人がいるんだから。
あとはただ、誠ちゃんと一緒に行けばいいんだ。それだけじゃないか……。
2009/3/19
最後は微笑んで、あのバスに乗って 小夜の日記
今日もまた、もうすぐ朝がやってくる。
今夜もやっぱり眠れなくて、薬をまた追加した。
あぁ、どうしてこんなに苦しいんだろう?
いますぐすべてを終わらせたいけど、いまはまだ死ねない。
自分を必要としてくれる人が、たとえひとりでもいるうちは。
でも、それもほんとなのか? ほんとに必要となどされているのか?
同じことがいつまでもぐるぐると、頭の中をめぐりつづけている。
そうしてまた、ますます眠れなくなって、結局明け方を迎える毎日なんだ。
悪いことがあれば絶望して、いいことがあればあったで、不安になって……。
そんな状態が続いている以上、なにがあっても、結局苦しくなっちゃうよ?
だんだん薬が効かなくなっていくので、毎晩どうしようもない。
でも、主治医に相談してもどうしようもないし、話すつもりもないから。
いますぐには死ねなくても、早く死にたい。長生きなんてしたくない。
4月8日まで、もうあと20日を切った。どうしようか?
とはいえ、いまこの状況では、まだ死ぬわけにはいかないのだけれど……。
雲をつかむような現実の中を生きていても、今日も明日も、バスも電車も走るから。
なんであれ、約束をするというのは、いいことなのかもしれないと、ふと考えてみる。
会う約束でもなんでもいい、人と約束したなら、今日はとりあえず、死ねないなぁと思うから。
その日を楽しみに待っていてくれる人がいるなら、いまどんなに苦しくても、今夜死ぬわけにはいかない、と思うから。
次にいつ会おうと約束したなら、それを前にして、わたしがとつぜんいなくなったら。
死んでしまって、二度と会えなくなったら、相手はどう思うだろうと考えるから。
当然、ひどくショックを受けるかもしれないし、自分を責めてしまうかもしれない。
わたし自身、知人友人が自殺したことは、実は過去に何度も経験している。
そのたびごとに、助けられなかった、なんの力にもなれなかった自分を責めた。
自殺ではないが、親友が病気で急死したときは、言葉にならないほど悲しかった。
自分の人生の中で、一番悲しかったことのひとつだったと思っている。
いまでもその人のことは忘れないし、彼女が生きていてくれたらと、何度となく思った。
もちろん、いまでもそう思っているし、これからもきっとそうだろう。
ひとりでもふたりでも、残されたら深く悲しむであろう人がいることを思うと、毎日死を願うほど苦しくても、どうにか生き長らえるしかないのだろうか、とも考える。
……わたしひとりが死んだところで、なにも変わりはしないというのに。
人はいつか必ず死ぬし、自分の人生がいつ終わるのかは、誰にもわからない。
それがたまたま、早いか遅いか、今日か数十年後か、その違いにすぎないのだけれど。
自分の人生に、なんの意味などないことを、わたしはよく知っているから。
無意味で苦痛に満ちた延命治療のように、いたずらに長引かせたくはないだけなのに。
バス鉄道趣味さえも、言ってみれば、余生の暇つぶしにすぎないというのに。
ただそれだけだ。わたしは鉄道員でも、バス運転士でもないのだから。
なにかしていないと、生きている気がしないから……。
なにかに熱中して、夢中になっていないと、生きている実感が持てないから。
でもいまは、早くすべてから解き放たれて、自由になりたい。
この苦しみと悲しみに満ちた人生から解き放たれて、水色の空に帰りたい。
これ以上生きていても、幸せになどなれないことは、すでによくわかっているから。
できなかったこと、あきらめざるをえないことも、それはたくさんあった。
子供のころからの夢だった、バス運転士にもなれなかった。
病気と障害のゆえに、チャレンジすることさえ許されなかった。
幸薄い人生ではあったけれども、それでもまっすぐに、自分を曲げず妥協せず、ひたむきに走ってこられたことは、唯一の幸せだったかもしれない。
自分の生きたいように生きて、やりたいことをやって、自分を貫いてきたから。
困難ばかりの人生だったけど、自分なりに全力疾走してきたから、そのことだけは悔いがない。
だからわたしは、最後はきっと、微笑んで死ねると思う。
わたしの心の中に、いまも走りつづける、廃車になったあのバスに乗って。
誠ちゃんの運転するバスに乗って、きっとお空に帰れると、信じているから……。
今夜もやっぱり眠れなくて、薬をまた追加した。
あぁ、どうしてこんなに苦しいんだろう?
いますぐすべてを終わらせたいけど、いまはまだ死ねない。
自分を必要としてくれる人が、たとえひとりでもいるうちは。
でも、それもほんとなのか? ほんとに必要となどされているのか?
同じことがいつまでもぐるぐると、頭の中をめぐりつづけている。
そうしてまた、ますます眠れなくなって、結局明け方を迎える毎日なんだ。
悪いことがあれば絶望して、いいことがあればあったで、不安になって……。
そんな状態が続いている以上、なにがあっても、結局苦しくなっちゃうよ?
だんだん薬が効かなくなっていくので、毎晩どうしようもない。
でも、主治医に相談してもどうしようもないし、話すつもりもないから。
いますぐには死ねなくても、早く死にたい。長生きなんてしたくない。
4月8日まで、もうあと20日を切った。どうしようか?
とはいえ、いまこの状況では、まだ死ぬわけにはいかないのだけれど……。
雲をつかむような現実の中を生きていても、今日も明日も、バスも電車も走るから。
なんであれ、約束をするというのは、いいことなのかもしれないと、ふと考えてみる。
会う約束でもなんでもいい、人と約束したなら、今日はとりあえず、死ねないなぁと思うから。
その日を楽しみに待っていてくれる人がいるなら、いまどんなに苦しくても、今夜死ぬわけにはいかない、と思うから。
次にいつ会おうと約束したなら、それを前にして、わたしがとつぜんいなくなったら。
死んでしまって、二度と会えなくなったら、相手はどう思うだろうと考えるから。
当然、ひどくショックを受けるかもしれないし、自分を責めてしまうかもしれない。
わたし自身、知人友人が自殺したことは、実は過去に何度も経験している。
そのたびごとに、助けられなかった、なんの力にもなれなかった自分を責めた。
自殺ではないが、親友が病気で急死したときは、言葉にならないほど悲しかった。
自分の人生の中で、一番悲しかったことのひとつだったと思っている。
いまでもその人のことは忘れないし、彼女が生きていてくれたらと、何度となく思った。
もちろん、いまでもそう思っているし、これからもきっとそうだろう。
ひとりでもふたりでも、残されたら深く悲しむであろう人がいることを思うと、毎日死を願うほど苦しくても、どうにか生き長らえるしかないのだろうか、とも考える。
……わたしひとりが死んだところで、なにも変わりはしないというのに。
人はいつか必ず死ぬし、自分の人生がいつ終わるのかは、誰にもわからない。
それがたまたま、早いか遅いか、今日か数十年後か、その違いにすぎないのだけれど。
自分の人生に、なんの意味などないことを、わたしはよく知っているから。
無意味で苦痛に満ちた延命治療のように、いたずらに長引かせたくはないだけなのに。
バス鉄道趣味さえも、言ってみれば、余生の暇つぶしにすぎないというのに。
ただそれだけだ。わたしは鉄道員でも、バス運転士でもないのだから。
なにかしていないと、生きている気がしないから……。
なにかに熱中して、夢中になっていないと、生きている実感が持てないから。
でもいまは、早くすべてから解き放たれて、自由になりたい。
この苦しみと悲しみに満ちた人生から解き放たれて、水色の空に帰りたい。
これ以上生きていても、幸せになどなれないことは、すでによくわかっているから。
できなかったこと、あきらめざるをえないことも、それはたくさんあった。
子供のころからの夢だった、バス運転士にもなれなかった。
病気と障害のゆえに、チャレンジすることさえ許されなかった。
幸薄い人生ではあったけれども、それでもまっすぐに、自分を曲げず妥協せず、ひたむきに走ってこられたことは、唯一の幸せだったかもしれない。
自分の生きたいように生きて、やりたいことをやって、自分を貫いてきたから。
困難ばかりの人生だったけど、自分なりに全力疾走してきたから、そのことだけは悔いがない。
だからわたしは、最後はきっと、微笑んで死ねると思う。
わたしの心の中に、いまも走りつづける、廃車になったあのバスに乗って。
誠ちゃんの運転するバスに乗って、きっとお空に帰れると、信じているから……。