「BEGINNING YEARS 1967-1968/THE JACKSON 5 AND JOHNNY」
洋楽 全般
このブログでニュースを引用する事はほとんどありませんが、今回は多くのニュースサイトで紹介されていた残念な記事から引用します。
元「ジャクソン5」ドラマー殺される
米国の歌手マイケル・ジャクソン氏がソロ活動に入る前の兄弟バンド「ジャクソン・ファイブ」でドラマーを務めたジョニー・ジャクソン氏(54)が1日、米インディアナ州ゲーリーの自宅で胸を刺されて死亡した。関係者がジョニーと女性の言い争う声を聞いており、地元警察はジョニーと一緒に暮らしていた女性の行方を捜している。地元警察はジョニーがジャクソン兄弟のいとこに当たるとしているが、血縁関係はないとの情報もあるという。1967年ころから2代目のドラマーを務めた。
このニュースを読んでハッと思い出したのが、以前買ったこのCDです。

↑実はトンデモないインチキCD
1989年にアメリカのIchiban Records(つまり「一番」ですね)というレーベルからリリースされたジャクソン5の「BEGINNING YEARS 1967-1968」というCDです。
このアルバムの名義が「THE JACKSON 5 AND JOHNNY」となっていて、ジャケット写真で、まだモータウンからデビューする前のジャクソン5のメンバーと共に、ジョニー・ジャクソンがドラムに座って写っているのです。

↑ジョニーを囲む初期のジャクソン5
白黒写真に着色して無理矢理カラーにしてあります。
「1967-1968」となっていますが、実際は1965〜67年にかけてのセッションというのが正しいようです(これについては後述します)。
そして、何と嘆かわしい事に、このCDは"あとから誰かが勝手に演奏をダビングしている"というインチキなアルバムなのです。デジタル・シンセの音色からして80年代後半になってからと推測されます(発売は89年)。
つまり元の録音から20年後ぐらいに、勝手に誰かがドラムマシンやシンセサイザーをダビングして、ジャクソン5のレアな未発表作品として発売しちゃったのです。
更にこのアルバムでは「THE JACKSON 5 AND JOHNNY」という名義で、ジャケットにもジョニー・ジャクソンが写っているのに、なんとドラムの音は「BIG BOY」と「WE DON'T HAVE TO BE OVER 21」で少し聴こえるだけで、他の元の音源にはドラムが全く入っていません。
実はこの2曲はジャクソン5がモータウンからデビューする前に、小さなレーベルから発売したシングルです。呆れた事にこの2曲にも、他の収録曲と同様に後から別のドラムやシンセがダビングしてあります。つまりこれは当時発売された音源に手を加えちゃっているのです。ジョニーはこの時期ジャクソン5と活動していたようですが、レコーディングされたこのドラムがジョニーかどうかは不明です。
全曲で聴こえるドラムは、実はドラムマシンをマニュアルで叩いた音です。古いテープに無理に後から合わそうとしているので、リズムはヨレヨレで、おまけに演奏もヘタクソで実にひどい仕上がりになっています。
とてもプロ並の演奏とは言えませんので、近所の音楽の好きな若者にバイトでやらせたんじゃないかと思うほどです。リズムも演奏もグチャグチャで、音質もミックスも最悪です。
よっぽどのマニア以外には聴く価値などないアルバムですが、僕は1993年にアメリカの別レーベルから発売された同内容のCDも買いました(曲順は違います)。

こちらのアルバムは「THE JACKSON FIVE FEATURING MICHAEL JACKSON」というタイトルで「AND JOHNNY」のクレジットはありません。
なぜ聴くに堪えないこのアルバムを僕が再び買ったかと言うと、このCDにはボーナス・トラックとしてヘタクソな演奏をダビングする前の、ジャクソン5だけで演奏しているテイクが収録されていたからです。
しかしさすがにモータウンからデビューする前のシングルである「BIG BOY」と「WE DON'T HAVE TO BE OVER 21」のオリジナル・テイクは未収録です(本当はこれこそが一番価値があるのですが)。
こちらのCDに「1965〜67年にかけてインディアナ州ゲイリーで行われたセッション」という記述があります。これが正しいと僕も思います。
しかしギターのチューニングの狂い方などからすると、ほぼ1日、多くても数日だけのセッションだと考えられます。同じ弦=4弦が同じようにチューニングの狂った曲が何曲もあるので間違いないでしょう。
ダビングされていない元の音源を聴くと、1本のエレクトリック・ギター(多分ティト・ジャクソンでしょう)とパーカッション(タンバリンとコンガ、手拍子)に歌とコーラスだけだった事がわかります。ジャーメイン・ジャクソンのベースは入っていませんが「Stormy Monday」や「A Cange Is Gonna Come」では2本のギターが聴こえるので、片方のギターはジャーメインだと思われます。
安っぽいテープレコーダーにマイクを1本つないで一発録りされたデモ・テープというか、練習風景というか、そういう内容です。スタジオ録音という感じでもないので自宅での録音なんじゃないでしょうか。価値のあるのはこのボーナス・トラックだけですが、これらのモノラル音源にも後からおかしなステレオ処理がしてあって、それが残念です。
というわけで、マイケル・ジャクソンの人気に便乗しただけの実にインチキな内容のアルバムですが、ジャクソン5とジョニー・ジャクソンの名前が同時にクレジットされ、またジャケットの写真にもメンバーと共にジョニーが登場している唯一のアルバムだと思いますので、今日は取り上げる事にしました。もちろん本人達の許可を取って発売したとはとても考えられないCDですが。
果たしてジョニーは自分の名前や写真を使われたこのアルバムの存在を知っていたのでしょうか?
もうそれはわかりませんが、ご冥福をお祈りいたします。
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