40代女性 がんに日々おびえ
「患者の視点で反省すべきだ」「批判を組織全体で受け止める」。薬害肝炎リストの放置問題に関して三十日まとまった厚生労働省調査チームの報告書。世論を意識して患者への配慮をにじませた内容になったものの、解明に不可欠な四百十八人の追跡調査はまだこれから。被害の実態も把握できないまま、「国に告知の責任があるとは言い切れない」と結論づける報告書に、薬害肝炎訴訟の原告らは失望をあらわにした。
「責任転嫁。人生をめちゃくちゃにされた責任は誰がとってくれるのか」。四百十八人のリストに含まれていることが発覚し、調査の発端となった薬害肝炎大阪訴訟の四十代の女性原告は、告知を怠った国の責任を否定した報告に怒り心頭だ。
昨年十一月に肝硬変と診断された。十月下旬に病を押して法廷に臨み、「いつ肝がんになるかすごく心配です」と不安な胸の内を語った。
女性は一九八六年十二月、三男を出産した六日後に急性肝炎を発症。体調が優れないため母親らしいことが十分できず、発症の五年後に離婚、子どもは夫が引き取った。法廷で「元気な体で子どもが小さいころに戻れたら何をしたいか」と問われ、「本もいっぱい読んであげたいし、勉強もいっぱい見てあげたい。一緒にサッカーもしたい」と声を詰まらせた。
八七年、出産病院とは別の入院先で「A型でもB型でもない肝炎」と聞かされたが、進行性の病気で治療が難しいという説明はなく、慢性肝炎や肝硬変、肝がんに移行する可能性があることも長い間知らなかった。八年前に通い始めた開業医にC型肝炎と教えられるまで、体調不良の理由が分からず病院を渡り歩きながら、ビタミン剤や精神安定剤の処方を受けていた。
大阪訴訟の原告になったのは三年前。国と製薬会社は、製剤の投与事実さえ否定した。だが、リストには投与された製剤の種類や投与日、発症日、輸血を受けていないこと、製薬会社が二十年前に情報を入手し、旧厚生省にも報告していたことが明記されていた。
新たに30人が4地裁に提訴 調査で判明の3人も
汚染された血液製剤でウイルス感染したとして、患者が国や製薬企業を訴えた薬害C型肝炎訴訟で、新たに全国で三十人が三十日、東京、仙台、大阪、福岡の四地裁に一斉提訴した。原告らは提訴後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、大阪高裁での和解案提示を前に「感染時期や製剤の種類を問わず、原告全員の救済を」とあらためて訴えた。原告数は計二百一人となった。
新たに提訴した原告のうち三人は、厚生労働省と製薬企業が放置していた四百十八人分の患者リストに入っていた。その一人の女性(54)は会見で「出産直後に急性肝炎を発症した。なぜ感染したのか長年分からなかったが、リストの存在が明らかになって初めて医者に告知されて分かった」と憤った。
<解説>国責任否定“結論ありき”
リスト放置問題をめぐる厚労省チームの調査は、告知を怠った国の責任の否定という結論ありきで、反省を示して幕引きを図ろうとする印象が否めない。メンバーの弁護士が会見で「現時点ではどういう被害が生じたか判明していないので、責任の有無は判断できない」と注釈をつけるなど中途半端な内容だった。
本来なら、国や製薬会社が情報を把握した時の患者の病状や治療の有無、放置されたために病状悪化や死亡に至ったかどうかの実態調査などをした上で、責任の所在を明らかにしなければならなかったし、厚労相もその意向を示していた。
四百十八人の実態調査のため専門家の検討会を別に設けたが、期限は未定。調査が途中で骨抜きになる可能性もある。七日が期限の大阪高裁の和解案の骨子が出る前に何らかの責任を認めるのを嫌ったとの見方もある。
ただ、国民の命や健康の問題を所管する官庁として、患者の視点に立つべきだとの批判を「重く受け止める」とした点は評価できる。副作用報告の一つ一つには、必ず生身の人間がいて、時に命の危機にさらされている。聴取を受けた官僚全員がそこに思いが至らなかった。報告では、一定の病気について患者個人に知らせる方法を検討すべきだと提言したが、口先だけの反省に終わらぬよう、どう具体化するかが問われている。
ラーメンとは関係ないですけど、ニュース見るたびに十分な補償してあげれば良いのに!って怒りがこみ上げてくるの私だけでしょうか・・・