和歌山に住むようになってしばらくして、近鉄デパートでスニーカーを買った。
黒のNEW BALANCE。
『N』の文字が斜めに縫い付けてある、あのスニーカーだ。1万円以上した。高いだけあって履き心地は抜群だった。
職場にも買い物にも散歩にも遊びに行くにも、どこへでも履いていった。
私は足を怪我して以来、ヒールの高い靴は履けない。疲れないスニーカーが一番足に合っている。
毎日私の足にはNのスニーカー。どこまでも一緒についてきた。一緒に歩いてきた。
特にここ2、3年は歩きに歩いた。義母の脳出血による入院、お店の経営難、義父の病などが重なりあちこちへ用足しする事が多くなった。
このあたりからスニーカーの傷みが目立つようになってきた。
人生に次々と難問がやってきても、あきらめずに家族で力を合わせて乗り越えようと努力してきた紆余曲折のこの数年。
まだまだやらなければいけない問題は残っている。試行錯誤の日々。
所々擦り切れ、形が崩れてきたスニーカーは、いろいろあったこの数年の証拠品のようなもの。
共に戦ってきた戦友のような親近感がある。
だが、さすがによく働いてくれたこのスニーカーも、もう寿命がきたようだ…。
擦り切れ、穴が開いたNEW BALANCE。
人が見たら笑われるかもしれない汚れたNEW BALANCE。
私のために歩いてくれてありがとう。
サヨナラ
思い出の黒いスニーカー
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ありがとうございます。

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