ラブの中でも無類のラーメン好きで知られるところの俺であるが
実はあまり知られてはいないが、ラーメン以外にも趣味を持っている。
大衆浴場
そう、摂氏四十五度の熱湯にミケランジェロの造りし銅像が如く鍛え抜かれた己の肉体を沈め、どちらが強靭なる精神力を持っているのか?無言の闘いを繰り広げる下町のコロッセオ。まさに男と男の裸の品評会、誰よりも長く、誰よりも深く湯船に浸かる事こそ真のグラディエーター。伝説の剣エクスカイバーを股間に従え奴は今日もやってくる。チワッス!長老!常連の皆さんにもよろしく挨拶をし、俺は今宵も湯と戯れる。
ちゅう事で、家にも風呂はあるのだが、ちょこちょこと暇を見つけては馴染みの銭湯や時間があればちょっと遠くまで遠征して色んな大衆浴場へ行ったりする。
最近はあんまり時間が無いのでやってないが、スポーツジムにちょっと広めの浴場があるので最近はそこがお気に入りなのだ。運動時間1時間、入浴時間1時間半。その後コンビニでビールを買い家路へ。全然痩せねえー。
その日は高気圧が太平洋側から張り出し、思いもよらず4月下旬並みの暖かい気温であった。ジムの中の空調設定がいまいち上手くいってないようで少し蒸していた。
俺は湯で汗を流し、緊張した筋肉をほぐした後、洗面場で耳を綿棒でホジホジしていた。
昼だったせいもあり、人影もまばらで洗面場には俺だけだったのだが、しばらくしてオッサンが一人やってきた。オッサンは何故か全裸であった。
オッサンはドライヤーを手にした。
オッサンはハゲていた。
いや、ハゲと言ってもその側頭部にはまだ凛としてしなやかな髪をたわわに蓄えているではないか。そこに熱風を当てる事に俺達は何の異議があろうか?俺はオッサンがハゲているその頭にドライヤーを当てる姿が滑稽だとか、そんな事を言うつもりはない。俺はそこまで小さな人間ではないし、笑いに飢えてもいない。それにオッサンは俺達の想像を絶するほど、俺達の価値観を破壊するほどデカイ男だった。
オッサンは躊躇無く己のエクスカイバーを温めだしたのである。
・・・・・。
迷いなんて微塵も無かった。ドライヤーの噴出口はオッサンの頭部には全く興味を示す事なく一直線に股間に向かっていった。その行動には確固たる信念のようなものまで感じてしまうほどである。まるで日常のごくありふれた街の一風景の如く自然なたたずまいであった。おーい!
ぶおおー。
ぶおおーーー。プラプラ
・・・・・・・( д)゜゜
ぶおーーぶおおーーーー。プラプラプラ
・・・アツッ!
微かに身をくねらすオヤジ・・。
ぶおおおーーー。プラープラー
・・・・・( ゚д゚)・・・・。
暖かな春風に弄ばれて、右に左にその向きを変えるツクシ。
ああ・・もう春ですね・・・。
っておーい!
おーい!おーい!おおおーい!
いくらなんでもそれはツッコまさせてもらうって!危ないよぉー!おっちゃん危ないよぉ!焼けちゃうって!その前に俺が笑い死ぬ!頼むから止めてくれ!ヤメテー!(゚Д゚;三;゚Д゚)
そんな俺の心の声が届くはずも当然無く、おっさんは確固たる信念に基づき、今度はバックからドライヤーの熱風という、いたって科学的な方法で作られた春風を二つの球根に向かって浴びせ駆けた。
そうする事で球根の成長が3倍早まるんですよ。
とかいうバイオテクノロジー的な類のものではない事は俺の目には明らかであった。つーか誰の目にも明らかであるが、その場には俺とオヤジの一対一のタイマン状態。マジヤバイ、俺、殺されるかも知れない。逃げろ!俺の本能が叫ぶ。
俺はオッサンの行動の全てを見る事ができずに途中でその場を後にしてしまった。はぁー、ふきだしてしまいそうで危なかったー。
しかし・・・。
色んな意味で春ですなぁ。