2005/7/7
沈黙を破ってジュディーがつぶやいた。
「手紙、見たんだよ...」
「嬉しかった。...何で来ない?」
食い入るように見つめる
ジュディーの眼差しに
俺は思わず下を向いた。
「手紙、読めたかな。」
馬鹿な質問だと思ったが、
他に言葉が見つからなかった。
「手紙書くのフィリピン流ね。」
「フィリピンの男、気持ち伝えるの、
みんなそうしてる。」
せっぱつまってした事なのに、
そんなに感激されるのには、
かえって驚かされた。
日本人ならさしずめ、舌足らずで
フィーリングオンリーの
メールですますところである。
ふと気がつくと、
隣に坐っている、ソフィアとHiroは
何か真剣な表情で話しこんでいた。
ソフィアの説得するような話しに、
Hiroは黙ってうなずいている。
二人は前から知りあいだったのだろうか?

0
2005/7/7
「いらっしゃいませー」
勢い良く迎えに出てきた女の子を見て
一瞬息を呑んだ。
ジュディー ?
確かに、何週間も思いつづけていた
ジュディーだったが、...
変身していた。
ストレートに近かった髪は
豊かに波を打ち
口紅は、濡れるような光沢の
ショッキングピンク。
アイシャド−はラメの入ったブルー。
化粧も全体に派手なものに変わっていた。
ボックスに案内され、
俺の横にジュディー。
Hiroの横にはソフィアがついた。
あんなに逢いたかったのに、
いざ目の前にすると、何を話して良いのか
言葉が出てこなかった。
「逢いたかったよ。元気だった?」
俺より先に口を開いたジュディーは
瞬き一つせず見つめた。
その見とおすような瞳の奥には、
官能の光が、メラメラと
燃えているのが見えた。
’ググッ ’俺は、生つばを飲み込む音が
聞こえやしないだろうかと焦った。

0
2005/5/18
仕事場からはすぐ近くに八ヶ岳が見えた。
高冷地というものの、夏が近づくと、
日差しは徐々に厳しさを増す。
時々吹く風に、ほっと一息つくが、
日向での作業である。
流れ落ちる汗が、
いっそう暑さに拍車をかける。
おまけに鼻をつく牛糞や鶏糞の匂い。
家畜の糞を、ある種の細菌を使って
肥料化する。
そのシステムと、肥料化の機械を
販売するのが、所属する会社の
唯一のアイテム。
ここで俺がやっているのは、
肥料作成とデータ取り。
それと、農産物の栽培実験を
農場の一部を借りてやっている。
実験チームとは名ばかりで、
殆ど、肉体労働と言ってもいいものであった。

0
2005/5/6
振り向くと、1人のフィリピーナが
立っていた。
ジュディー?かと思ったが、
逆光で消された黒い影は、
良く見るとジュディーではなかった。
「ジュディーは居ないの?」と聞くと、
「今、買い物に行ってる」と、
つまらなそうに つぶやく。
「じゃ、これジュディーに渡してくれる?」
と言って、手紙を渡し、
そそくさとアパートを後にした。
夏もそろそろ動き始めようかという
暑い日だった。

0